河北の文化と芸術が世界に発信――ユネスコの舞台と本地域の美術館で賑わい

2025年10月21日(現地時間20日)、アメリカ・ニューヨークで「2025“魅力河北(チャーミング・ホープイ)”走进联合国」シリーズイベントが盛大に開催されました。一方、中国河北省の“河北美術館”でも「彩墨生辉 古壁乾坤(せいぼくしょうき こへきけんこん)」と題した古代壁画の大規模展覧会が開幕。河北省内外で、歴史と芸術の魅力が同時に発信されています。

「魅力河北」が国連を舞台に世界中に発信

「魅力河北 邀请世界(世界に河北を招待)」をテーマにした文化交流イベントは、国連本部があるニューヨークで写真展や観光・産業の紹介、パフォーマンスなどを実施。河北省政府などが主催し、地元の財界・文化界・在外華僑をはじめ、多くの関係者が集いました。

展示会では「鏡像文化 伝承の美(きょうぞうぶんか でんしょうのび)」というコンセプトのもと、100点以上の写真作品によって、河北の雄大な自然、歴史的建造物、都市の新たな姿、そして人々の生活や伝統芸能が紹介されました。写真展の目玉となったのは、黄骅港(こうかこう)、京杭大運河(きんこうだいうんが)、正定古城(せいていこじょう)、趙州橋(ちょうしゅうきょう)、正太饭店(せいたいホテル)など、河北省を代表する自然・文化遺産です。

オープニングでは、河北省のイメージ映像「魅力河北」が初公開され、中国伝統の民族音楽と現代的なダンスが融合した演出が披露されました。特に、河北の貴重な国宝・博山炉(はくさんろ)をモチーフにした「快閃(クイックフラッシュ)」ダンスはニューヨーク・タイムズスクエアでも上演され、多くの通行人が足を止めて見入るほど注目を集めました。

現地の観光業界や文化関係者も多数訪れ、華美協進社共同議長のオーイイ・サンダース、アジア太平洋観光協会(PATA)ニューヨーク支部長のエリザベス・チン、中国駐ニューヨーク観光担当の馬雲飛氏なども出席。参加者からは、「河北省の豊かな文化遺産とユニークな自然景観、そして人々の温かさが強く印象に残った」との声が聞かれました。

中美(中国とアメリカ)の文化交流・産業連携がさらに深化

今回のイベントでは、河北省と現地の観光団体による産業連携も強化されました。中国・滄州市文化観光局とアメリカ・アジア太平洋観光協会ニューヨーク支部の間で、文化交流や市場開拓、教育研修、ブランド相互PRなどの分野で連携を深める協力覚書が調印されました。今後、両者が情報交換や資源共有を進めることで、河北省の観光資源がより多く世界へと発信されていく見通しです。

また、河北省を代表する農業の取り組みも紹介されました。滄州で進められている「乾燥塩害地麦(かんそうえんかくばげむぎ)」は、中国の塩害地再利用と食糧安全保障の象徴的な成果として注目されています。

ニューヨーク市民も参加――河北の文化体験が広がる

イベントは、ニューヨークの街角でも展開されました。2025年10月初旬には、タイムズスクエアで河北省の伝統芸能や現代ダンスによる「快閃」イベントが開催され、現地の人々に河北文化の新鮮さと奥深さを印象づけました。また、河北省の公式プロモーション映像もタイムズスクエアの大型ビジョンで繰り返し放送され、多くの観光客が足を止めて撮影する光景が見られました。

河北省文化観光部門の関係者は、「映像と文化を架け橋に、河北のユニークな魅力と開かれた姿勢を世界に発信できた。これは中国の地方文化が世界とつながる大切なプラットフォームになっている」とコメントしています。

“河北美術館”で古代壁画の名品が一堂に――「彩墨生辉 古壁乾坤」展

ニューヨークでの国際発信と並行して、河北の地元でも芸術の話題が熱気を帯びています。

河北省会・石家荘市にある“河北美術館”では、2025年秋、「彩墨生辉 古壁乾坤(仮訳:多彩な墨色と壁画の宇宙)」展がスタート。河北省で発掘・保存されてきた古代壁画の傑作が一堂に会し、過去何度も報道されていますが、このたび新たに開幕し、多くの美術ファンや研究者が詰めかけています。

展示では、漢代から明・清代に至るまで、河北各地の寺院や古墳、王侯貴族の墓などに描かれてきた壁画を中心に、精密な復元画や貴重な実物資料が展示されています。歴史的に河北省は多民族が入り交じり、さまざまな宗教や文化が発展した地域。そのため、壁画の作風も仏教、道教、儒教、さらには西域や草原の文化の影響を受けたものまで、実に多彩です。

特に注目されているのは、北魏や金、元代の仏教壁画群。色鮮やかな極彩色で描かれた仏像や天人、精霊たちの姿は、観る人の目を釘付けにします。また、古代人の生活や信仰、当時の社会情勢を反映した世俗画も多く、歴史の息吹を感じさせる展示内容となっています。

河北美術館は、これらの壁画の保護・修復の重要性を訴えつつ、デジタル技術を活用した保存・展示方法も積極的に取り入れています。来場者からは「河北の歴史と芸術の奥深さに驚いた」「ぜひまた来たい」との声が上がり、地域の文化振興にも大きな役割を果たしています。

河北――歴史と現代が交差する文化の十字路

河北の魅力を再発見してみませんか?

今、河北省では国内外で積極的に文化交流が進められています。ニューヨーク・国連でのイベントは、河北省が世界に“新しい顔”を見せた瞬間でした。また、河北美術館での壁画展は、地元の人々や観光客に、河北省の“古き良き文化”を再発見してもらうきっかけとなっています。

河北省は、北京・天津に隣接し、古くから“燕趙大地(えんちょうだいち)”と呼ばれる歴史の舞台。趙州橋(世界最古の石造アーチ橋)、正定古城(唐代の風格を残す城郭都市)、そして大運河(世界遺産)、避暑山荘(ひしょさんそう、清代皇帝の離宮)など、歴史遺産は枚挙に暇がありません。

さらに、近年は雄安新区(国家戦略の新都市)や張家口(冬季五輪開催地)など、現代中国のフロンティアでも注目されています。そんな河北は、まさに“過去と未来が交差する場所”――国内外の旅行者や文化愛好家にとって、新たな発見と感動をもたらす場所です。

今後の展望

河北省は今後も、文化や観光資源を世界に発信し、国際的な交流を深めていく方針です。2025年の今回のイベントをきっかけに、海外との連携や相互理解がますます拡大していくでしょう。また、地元の歴史・文化遺産の保存と活用も進み、河北はアジアの文化観光の新たな拠点としての存在感を増していくと考えられます。

河北を旅したり、展覧会を訪れたりすることで、そこに生きる人々の歴史、現代の息吹、そして未来への希望を感じることができる――そんな河北の“いま”が、多様な形で世界に発信されています。


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