高円宮妃久子さま、秘蔵の「犬の置物コレクション」を愛知県陶磁美術館へ寄贈 200点超が一挙公開
愛犬家として広く知られる高円宮妃久子さまが、大切に収集してこられた犬の置物コレクションを、愛知県瀬戸市にある愛知県陶磁美術館へ寄贈されました。
寄贈されたのは、陶磁器製の犬の置物、いわゆる「フィギュリン」と呼ばれる作品で、その数は200点を超えるとされています。 これらのコレクションは、これまで妃殿下が大切に保管されてきた、いわば「秘蔵」の品々であり、今回の寄贈によって、誰もが鑑賞できる形で公開されることになりました。
愛知県陶磁美術館で「わんわん大行進」展を開催
寄贈を記念して、愛知県陶磁美術館では特別展「わんわん大行進」が開催されています。 この展覧会では、妃殿下から寄贈された陶磁器製の犬の置物205点が一堂に会し、来館者にお披露目されています。
展覧会タイトルの「わんわん大行進」には、多様な犬たちがずらりと並び、元気いっぱいに行進しているような、にぎやかで楽しいイメージが込められています。実際の会場でも、大小さまざまな犬のフィギュリンが展示され、まるで犬たちのパレードを見ているかのような雰囲気を楽しめる構成になっているとされています。
新聞報道によると、12日には高円宮妃久子さまご自身が愛知県陶磁美術館を訪れ、寄贈したコレクションが公開される記念展の様子をご覧になりました。 ご自身のコレクションが、多くの人々の目に触れる機会を得たことに、妃殿下も目を細められていた様子が伝えられています。
200点超のコレクション 犬たちが語る多彩な物語
今回寄贈された犬の置物は、200点を超える規模で、その多くが陶磁器で作られた精巧なフィギュリンです。 県の発表によれば、「犬のフィギュリン※のコレクションを御寄贈いただきました」とし、世界各地や国内のさまざまな産地の作品が含まれていることがうかがえます。
テレビニュースの映像では、写実的に表現された犬から、どこかユーモラスな表情を見せる犬、そしてデフォルメされた愛らしい犬まで、非常に多様なスタイルの作品が紹介されています。 素地の質感や釉薬の色合いも多彩で、白磁の凜とした犬や、色絵で華やかに彩られた犬、土の温かみを活かした素朴な犬など、見ていて飽きないラインナップとなっています。
こうした作品の多くは、単なる「可愛い置物」というだけでなく、それぞれの制作時代や地域の美意識、焼き物の技法の特徴を色濃く反映しています。愛知県陶磁美術館は陶磁器専門の美術館として、これらの作品を、陶磁史・デザイン史の観点からも貴重な資料と位置づけています。
祖母から受け継ぎ、自らも集め続けたコレクション
ニュースによれば、この犬の置物コレクションは、高円宮妃久子さまが祖母から引き継ぎ、その後ご自身でも収集を続けてこられたものだと紹介されています。 つまり、一代限りで集められたコレクションではなく、世代を超えて受け継がれてきた「犬への愛情」の結晶ともいえる存在です。
映像では、妃殿下が犬のフィギュリンに対して一つひとつ思い入れをもって接してこられた様子が伝えられており、単なる趣味の域を超えた、深い愛着と関心が感じられます。 そうした個人的な歴史を持つコレクションが、美術館に寄贈されることで、これからは公共の財産として、多くの人に親しまれていくことになります。
愛犬家としての横顔と、文化支援の姿勢
高円宮妃久子さまは、国内外でのご公務に加え、スポーツや文化活動への支援でも知られています。その中でも、大の愛犬家としてメディアに紹介されることも多く、犬にまつわる行事や施設を訪問される機会も少なくありません。
今回の寄贈は、愛犬家としての個人的な趣味と、文化を支える公的な役割が、非常に美しい形で結びついた例といえます。妃殿下にとって大切な犬のフィギュリンを、あえて手元から離し、美術館に託すという決断には、「多くの人と喜びを分かち合いたい」という願いが込められていると受け取ることができます。
報道ではまた、妃殿下が来館者と笑顔で言葉を交わされる様子も見られ、作品を通じて人々とつながる時間を楽しまれているようでした。 犬のフィギュリンたちは、妃殿下のもとにあった頃とはまた違う形で、新たな物語を紡ぎ始めています。
「犬の置物」から広がる陶磁器の世界
愛知県陶磁美術館は、瀬戸焼をはじめとする日本や世界の陶磁器を幅広く収集・展示してきた専門館です。 そこに今回、「犬」をテーマにした大規模なコレクションが加わったことで、鑑賞の入り口がぐっと身近に、楽しくなったと言えるでしょう。
犬という身近な存在をモチーフにしているため、陶磁器に詳しくない方や、お子さんにとっても、とっつきやすい展示になっています。一方で、作品の背景にはそれぞれ、作られた国や時代、技法の違いがあり、「なぜこの犬はこんな表情なのか」「どうしてこんな色なのか」といった視点から、自然と陶磁器の奥深い世界に興味が広がっていきます。
展覧会では、犬種ごとの特徴が細かく再現されているフィギュリンや、擬人化されたポーズの犬、物語の一場面を切り取ったような群像など、多彩な作品が紹介されているとされ、来館者は「お気に入りの一匹」を探す楽しみも味わえます。
地域と子どもたちへの「文化の贈り物」
今回の寄贈は、愛知県陶磁美術館にとっても大きな意味を持ちます。同館は県立の美術館として、地域の子どもたちへの教育普及活動にも力を入れており、学校団体の来館も多い施設です。
犬のフィギュリンは、子どもたちにとっても親しみやすく、焼き物への興味を育てるきっかけとして最適な題材といえます。美術館側も、寄贈コレクションを活用したワークシートや解説パネルなどを整え、来館者が楽しみながら学べる工夫を行っていると発表しています。
高円宮妃久子さまから託されたコレクションは、単に展示されるだけでなく、今後、教育・研究・交流の場で生かされていく「生きたコレクション」となっていくことが期待されています。
愛知県陶磁美術館からのメッセージ
愛知県の公式発表では、今回の寄贈について、「この度、高円宮妃久子殿下から200点を超える犬のフィギュリンのコレクションを御寄贈いただきました」とした上で、深い感謝とともに、その学術的・文化的な価値の高さを強調しています。
また、美術館は、このコレクションを通じて「犬を愛する人も、焼き物を愛する人も、誰もが楽しめる展示を目指したい」といった趣旨のメッセージを発信しており、来館者に開かれた美術館づくりの一環として位置づけています。
妃殿下の思いと、美術館の理念が重なり合うことで生まれた今回の展覧会は、多くの人にとって、「犬」と「陶磁器」という二つの魅力に同時に触れる、貴重な機会となっています。
これからコレクションと出会う人たちへ
今回のニュースは、「皇族の方が秘蔵コレクションを寄贈した」という話題性だけでなく、個人の大切なコレクションが公共の場へと開かれていく意義を、改めて考えさせてくれます。
高円宮妃久子さまが長年大切にされてきた犬の置物たちは、これからは愛知県陶磁美術館という新しい「家」で、さまざまな人々の目と心に触れていきます。そこからまた、新たな愛着や物語が生まれ、犬を愛する心、ものを大切にする心、文化を受け継ぐ心が育まれていくことでしょう。
もし機会があれば、実際に美術館を訪れ、ガラスケース越しに並ぶ犬たちと静かに向き合ってみてはいかがでしょうか。一匹一匹を眺めているうちに、その背後にある長い時間と、多くの人々の思いが、そっと伝わってくるかもしれません。




