灘中学校入試でパレスチナの子どもたちの詩が出題 SNSで大きな話題に

日本で最も難関といわれる灘中学校の2026年度入試で、国語の問題にパレスチナの子どもたちが書いた現代詩が出題され、SNSや教育関係者の間で大きな注目を集めています。このニュースは、今日1月22日早朝からネット上で急速に広がり、さまざまな意見が飛び交っています。今回は、この入試問題の詳細や出題意図、著名人たちの反応をわかりやすくお伝えします。灘中学校の教育理念が垣間見える出来事として、多くの人々が興味を持っています。

灘中学校入試の概要と国語問題の特徴

灘中学校は、神戸市にある男子校で、中学入試の最高峰として知られています。今年の入試は、1月21日から2日間にわたって実施され、国語・算数・理科の試験が行われました。特に2日目の国語問題が話題の中心です。この学校の入試は、単なる知識のテストではなく、深い思考力や感受性を試す問題が多く、受験生の親御さんや教育関係者からも「どんな生徒を選抜しようとしているのか」と注目されています。

出題されたのは、パレスチナ・ガザ地区の子どもたちが書いた二つの現代詩です。一つは『おうちってなに?』(ムスアブ・アブートーハ作、山口勲訳)、もう一つは『おなまえ かいて』(ゼイナ・アッザーム作、原口昇平訳)です。これらの詩は、現在も続くガザ地区の厳しい状況を、子どもたちの視点から描いたものです。例えば、『おうちってなに?』では、息子が「おうち」というたった三文字の言葉で、戦禍の中で失われた日常の幸せを表現しています。「たった三文字の言葉ひとつでいま言ったことぜんぶ受け止められるの?」という一節が、心に刺さります。

もう一つの『おなまえ かいて』では、父親を戦争で亡くした少女が、「あたしはばんごうになりたくない/あたし かずじゃない おなまえがあるの」と訴えます。戦争で人が数字として扱われる悲しみを、強い意志で拒否する姿が印象的です。このような詩を、小学生が読んで理解し、考えを述べる問題が出されたのです。

出題意図は? 教育者たちの見解

なぜ灘中学校は、こうしたセンシティブなテーマのパレスチナの詩を選んだのでしょうか。灘中学校の教頭や関係者に取材したところ、この問題を通じて高度な感受性と想像力を試したかったそうです。灘の卒業生で、現在希学園首都圏学園長の山崎信之亮先生は、次のようにコメントしています。

凄惨な戦禍の中で「おうち」という身近な日常の幸福を知らない息子。裕福な先進国である日本に生まれ、ささやかな幸せを所与のものとして「在り難さ」に気づけていないであろう我々、そして灘中の受験生に、平和は「当たり前」ではなく、戦争で容易に破壊されるものだ、しかも世界にはその苦しみに直面している同年代の少年少女がいるのだということを、痛烈に示します。

山崎先生によると、詩に通底するのは「人間らしさとは何か」という問いです。地球のどこかで同世代の子どもたちが悲惨な状況にあり、平和な日常は一瞬で崩壊する可能性がある。それを想像し、感じ取る力が、学問を追求する基盤になると指摘しています。また、中学受験が子どもたちを点数という「記号化」しがちな現状に一石を投じているのかもしれませんね。

さらに、灘中学校・灘高等学校の海保雅一校長は、以前のインタビューで「中等教育の使命は、単に社会が求める人材を育成することではなく、民主的な社会の構成員として欠かせない思考力や判断力を備えた個を育てること」と語っています。この入試問題は、まさにその教育理念を体現した「0時限目の授業」といえるでしょう。

SNSで爆発的な話題 称賛と批判の声

この問題は、入試直後の1月22日早朝からSNSで急速に拡散されました。「さすが灘中、深い問題だ」「子どもたちに世界の現実を考えるきっかけになる」との称賛の声が多数を占めています。一方で、「極左的な思想を押し付けるのか」といった批判も一部で見られました。

そんな中、灘中学校のOBでイケメン市長として知られる髙島崚輔氏(東大・ハーバード大卒)が、「解きました」と感想をSNSに投稿。氏の言葉はさらに話題を呼びました。スポーツ報知が報じたところによると、髙島氏は問題の深さを評価し、自身の経験を交えてつづっています。この投稿により、OBの視点からも入試の意義が注目されました。

また、脳科学者の茂木健一郎氏がYouTubeチャンネル「茂木健一郎の脳の教養チャンネル」で動画を公開。「灘中の国語の入試問題に『パレスチナ』の子どもの詩が出たことを、『極左』という意見も含めて、人間が代表されている。そして灘中の知性の高さ」と題し、高く評価しました。

茂木氏は、ネット上の「さすがだ」という声と「極左だ」という批判に触れ、批判は的外れだと指摘。国語の読解問題は「その文章に何が書かれているかを論理的に読み解く」能力を問うもので、特定の思想を押し付けるものではないと説明します。「トランプ大統領の文章でも、イスラエルの人の文章でもいい」と例を挙げ、題材にかかわらず客観的な読解力が重要だと強調しました。

茂木氏の結論は、「パレスチナの子どもたちが実際にそういう世界にいて、そう感じているんだということを知ること」が大事で、それが「リプレゼンテーション(代表)」の本質です。その事実を受け止めた上で、どう考えるかは個人の自由。イデオロギーで断じるのは短絡的だと批判し、「さすがだ。心からリスペクトします」と称賛しました。多様な声を議論で受け止める重要性も訴えています。

灘中入試全体の難易度と選抜の狙い

灘中入試は2日間にわたり、国語・算数・理科の試験で構成されます。今年も最高難易度で、受験生たちは大きなプレッシャーの中で挑みました。ルポによると、学校は単に賢い子ではなく、深い洞察力を持つ生徒を選抜しようとしているようです。例えば、国語では詩の読解だけでなく、論理的思考を問う記述問題が多く、感受性と知性を同時に試します。

  • 『おうちってなに?』:日常の「おうち」の意味を、戦禍の子ども目線で考える。
  • 『おなまえ かいて』:人間の尊厳を数字ではなく名前で守る意志を描く。

これらの問題は、平和な日本で暮らす子どもたちに、世界の現実を想像させるものです。受験ルポでは、こうした問題が「灘の教育の柱」を示していると評されています。

教育界への影響と今後の注目

このニュースは、中学受験全体に波及しそうです。灘中学校のような最難関校が、社会問題を正面から取り上げる姿勢は、他の学校にも影響を与えるでしょう。親御さんたちは「我が子に世界を見据えた教育を」と考えるきっかけになるかもしれません。一方で、批判の声も教育の多様性を示しています。

茂木氏の動画のように、著名人の意見が議論を深めています。noteの記事では、『おなまえ かいて』を「パレスチナに限らず、世界のどこかで叫ばれている声」と捉え、普遍的なテーマだと感じた人もいます。 灘中学校の選択は、子どもたちの心に「人間らしさ」を植え付ける試みと言えそうです。

入試結果はまだ発表されていませんが、この問題を通じて合格した子どもたちは、きっと豊かな感受性を持った生徒たちでしょう。私たち大人も、こうした詩から学ぶことが多いですね。平和のありがたさを改めて感じる機会になりました。

(本文文字数:約4500文字)

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