大阪万博チケット問題が浮き彫りに―「並ばない万博」のはずが、チケット所持者も入場できない現状とは?
入場できない「並ばない万博」―現地からの戸惑い
2025年4月に開幕した大阪・関西万博。かねてから目指された「並ばない万博」の実現へ、公式予約サイトを通じた入場枠予約制が導入されました。しかし、現在、公式予約サイトではほぼ全日満員の状態が続いており、チケットがあっても予約がとれず、「入場できない」「行く意味がなくなった」という声が多く上がっています。
特に祝日や週末、大型連休を中心に、日時予約の枠が早期から埋まってしまい、「チケット保有者=必ず入場できる」とは言えない状況になっています。
また、当初は「混雑緩和・公平性」のための予約枠だったものの、現地ではキャンセル待ちや追加開放枠、もしくは当日券の行列に賭けるしか方法がなく、多くの来場希望者が戸惑っています。
現地の混雑状況と「駆け込み万博」現象
9月23日(祝日)の来場者数は20.5万人と発表され、12日連続で20万人を超える大盛況となりました。当初の見込みを上回るペースで来場者数が推移しています。
現地では、当日券を求めて長蛇の列ができるのみならず、通期パス(全期間パス)を既に持っている方も「なぜか今日の入場を確保するために、あらためて当日券を並んで購入する」といった事態が起きています。
これは、「パス所持者でも事前予約をしないと入場できない」制度によるもので、予約枠が埋まってしまった場合、たとえ先にパスを買っていても〈パスは所持しているが、今日の入場権はない〉という矛盾を生み出しています。
チケット事情:販売状況と価格
大阪・関西万博2025のチケットは複数の種類があり、前売券(開幕券や前期券、販売はすでに終了)、一日券(大人7,500円、中人4,200円、小人1,800円)、特別割引券(障がい者等対象/大人3,700円など)が販売されています。
チケットは主に公式Webサイトや大手旅行代理店を通して販売されていますが、一日券は会期中いつでも1回入場可能なチケットであるものの、実際は「入場の日時予約」が必須で、これが取れなければ入場できません。
- 開幕券:大人4,000円(販売終了)
- 前期券:大人5,000円(販売終了)
- 一日券:大人7,500円・中人4,200円・小人1,800円(販売中)
- 特別割引券(障がい者等対象):大人3,700円・中人2,000円・小人1,000円
「死に券」問題―113万枚超のチケットが使えないままに?
今、問題視されているのが「死に券」の大量発生です。これは「チケットは購入・保有しているのに、予約が取れず全く入場に使えないまま失効する」状態を指します。
9月23日の時点で、推計113万枚のチケットが“死に券”となっており、多くの人が「チケットを買っただけ」「行けなかった」と感じています。
こうした「死に券」についての返金の可否を巡って、SNSや来場者の間で疑問や不満が高まっています。公式からは「イベント参加の権利はチケットとアクセス可能な予約枠がセットで成立する」とされていますが、「チケットを購入したのに、その後の予約取得競争に勝たなければ使えない」という点が理解を超えるとの声も聞かれます。
予約サイトの現状と残された可能性
- キャンセル待ち:他の予約者のキャンセルが出た場合、直前に空きが発生するため、頻繁なサイトチェックで「拾う」しかありません。
- 追加開放:主催者側が混雑状況を見て「追加枠」を不定期に開放するため、そのタイミングに合わせて予約ページを監視する必要があります。
- 現地の当日券販売:現地での当日券枠はあるものの、限定数であり、特に休日や祝日は徹夜含む長蛇の列が発生し、必ずしも購入できるとは限りません。
このため、「どうしても入りたい!」一般来場希望者の間では、情報収集力と“運”そして忍耐が必要になっています。ネット上には「キャンセルが出た瞬間に取った」「当日現地で並んだが買えなかった」といった体験談があふれています。
なぜこのような事態に?システムと運営の課題
– 公平性重視の予約枠方式は一見公正に思えますが、結果として「人気日に一極集中しやすい」「ネット環境・情報への迅速なアクセスが不利な人に不利」「チケット販売数と実際の着券枠数が一致しない」などの問題が表面化しました。
– チケットをできるだけ多く販売したい主催側と、「確実な体験」を求める来場者意識のズレが強調されています。
– その上で、アクセス集中やサーバーダウンも繰り返され、予約ページへのアクセス自体が難しい、システム障害で取りこぼした、というケースもありました。
返金・救済措置の現状
現段階で、「使えなかったチケット」の全額返金対応は行われていません。「死に券」について問い合わせや意見が殺到している一方、公式では「予約枠の追加開放やキャンセル枠での入場チャンスを用意している」と説明しているのみです。
返金要求の声は今後さらに強まることが予想されますが、現状では救済措置について公式な決定や案内は出ていません。
関係者・来場者の声
- 「せっかく高いお金を払ってチケットを手に入れたのに、まったく使えずに終わりそうで悲しい」
- 「キャンセル枠にはりつく生活。行けるかどうか、その日にならないと分からない」
- 「公平性を重視した予約制のはずが、情報強者しか入れない仕組みになっている」
- 「システム障害で予約できなかった。もう少し余裕ある運営にしてほしい」
また、通期パス所持者からは「何のためのパスなのか」「追加の当日券まで買わないといけないとは」といった根本的な疑問も投げかけられています。
まとめ: 今後に残された対応策
9月下旬時点で大阪万博の「チケットがあるのに入れない」問題は大きな社会問題に発展しています。今後も、キャンセル待ち・追加開放・現地での当日券入手しか実質的なチャンスは残されていません。
この方式が最後まで維持されるのか、それとも主催側が更なる入場枠増加や抜本的な改善策を講じるのか注目されます。
何より、せっかく大阪万博を楽しみにしていた多くの人々が、「チケットと笑顔が結び付く」体験ができるよう、今後の柔軟な運営対応が強く求められています。