「橘色悪魔」京都橘高校が屏東に登場!台湾3校との交流演奏で青春がはじけた夜

日本の名門・京都橘高校吹奏楽部、通称「橘色悪魔(オレンジの悪魔)」が台湾・屏東にやってきました。台湾南部で行われた今回の交流演奏は、屏東の高校生たちとの合同パフォーマンスとして実施され、会場は青春のエネルギーと温かな拍手に包まれました。台北・西門町でのフラッシュモブに続くこの公演は、日台の高校生たちの絆をさらに深める、特別な時間となりました。

「橘色悪魔」が台湾へ 2025年の台湾遠征とは

京都橘高校吹奏楽部は、2025年12月に「2025台湾遠征」として台湾各地を訪れています。18日には台北市の繁華街・西門町で、台湾の荘敬高職、東京農業大学第二高校吹奏楽部「エメラルドナイツ」とともに大規模なストリート演奏を披露し、その勢いのまま、南部の屏東県と高雄市でも演奏を行いました。

京都橘高校は、これまでも中華民国国慶日の祝賀式典に出演するなど、台湾とのつながりを大切にしてきた学校です。今回の遠征は、台湾のNGO「中華文化総会」などの働きかけにより実現したもので、「友情を響かせ、青春を舞わせる」というテーマのもと、多くの観客に音楽の楽しさと日台交流の温かさを伝えています。

屏東での交流演奏 3校が魅せた青春ステージ

屏東での交流公演では、京都橘高校に加え、地元・屏東の高校を含む3校がステージに立ちました。西門町での合同フラッシュモブと同様、学生たちはそれぞれの個性を活かした演奏とパフォーマンスで観客を魅了しました。

台北での様子と同じく、台湾側の高校はポップスや台湾の名曲を中心に、東京農大二高「エメラルドナイツ」はアニメソングを、そして京都橘高校「橘色悪魔」は洋楽や映画音楽などを組み合わせたプログラムで会場を盛り上げました。

  • 台湾の高校:テイラー・スウィフト『ME!』、伍佰『你是我的花朵(君は僕の花)』などを披露
  • エメラルドナイツ:『【推しの子】』主題歌『Idol』、『進撃の巨人』『紅蓮の弓矢』、『鬼滅の刃』『紅蓮華』など人気アニメソングを熱演
  • 京都橘高校:「Poker Face」、「Take Me Home, Country Roads」、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』のテーマなどをパワフルに演奏

この流れは屏東での交流ステージにも引き継がれ、観客は次々と繰り出される名曲と迫力あるマーチングで、最後まで立ち上がりたくなるような一体感を味わうことができました。とりわけ、京都橘高校の代名詞ともいえる「踊る吹奏楽」とも言われる動きのあるパフォーマンスは、初めて生で見る台湾の人々に強いインパクトを与えました。

「橘色悪魔」ってどんな存在? 京都橘高校吹奏楽部の魅力

京都橘高校吹奏楽部は、その明るいオレンジ色の制服と、笑顔あふれるダンスを取り入れたマーチングスタイルから、「橘色悪魔(オレンジの悪魔)」という愛称で親しまれています。国内外のパレードやコンテストで数多くの実績を持ち、アメリカのローズパレードへの参加経験もあるなど、世界的にも知られる高校吹奏楽部です。

ただ「上手い」だけでなく、演奏しながら大きく動き、ステップを踏み、笑顔を絶やさないスタイルが特徴です。その姿は、見る人に元気を与え、「こんなふうに音楽を楽しんでいいんだ」と感じさせてくれます。台湾のメディアやファンからも、今回の遠征であらためてその魅力が高く評価され、「青春そのもの」「見ているだけで心が躍る」といった声が多く聞かれました。

台日コラボの主役「翡翠騎士」エメラルドナイツとの共演

今回の台湾遠征の大きな話題の一つが、京都橘高校と東京農業大学第二高校吹奏楽部「エメラルドナイツ」の初の本格共演です。エメラルドナイツは、その名の通り深い緑色の制服が印象的で、力強くキレのあるサウンドで知られる名門バンドです。

台北・西門町でのパフォーマンスでは、荘敬高職のパフォーマンスに続き、エメラルドナイツがアニメソングメドレーで会場を一気にヒートアップさせ、その後に京都橘高校が登場してフィナーレを飾りました。 この「翡翠騎士と橘色悪魔」の流れは、台湾の音楽ファンの間でも大きく話題となり、「夢の共演」としてニュースでも大きく取り上げられています。

両校は19日に台北和平バスケットボール館で合同公演を行い、このステージは「両校史上初の夢の共演」としてチケット完売の人気となりました。 屏東での演奏は、そうした一連の公演の一部として行われたもので、南部地域のファンにとっては、憧れのバンドを間近に見るまたとない機会となりました。

屏東の夜を彩った「連続3曲」の青春ステージ

屏東での演奏では、「橘色悪魔」が連続3曲の青春あふれるナンバーを披露し、その圧倒的なパフォーマンスが大きな話題になりました。具体的なセットリストは会場ごとに多少異なりますが、台湾での公演では先述の「Poker Face」「Take Me Home, Country Roads」、映画音楽など、世代を超えて親しみやすい楽曲が中心に選ばれています。

会場となった屏東国際ローラースケート場では、照明の中をオレンジの制服が駆け抜け、規則正しいステップとシンクロした動きが、音楽と一体になって広がりました。 観客席からは曲の合間ごとに大きな歓声が上がり、スマートフォンで演奏を撮影する人の姿も数多く見られました。

特に、リズムのはっきりしたポップスや映画音楽は、初めて吹奏楽の生演奏を聴く人にも分かりやすく、「気がついたら体が揺れていた」「一緒に口ずさみたくなる」といった感想が会場のあちこちから聞こえてきました。音楽と言葉の壁を超えて、自然と笑顔になれる――そんな時間が広がっていたのが印象的です。

観客3万人超の熱狂から南部へ 台湾全体を巻き込む盛り上がり

今回の台湾遠征のスタートとなった台北・西門町でのフラッシュモブ演奏には、沿道だけで3万人以上の観客が集まったと報じられています。 身動きがとれないほどの人波の中で3校が600メートルにわたって行進し、その後、中山堂前広場で定点パフォーマンスを実施しました。

この大成功を受けて行われた屏東での公演は、台北と比べると観客数こそ小規模ながら、むしろ距離が近いぶん、より温かく濃い交流が生まれたステージとも言えます。観客と演奏者の目線の高さが近く、拍手や歓声がダイレクトに届く環境の中で、学生たちも終始リラックスした表情で演奏していました。

台北から南部へと舞台を移しながらも、一貫して流れていたのは、「音楽を通して友達になろう」というシンプルな思いです。日台双方の高校生が、お互いの演奏を聴き合い、笑顔で写真を撮り、楽器やパートについて話をする姿は、国境を越えた青春そのものでした。

台湾からの“おもてなし” 食事や贈り物に込められた想い

今回の遠征では、演奏以外の場面でも、台湾側からさまざまな形で温かいおもてなしがありました。台北でのイベント後には、台湾の蕭美琴副総統から、京都橘高校やエメラルドナイツの生徒たちにルーロー飯とスープが差し入れとして振る舞われました。

また、テコンドー女子でソウル、バルセロナ五輪金メダリストの陳怡安さんからは、手作りの石けん300個がプレゼントされるなど、さまざまな人々が自発的に高校生たちを応援し、歓迎しました。 こうしたエピソードは、「音楽交流」が単なるイベントにとどまらず、人と人の温かなつながりとして広がっていることを象徴しています。

台湾側の主催者は、「こうした行動は、台湾人の心意気を伝えるためだけの、自発的なものだ」と語り、「目に見えない形で、善意の循環が生まれている」とその意義を強調しています。 屏東でもきっと、食事や交流の時間を通じて、日本の高校生たちは台湾の文化や人柄のあたたかさに触れたことでしょう。

日台の若者が音楽でつながる意義

今回の橘高校を中心とした台湾遠征は、単なる海外公演ではなく、日台の若者が音楽で心を通わせる場として大きな意味を持ちました。言葉や文化の違いはあっても、同じ「学生バンド」として共通する悩みや喜びを持つ彼らにとって、一緒にステージに立つ経験は忘れられない財産になります。

台湾の街頭で、日本でもなかなか実現しない規模のストリート演奏ができたことを、多くの生徒が「一生忘れない経験」と語っています。 一方で、台湾の高校生たちも、世界的に注目される京都橘高校やエメラルドナイツと共演できたことに大きな刺激を受けています。

屏東でのステージは、そのような大きな流れの中で実現した一夜です。観客にとっては、プロ顔負けの演奏を目の前で楽しめる貴重な時間であり、演奏する高校生たちにとっては、「音楽をやっていてよかった」と心から思える瞬間だったのではないでしょうか。

橘色悪魔のまぶしいオレンジ、翡翠騎士の深いグリーン、そして台湾の高校生たちのカラフルなユニフォーム。そのすべてが、屏東の夜空の下で溶け合い、一つの大きな青春の物語を描き出しました。今回の交流で生まれた友情と感動が、これからも日台の若者たちの心の中で生き続け、次の交流へとつながっていくことが期待されています。

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