隠岐汽船フェリー「しらしま」後継船の船名を一般公募 島民とファンが参加できる新しい船づくり
島根県の離島・隠岐諸島と本土を結ぶ隠岐汽船のフェリー「しらしま」の後継船について、船名の一般公募が始まりました。
隠岐諸島の足として長年親しまれてきた「しらしま」に代わり、新たに建造される新造フェリーの名前を、全国から広く募集する取り組みです。
「わが輩は後継船、名前はまだない」──後継船の船名を募集
隠岐と本土を結ぶフェリー「しらしま」は、隠岐諸島の人々の生活や観光を支えてきた重要な交通手段です。
その後継船について、隠岐諸島の自治体で構成される隠岐広域連合が、親しみのある船名を付けようと、一般公募を開始しました。
船名募集の告知では、夏目漱石の有名な一文をもじったような「わが輩は後継船、名前はまだない」というフレーズも使われ、ユーモアを交えながら関心を集めています。
長く地域に愛される船だからこそ、地元の方だけでなく、隠岐を訪れたことのある人や船が好きな人にも参加してもらいたい、という思いが込められています。
新造フェリーは令和9年春に就航予定
今回名前を募集しているのは、現在運航中のフェリー「しらしま」の代替船として建造されている新造船です。
隠岐広域連合によると、この新造フェリーは令和9年(2027年)春ごろの就航を予定しており、就航後は隠岐汽船が運航を担います。
隠岐航路は、隠岐諸島と本土の七類・境港方面を結ぶ重要な生活航路であり、新しいフェリーは、島民の生活を支えるほか、観光客を迎える「海の玄関口」としての役割も担います。
船名募集の目的は「親しみやすく、隠岐らしい名前」
隠岐広域連合は、船名募集の目的として、多くの人に親しみを持ってもらえる名前であることを挙げています。
募集要項では、応募してほしい名前のイメージとして、次のような条件が示されています。
- 覚えやすく、親しみやすいこと
- 隠岐航路にふさわしい名称であること
つまり、単に格好いい名前というだけでなく、隠岐らしさや、島と本土をつなぐフェリーとしての役割をイメージできることが重視されています。
島の自然や歴史、文化、風景を連想させるような名前が、候補として期待されていると言えそうです。
募集期間は令和8年1月5日〜1月30日必着
船名の募集期間は、令和8年1月5日(月)から1月30日(金)まで(必着)とされています。
約1か月弱の期間に、幅広い人からアイデアを募るかたちです。
公募開始については、2026年1月5日に情報が公開されており、隠岐汽船の公式サイトのお知らせ欄からも、隠岐広域連合の募集ページに案内されています。
誰でも応募可能 応募方法はフォームか応募用紙
今回の船名募集は、応募資格に制限はなく、どなたでも応募可能です。
隠岐在住者はもちろん、島外の人や、隠岐にまだ行ったことのない人でも応募できます。
応募方法は次の2通りです。
- 応募フォームからの応募
専用の応募フォームにアクセスし、必要事項を入力して送信します。
入力項目は「船名」「船名の説明(アピールポイントや思い)」「住所」「氏名」「年齢」「電話番号」などです。 - 応募用紙による応募
チラシに付属している応募用紙に記入し、隠岐広域連合事務局総務課へ持参または郵送する方法のほか、隠岐汽船各港ターミナル内に設置された回収箱へ投函することもできます。
応募は1人1件まで、1つの応募につき船名は1つと決められています。
考え抜いた「これぞ」という名前を1つ選んで応募することが求められます。
選考は専門委員会が実施 発表は令和8年2月ごろ
応募された船名は、隠岐広域連合の船名選考委員会で審査されます。
選考は非公開で行われ、応募者個人に対する詳細な選考状況などは開示されません。
選考の結果、最優秀作品に選ばれた船名が、新造フェリーの正式な名前として採用されます。
令和8年2月ごろに当選者へ直接結果が知らされるほか、隠岐広域連合のホームページでも選考結果が公表される予定です。
同じ船名案が複数の人から応募された場合は、抽選によって当選者を決定する仕組みも設けられています。
また、採用された船名については、必要に応じて一部補正が行われる可能性があるとされています。
採用者にはフェリー往復券などの特典も
船名が採用された応募者には、嬉しい特典
- 最優秀賞(1名)
新造フェリーの船名として採用されるほか、フェリー特別室往復券(3名分)と、1万円相当の商品券が贈られます。 - 優秀賞(2名)
フェリー特別室往復券(3名分)が贈られます。
自分が考えた名前の船が、実際に隠岐航路を走る姿を見ることができるだけでも大きな喜びですが、特別室を利用できる往復券が用意されているのも、隠岐ファンにとっては魅力的なポイントと言えるでしょう。
新造フェリーのイメージ 白い船体に赤いライン
隠岐広域連合の案内では、新造フェリーの船体グラフィック案についても触れられています。
それによると、これまでの「しらしま」と同じく、真っ白な船体に赤いラインをあしらったデザインが想定されています。
この白と赤のコントラストが、隠岐の碧い海と青い空によく映えるようにデザインされており、従来のイメージを受け継ぎつつ、新しい船としての存在感も意識した構成になっていると説明されています。
隠岐汽船と隠岐航路の役割
隠岐汽船株式会社は、隠岐諸島と本土を結ぶフェリーや高速船を運航している事業者です。
公式サイトでも、「今日も隠岐諸島と本土とを結んでいます」「高速船で約1時間、フェリーで約2時間半の海の旅」と紹介されており、日々、島と本土の間を行き来する人々や貨物を運んでいます。
隠岐諸島は本土から距離があるため、フェリーは生活物資の輸送や通院、通学、観光など、さまざまな面で欠かせない存在です。
その中でも「しらしま」は長年運航されてきた船であり、今回の後継船は、その役割を引き継ぐと同時に、より快適で安心な船旅を提供することが期待されています。
応募にあたっての注意点
募集要項では、応募に際していくつかの留意事項も示されています。
- 応募は1人1件まで
- 応募1件につき、船名は1つ
- 応募にかかる費用(通信費や郵送費など)は応募者負担
- 応募作品や選考状況などに関する問い合わせには応じない
- 同一の船名案が複数あった場合は抽選で当選者を決定
- 採用作品に関する一切の権利は隠岐広域連合に帰属
- 他者の権利を侵害していることが判明した場合は、発表後でも採用を取り消す場合がある
- 応募作品は返却されない
- 応募に関する個人情報は本募集の目的以外には使用しないが、入賞者の氏名や市区町村名を公表する場合がある
これらは、公募を円滑かつ公正に進めるための一般的なルールですが、応募前に一度目を通し、理解しておくと安心です。
「しらしま」の思い出を未来へつなぐ船名に
長く隠岐航路を支えてきた「しらしま」の後を継ぐ新造フェリーは、これから何十年も、隠岐と本土のあいだを行き来していくことになります。
その船にどんな名前を付けるかは、単なる「呼び名」を決める作業ではなく、地域の歴史や風景、人々の思い出を未来につなぐ作業とも言えます。
隠岐を訪れたことのある人なら、船から見た島影や港の景色、甲板に立ったときの風の感覚など、さまざまな記憶があるはずです。
そうした一つひとつの思いを名前に込め、新しいフェリーに託すことができるのが、今回の船名募集の魅力です。
「わが輩は後継船、名前はまだない」という言葉どおり、今はまだ名前のない新造フェリー。
これからどんな名前が選ばれ、どんな物語を乗せて隠岐の海を走るのか、多くの人が見守っています。



