岡山大学で進む「半導体教育」とグローバル人材育成―多様な学び手と地域連携
岡山大学は、2025年9月、学生から社会人、シニア世代までが幅広く参加できる公開講座「先端半導体テクノロジー入門」を開催し、半導体分野の人材育成に大きな一歩を踏み出しました。また、グローバルな視点で新たな価値を創造する人材の育成を目指し、国際入試説明会も開催するなど、地域と世界に開かれた教育活動が活発に展開されています。
多世代・多様なバックグラウンドが集う「先端半導体テクノロジー入門」公開講座
2025年9月11日・12日の2日間、岡山大学津島キャンパス工学部にて、「先端半導体テクノロジー入門」が開催されました。受講対象者は、半導体に携わる可能性のある学生や社会人、より深く時事問題としての半導体を学びたい方、高校物理を学んだ方などです。参加者100名以上が学生、現役社会人、シニア世代まで世代や立場を超えて集い、活発な交流が行われました。
- 講座の目的:次世代産業の基盤である半導体の基礎から応用まで、産業界やアカデミアの最新知見をわかりやすく学ぶこと。
- 受講料:一般3万円、学生・生徒は無料。
- 講師陣:岡山大学の青砥特命教授をはじめ、外部からも先端分野の専門家を招き、専門的かつ実践的な内容で構成。
- カリキュラム:半導体デバイスの基礎、AI・IoT時代の産業応用、産業界との連携事例紹介など多彩な内容。
- 定員:40名(先着順)で、すべての講義は津島キャンパス工学部で実施。
この講座は半導体の基礎を学びたい一般の方から、より高度な技術知識を身につけたい専門職の方まで多様な受講ニーズに応えています。とくに、半導体の生産・設計現場を担う次世代人材の早期発掘や、社会人のリスキリング(再教育)、技術革新を先導するシニア層の知識更新が期待されています。
講座では、「2030年には約150兆円市場となる半導体産業が、電機のみならずAI・IoT、モビリティ、医療など、ほぼすべての現代産業の中核インフラとなる」との解説がありました。受講生の多様な質問に、講師陣が丁寧に答え、双方向の学びの場が実現しました。
大学間・産業界との連携で教育と地域発展を推進
岡山大学の半導体公開講座は、同分野での人材不足や技術伝承の課題に対応するものです。大学間連携および産業界の協力を活かし、第一線の知見に触れられる点が大きな特長です。講座には、地元企業の技術者や中国・四国地方を中心とした他大学の学生も参加しています。
受講生からは「講師の説明が丁寧で理解が深まった」「現場の最先端の声が聞けて有意義だった」との声が多く寄せられました。また、学び直しニーズの高い社会人や定年を迎えたシニア層からも「最新のイノベーション事例を知ることで、町工場や地域経済の発展に役立てたい」との期待が表明されています。
岡山大学の国際入試説明会とグローバル人材育成
半導体公開講座と並行して、岡山大学グローバル・ディスカバリー・プログラムの国際入試説明会も実施されました。グローバル・ディスカバリー・プログラムは、言語や文化の垣根を超えて世界を舞台に活躍する人材の育成を目指した新しい教育プログラムです。
- 実施日:2025年9月下旬
- 対象:国内外の高校生、保護者、教職員
- 主な内容:プログラム概要、教育の特色、出願・入試方法、卒業生の活躍紹介、質疑応答など。
説明会では、国際色豊かなカリキュラム設計や、異文化協働プロジェクト、海外大学とのダブルディグリープログラムの紹介がありました。「探究心や多角的な物の見方を持った人材が、グローバル社会でどのような役割を果たせるか」を、具体的な進路実績や卒業生のメッセージを交え、分かりやすく伝えました。
参加者からは「世界で学び経験を積みたい」「多様な仲間との学びを楽しみにしている」と意欲的な声が寄せられ、岡山大学の国際競争力向上への強い期待が感じられました。
地域連携・産学連携強化へ――全国の大学と共に半導体教育の輪が拡大
今回の岡山大学の動きは、全国的な半導体教育推進の流れと連動しています。たとえば岩手大学でも、2025年から半導体基礎知識を学ぶ講座が始まり、地域の産業界と連携した人材育成が進められています。
岡山大学の担当者は「全国各地域で同様の取り組みが始まっており、大学同士の情報交換や教育資源のシェアを進めることで、我が国全体の技術力底上げに貢献したい」と話します。公開講座の資料やカリキュラムも柔軟に公開・シェアされており、社会全体で学びの機会を増やす工夫が随所に盛り込まれています。
未来を切り開く―半導体とグローバル人材の“ハブ”へ
岡山大学のこうした公開講座やグローバルプログラムは、大学の壁を越え、広く社会とつながる「知の拠点」としての役割を果たしつつあります。今後も先端研究や教育カリキュラムを発展させ、地域と世界それぞれに開かれた大学として歩み続けるでしょう。
- 半導体分野を中心に、最新技術を「知りたい」「学び直したい」という多様な学びのニーズに応えています。
- 公開講座・国際教育プログラムが相乗効果を生み、「地方から世界標準」の人材育成が進んでいます。
- 企業や地域社会との連携により、イノベーション創出・地域経済活性化への貢献も期待されています。
今後も全国の大学を巻き込みながら、社会全体で「知識の共有」「人材育成」「イノベーション創出」の連鎖を生み出すハブ(拠点)としてのチャレンジが続きます。岡山大学の「社会に開かれた学び」の取り組みは、未来への確かな一歩となるはずです。