跡見学園女子大学の新座キャンパスで発見された新種の桜が「アトミザクラ」と命名される

跡見学園女子大学は、創立150周年を迎えた2025年の節目の年に、大きな話題を呼ぶニュースを発表しました。新座キャンパスで自生していた新種の桜が、正式に桜の園芸品種として認定され、「アトミザクラ(跡見桜)」と命名されたのです。この発表は11月29日に開催された「創立150周年記念式典・祝賀会」で行われ、学園の歴史と桜への想いが詰まった瞬間となりました。

新種の桜発見の経緯

跡見学園女子大学の新座キャンパスは、47品種、約180本の桜の木に囲まれた「桜の名所」として知られています。校章をはじめ、桜をシンボルとする本学にとって、これらの桜は学園の象徴的な存在です。そのうちの1本が、実は新種の桜であることが判明したのは、1993年から10年間かけて実施された構内の桜の同定調査においてでした。

この貴重な発見により、樹木医で桜園芸品種研究会代表の田中秀明氏に園芸品種認定調査が依頼されることになります。調査の結果、「この桜はソメイヨシノより数日早く、若葉の展開前に一重咲大輪、淡紅色の花を咲かせるため、鑑賞性が高い」との評価を得ました。この特性は、春先の早い時期に美しい花を楽しめる点で、他の桜にはない大きな魅力となっています。

名称募集と「アトミザクラ」への決定

学園創立150周年を記念して、この新種の桜の名称を募集する企画が立ち上がりました。「新種のサクラに名をつけよう!」という企画には、学園内だけにとどまらず、広く一般の方々からも応募をいただき、予想を上回る150件以上の応募がありました。応募条件を満たす111件の中から、選考委員会が最終的に決定したのが、複数の方が命名した「アトミザクラ(跡見桜)」となったのです。

この名称は、桜の園芸品種名のルールに則って「‘跡見桜’ アトミザクラ Prunus ‘Atomi-zakura’」として桜園芸品種研究会に申請され、同研究会から桜の園芸品種として認定書が正式に発行されました。学園と桜の歴史を象徴するこの名前は、多くの人々の想いが込められた、非常に意味深い決定となったのです。

跡見学園と桜の深い関係

跡見学園が桜をシンボルとしている背景には、深い歴史的背景があります。学祖・跡見花蹊が1875年に「跡見学校」として開校した本学は、日本人女性が創設した国内で最も歴史のある私立女子教育学校です。そして、昭憲皇太后から桜の「御印」を賜った来歴が、学園にとって桜を特別な存在にしているのです。

創設者の跡見花蹊は「娘を思う親の愛と名人により花開き、今日まで大切に守り育ててきました」という言葉で表現されるように、学園の発展を見守ってきました。2025年の創立150周年という節目において、新種の桜「アトミザクラ」が誕生したことは、学園にとって新たな付加価値と象徴をもたらす出来事となったのです。

今後の展開と全国への広がり

「アトミザクラ(跡見桜)」の今後の展開が計画されています。苗木の生産を専門機関に依頼し、跡見ゆかりの場所への植樹が予定されているのです。全国各地に暮らす卒業生が、それぞれの身近な場所でこの新種の桜を眺めることで、母校に想いを馳せることができるようになります。

このプロジェクトの実現によって、「アトミザクラ」は単なる大学のキャンパスを彩る桜ではなく、全国の跡見学園関係者をつなぐシンボルへと進化していくでしょう。卒業生たちが故郷や新しい土地で「アトミザクラ」と出会うたびに、学園での思い出や友情が蘇ることになるのです。

春の名所としての認知

すでに跡見学園の新座キャンパスの桜は、春の名所として注目を集めています。2025年3月29日には「桜まつり2025」が開催され、10時30分から14時30分まで、学科の准教授によるトークイベント、ウィンドオーケストラ部による生演奏、学園創立150周年記念展示など、様々なプログラムが用意されました。また、同日はオープンキャンパスも同時開催され、受験生を対象とした大学紹介や学生・教員による相談コーナーも設けられたのです。

さらに、3月29日から5月15日(4月3日、4月7日、4月8日を除く)にかけて、桜鑑賞のための新座キャンパス構内の一般開放も実施されました。10時から15時までの間、一般の方々が実際に新種の桜を観賞することができるようになったのです。

学園の歴史と未来への思い

2025年は跡見学園にとって特別な年です。創立150周年と大学開学60周年という二つの節目の年に、新種の桜「アトミザクラ」が誕生し、正式に認定されたのです。これは、単なる植物の新種認定ではなく、学園の歴史と未来への思いが込められた、極めて象徴的な出来事なのです。

跡見学園女子大学は、さらに大きな改革も予定しています。2025年3月17日に「学園創立150周年宣言」の中で、2029年度をめどにキャンパスを一元化する方針が発表されました。これにより、学園の新たな時代への転換が進もうとしているのです。

「アトミザクラ(跡見桜)」は、こうした学園の歴史と未来が交差する瞬間の、美しく象徴的な存在となったのです。春の訪れとともに淡紅色の花を咲かせるこの新種の桜は、これからも多くの人々に愛され、学園の物語を紡ぎ続けていくことでしょう。

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