直島、さぬき市―瀬戸内国際芸術祭2025夏会期がもたらすアートと地域の新たな出会い

2025年8月、瀬戸内の島々と沿岸部で開かれている「瀬戸内国際芸術祭2025」が、今、夏会期の真っただ中です。今年の芸術祭は、いつになく大きな話題を集めています。その背景には、初めての公式会場となった香川県さぬき市の参加と、直島や志度・津田といった著名なアートスポットでの新たな展示、そして国内外218組もの作家が集う多様な作品群があります。例年以上に、地元住民から観光客まで、幅広い層の人たちがアートと地域の個性を楽しみに足を運んでいます。

瀬戸内国際芸術祭2025の概要

瀬戸内国際芸術祭は、2010年から始まり、「海の復権」をテーマに、香川県および岡山県にある瀬戸内の島々と沿岸部を舞台として開催される現代アートの祭典です。3年ごとに行われてきたこのイベントも2025年で第6回目となり、島々と地域の多様性、自然、歴史、現代美術が混ざり合う、世界に類を見ない文化体験となっています。今年の芸術祭には、256点のアート作品と20を超えるイベントが用意され、37の国や地域、そして国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)から作家が参加しています。

初参加のさぬき市―地域が一丸となった新たな試み

  • 会場期間:令和7年8月1日(金)から8月31日(日)までの31日間、10時〜21時が開場時間です。
  • 開催場所:さぬき市志度・津田エリア(会場には旧さのや呉服店なども活用され、地域の商店街や観光スポットと一体化)。
  • 会場の雰囲気:盆休みの家族連れやアートファン、地元の高校生や外国人観光客も各会場を歩き、夏の暑さの中で作品を巡ります。
  • セレモニー:8月1日には市役所でオープニングセレモニーが開催され、行政、作家、地域住民らが一体となって開幕を祝いました。

直島と瀬戸内―国内外の注目集まるアートアイランド

直島は、安藤忠雄設計の美術館や、草間彌生の「南瓜」などに代表されるアート作品によって、長年国内外のアート好きから注目されてきた場所です。今年も直島には全国から多くの人が集まり、遠方の家族と一緒にアートを楽しむ「母妹と直島アートの旅」のような個人旅行記もSNSで話題となっています。「島を巡ると、新旧が共存するアート群と瀬戸内の穏やかな海風。作品の間をゆっくり歩くその体験こそ、直島ならではの贅沢」といった声が多数寄せられています。

今夏のさぬき市会場の見どころとエリア整備

  • 臨時駐車場・シャトルバスの運行:志度、津田各エリアに臨時の駐車場が整備され、会期中はシャトルバスも会場間を運行します。安全上、各作品会場間の車移動は控えるよう呼びかけがなされています。
  • 熱中症対策:8月上旬の猛暑対策として、案内所では日傘の貸し出しや冷房休憩所の設置、こまめな水分補給の呼びかけなどが行われています。
  • 周辺スポット:大串自然公園や津田の松原、地元のお店やカフェの割引協力、夏ならではの「津田まつり」や伝統的イベント「竹林上人追善茶会」なども多数実施され、アート以外の楽しみも満載です。
  • さぬき市グルメ体験:新鮮な海産物や伝統のさぬきうどん、地元素材を使ったジェラートなど、食文化とも密接に触れ合える絶好の機会です。

アーティストの挑戦―マリーナ・モスクヴィナ「てぶくろくん、愛を探し月にも」

今回の会期で大きな注目を集めているのが、ロシアのアーティスト

マリーナ・モスクヴィナ

です。彼女の新作「てぶくろくん、愛を探し月にも」は、瀬戸内の島々を旅する主人公が、多様な文化とふれあいながら“愛”を探し、やがて月へと想像を広げていくストーリー性の強いインスタレーションです。観覧者は、展示空間を歩きまわりながら時間や場所を超えて広がる“想像”に没入し、多様な人たちとの出会いが生み出す〈受け取り方の違い〉を楽しめる作品となっています。

観光とアートがつなぐ人と地域

芸術祭期間中、直島やさぬき市だけでなく、志度、津田、そして高松や周辺の離島も多くの来訪者でにぎわっています。

  • 観光面: 地元のガイドや高校生によるワークショップ、海岸清掃など、地域主体の取り組みが進みました。アートに触れる旅の合間に、島々の歴史や自然、地元コミュニティならではのおもてなしが人々の交流を生み出しています。
  • 交通・アクセス: 瀬戸内の島々を巡る高速船やフェリーは芸術祭限定ダイヤも導入され、乗り放題チケットやパスポートも好評です。島巡りとあわせてローカル線「ことでん」やレンタサイクルを使う人も多いです。

家族連れの思い出作りとSNSの盛り上がり

芸術祭には、家族連れや若いカップル、アートサークルの学生たちも多く見かけます。「母妹と直島アートの旅へ」という体験記では、「初めてアートにふれた妹が、島の静けさと不思議な作品に興味津々だった」など心温まるエピソードも。SNSではお気に入りの作品や、会場の地元グルメをシェアする投稿、「#瀬戸芸2025」「#直島」「#さぬきアート」で盛り上がりをみせています。

地域活性化と将来への希望

さぬき市が初参画したことで、地元の商工会や行政、学校、観光業者が連携し、地域一体となってアートイベントを支えています。盆休みや夏休みを利用し、都市部や海外からの来場も多く、経済面・観光面での好影響がすでに見えてきました。

「アートでまちが変わる」「また来たい」といったポジティブな声が各所で聴かれ、かつて過疎や高齢化が問題となっていた小さな町や島々が新たな活気に包まれています。瀬戸内の持つ可能性と、その魅力を世界に向けて発信する場として、瀬戸内国際芸術祭は今後も注目され続けるでしょう。

まとめ:直島・さぬき市の今を体感する夏アート旅へ

2025年夏の瀬戸内国際芸術祭は、直島をはじめとしたアートの聖地、そして新たに加わったさぬき市の地域資源と融合し、アート・食・人々の出会いを創出する場となっています。今しか見られない作品やイベント、地域の日常と非日常が交錯する瀬戸内。多くの人がこの夏、特別な思い出をこの地でつくっています。
次は、実際に足を運んでその空気を味わってみませんか?

参考元