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長野市で猫の多頭飼育崩壊が発生 保健所が39匹を保護――命を救うため譲渡会に160人が来場
多頭飼育崩壊とは――現場で何が起きたのか
多頭飼育崩壊とは、ペットを多数飼育していた家庭などで、飼い主がきちんと世話をできなくなり、動物たちの健康や安全が損なわれる状態を指します。今回、長野市内の住宅でこの「多頭飼育崩壊」が発生しました。飼い主である60代の男性は、一人暮らしで猫の世話をしていましたが、2025年7月末に突如体調を崩し、入院。男性の親族が自宅を訪れたところ、室内には多数の猫と散乱したごみ、そして糞尿の強い臭いが広がっている状況でした。
室内は清掃がほぼ行き届かず、床や家具の隙間にも猫の毛やごみが蓄積。猫たちは2歳から10歳までの幅広い年齢層で、室内環境の悪化や世話の不足から健康状態が心配される個体も多く見受けられました。残念ながら多数の猫が命を落とす事態となり、保健所職員や動物愛護団体が黙祷しながら66匹を救出した事例も報道されています。
長野市動物愛護センター・保健所による猫たちの緊急保護
飼い主不在のまま放置されていた猫たちは、長野市保健所及び動物愛護センターによって39匹あるいは47匹規模で保護されました。報道時期や保護活動の進行により数字に若干の差異がありますが、いずれも「猫たちの命を守る」ことが最優先目標となりました。
- 保護された猫たちは不妊・去勢手術を施され、弱っている個体には治療も実施。
- 収容先のセンターは最大収容数ぎりぎりまで猫たちを保護し、職員は大変な業務負担の中で保護活動にあたりました。
- 中には歯がぐらついて食事もできない状態だった猫もおり、動物病院で抜歯や口腔内炎症の治療を受け、回復に向かった例もあります。
本来は人間と動物が共に安心して暮らせるはずの家庭ですが、多頭飼育崩壊によって、そのバランスが崩れると動物にとって過酷な環境・病のリスクが高まります。保健所や愛護センターが保護・治療・譲渡といった対策に追われることになるのは、全国的にも共通の社会問題となっています。
命をつなぐために――緊急譲渡会の開催と市民の反響
長野市動物愛護センターは、保護された猫たちが次に「温かい家庭」で暮らせるよう、緊急譲渡会を開催しました。8月16日に開かれた会には、約160人が来場。猫たちを引き取り家族の一員として迎え入れるために、多数の希望者が集まりました。
- 緊急譲渡会は予約不要とし、当日も朝から多くの人々でセンターが賑わったとのことです。
- 来場した人の中には「飼い主がいなくて困っているネコたちを飼いたい」と話す小学生の姿もありました。
- 譲渡の際には、猫たちが生涯にわたり幸せに暮らせるよう、家族としての責任を持って迎え入れることの重要性が繰り返し呼びかけられました。
センター長・保健所職員は「一匹一匹が新しい家庭で、温かく迎えられ、最後まで愛情を持って見届けてもらいたい」とコメント。猫の譲渡希望者は多かったものの、疾患が残る個体もおり、すべての猫に新しい家が決まるまでには時間もかかります。継続的な譲渡活動や医療費の確保など、関係者の努力は続いています。
多頭飼育崩壊の背景と、今後の課題
なぜ、このような多頭飼育崩壊が起きてしまったのでしょうか。主な要因には次のような点が挙げられます。
- 一人暮らしの高齢者や体調を崩した飼い主により、世話が困難になる。
- 不妊・去勢手術がされず、想定以上に猫が増えてしまう。
- 飼い主がペットの年齢・健康・生涯飼育について十分な知識や準備がない。
- 周囲に相談せず孤立し、飼い主が困難を抱え込んでしまうケースも目立ちます。
動物愛護センターは「不妊・去勢手術の徹底」や「多頭飼育のリスクについての啓発」、「何かあったときに早めに相談できる地域ネットワークづくり」などを呼びかけています。飼い主の高齢化や生活環境の変化は、どの地域でも起こりうる課題です。「何十匹も増える前に手を打つ」こと、難しい場合は関係機関と早期に連携することが大切です。
今後の課題としては、保護猫の受け皿の整備・譲渡会の拡充、飼い主へのサポート体制の強化、行政と市民が共に考え行動できる社会づくりなどが求められています。また、猫を迎える際は「最後まで責任を持つ」とともに、「ペットが増えすぎないようにする」ことへの理解と実践が不可欠です。
現場からのメッセージ――生きものと共に暮らす意識を
今回の多頭飼育崩壊の事例は、誰にでも起こりうる課題であり、他人事とは言い切れません。今、保護された39匹の猫たちが新しい温かい家庭で迎え入れられるよう、多くの市民が行動を起こしています。
猫を飼う人々には「避妊・去勢手術を行うこと」「動物の生涯を見通し、年齢や健康状態に合わせて責任を持って飼育すること」「困りごとや不安は一人で抱え込まず、自治体や動物愛護団体に相談すること」が大切です。ペットは家族の一員です。ぜひ、これから動物を飼おうとする方、そしてすでに一緒に暮らしている方も、「命を最優先する社会」づくりの担い手として、お互いを支えあっていきましょう。
関連情報・相談窓口
- 長野市保健所動物愛護センター(譲渡会・保護動物の受け入れ相談)
- 動物愛護団体・ボランティアグループ(譲渡支援・飼い主支援)
- 市町村の福祉課や社会福祉協議会(高齢者支援・見守り事業)
もし身近でペットの飼育が困難になった時や、多頭飼育で不安な点がある場合には、早めに相談・協力を求めましょう。それが、動物と人が共に安心して暮らせる地域作りの第一歩です。
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