「千年の愚行」北陸新幹線延伸計画が京都で大きな波紋 仏教会が改めて強硬に反対
北陸新幹線を敦賀から小浜・京都ルートで新大阪駅まで延伸する計画をめぐり、京都で反対運動が一層高まっています。特に京都仏教会が「千年どころか有史以来の愚行」と改めて強硬に反対表明し、署名活動を通じて計画見直しを求める動きが加速しています。
京都仏教会の強硬な反対姿勢
京都仏教会は小浜・京都ルートについて、既に「千年の愚行」と厳しく批判していますが、この度さらに「千年どころか有史以来の愚行」と表現を強め、改めて反対意思を明確にしました。同会は計画の再考を強く求めており、その影響力は京都において非常に大きいとされています。
仏教会の主張の根底にあるのは、地下水への悪影響への懸念です。小浜・京都ルートは約8割がトンネルであり、大規模な地下掘削に伴う地下水の水量や水質悪化、さらには土中から猛毒のヒ素が検出される可能性もあります。豊かな水の恵みを受けて1200年の歴史を築いてきた京都の自然環境が失われることへの危機感が、仏教会の強い反対につながっているのです。
署名活動の進捗状況
京都仏教会を中心とした反対運動は2025年2月から本格化し、ルート撤回を求める署名活動が展開されています。当初の目標は1年間で50万筆を集めることでしたが、11月時点での実績は5万1459筆にとどまっています。これは目標の10%程度の達成率にすぎません。
ただし、仏教会は「水に流されるまで声上げ続ける」と決意を新たにしており、残り3か月の活動で目標達成を目指す方針です。5万筆という数字は京都市の人口(143万人)の3%程度ですが、象徴的な意味合いを持つ署名として注視されています。
京都市長との面談と地元の懸念
署名活動が一定の成果を上げる中、仏教会は京都市長との面談も実現させています。この面談では、延伸計画に伴う膨大な建設残土の処分問題や、京都府・市の巨額の財政負担といった課題が改めて提起されました。
京都府知事と京都市長も昨年12月の段階で、延伸の必要性は認めつつも、これらの懸念事項に対して「準備が整っていない」との立場を示していました。与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム座長の渡海紀三朗氏も、「着工5条件に入っている地元の説得について京都では準備が整っていない」と述べており、地元説得の難航が公式に認識されています。
計画の現状と課題
北陸新幹線は現在、敦賀駅までの開業が決定しており、大阪延伸も基本的には決まっています。しかし到達するルートについて関係者の間で意見が対立している状況です。
現行案の小浜・京都ルートでは、福井県小浜市を経由して京都を通り、松井山手を迂回して新大阪駅に到達する計画になっています。この案では約8割がトンネルになるため、東京ドーム16杯分もの建設残土が予想されており、その処分は極めて困難な課題となっています。
一方、別のルートとして「米原ルート」の検討を求める声も存在しており、7月に行われた参院選でもこうした議論が争点の一つとなっています。
予算計上の見送りと今後の展開
京都駅南側地下の「南北案」か、JR桂川駅地下の「桂川案」かで揺れる新駅位置の問題を背景に、国土交通省は2025年度予算案での建設費計上を見送っています。調査費のみが計上され、小浜新駅の着工準備などは進める予定とされています。
2025年度着工を目指していた与党の計画は、京都府内22団体による反対運動の広がりと、仏教会の影響力を前に、大きく遅延する見通しとなりました。今年度中(2026年3月まで)の工事認可も視野に入っていますが、京都側の説得がクリアできるかが最大の焦点です。
地元負担の巨額化への危惧から、自民党府議団内部にも混乱が生じており、計画推進派の内部分裂も表面化しています。関西と北陸を結ぶ重要なインフラ整備の一方で、京都の歴史的・自然的環境をどう守るか、という根本的な問題に直面する北陸新幹線延伸計画の行方は、今後の調整に大きく左右されることになりそうです。




