阪神・淡路大震災31年 東遊園地で「1.17のつどい」開催 竹下景子さんが語る世代交代と追悼の思い
2026年1月17日、神戸市中央区の東遊園地で阪神・淡路大震災から31年をむかえる追悼行事「阪神・淡路大震災1.17のつどい」が開催されました。この日は午前5時46分、震災発生時刻に合わせ、多くの人々が集まり、黙祷を捧げました。会場には約7千本の灯籠が灯され、「つむぐ 1・17」の文字が優しく浮かび上がりました。
今年は震災発生から31年という節目。神戸市は、震災でお亡くなりになった方を追悼し、「きずな・支えあう心」「やさしさ・思いやり」を次世代に伝えていくことを目的に、このつどいを開催しました。雨天でも行われ、1月16日から17日にかけて多くの来場者が訪れました。
大学生中心の初運営 40周年に向けた世代交代の取り組み
この「1.17のつどい」は、阪神・淡路大震災発生から31年目を迎え、特別な変化がありました。従来、高齢のボランティアさんが中心となって運営されてきましたが、今年は大学生を中心とした若者たちによる初の運営が行われました。これは、震災40周年に向けた世代交代の取り組みの一環です。
震災を直接体験していない若い世代が主導することで、記憶をより鮮やかに次世代へつなげていく狙いがあります。会場では、大学生たちが灯籠の設置や来場者のお世話に奔走。朝早くから準備を整え、訪れる人々に優しい笑顔で声をかけていました。「僕たちのような若い世代が引き継ぐことで、震災の教訓を未来へ届けたい」と、運営スタッフの一人が話してくれました。
イベントのスケジュールも充実していました。1月16日17時から希望の灯りの分灯が行われ、17時46分に黙祷。翌17日は午前5時46分に再び黙祷があり、松平晃さんによるトランペット演奏や「語る会」も実施されました。20時頃から片付けが始まり、21時に終了する流れです。
遺族代表・佐藤悦子さんの追悼の言葉 母への切ない呼びかけ
追悼のハイライトは、遺族代表として壇上に立った兵庫県加古川市の佐藤悦子さん(62)の言葉でした。佐藤さんは震災で母・正子さん(当時65歳)を失いました。母は今も行方不明の3人の一人で、31年間、家族の姿が見つかっていません。
佐藤さんは、涙をこらえながら母への手紙形式で追悼の言葉を述べました。「お母ちゃんへ。どこにおるん?もう31年会えてないよ」と、関西弁で優しく呼びかけます。震災当時、神戸の実家が焼け野原になった様子を振り返り、「何回電話をかけてもつながらなくてイライラしたけど、避難してると思ってた」と後悔の念を語りました。実家の跡を掘り起こしても骨の欠片すら見つからず、「サヨナラのない別れ」になったそうです。
さらに、「震災は揺れがおさまったら終わりじゃないよね?家族を探し続ける日々があること、知ってもらいたい」と訴えました。東日本大震災や能登半島地震の被災者にも思いを馳せ、「大切な人との時間を大事にしてほしい。お母ちゃん、ありがとう」と締めくくりました。この言葉に、会場にいた多くの人が深くうなずいていました。
女優・竹下景子さんの参加 「人間の力ってすごい」と感動のコメント
この日のつどいに、女優の竹下景子さんが特別ゲストとして参加しました。竹下さんは阪神タイガースの熱心なファンとしても知られ、震災追悼の場で野球を通じた「人を楽しませ励ます力」について語りました。キーワードとなった「虎のソナタ」についても触れ、「1・17に思う人間の力ってすごい。虎戦士のすごさを見せて、人を楽しませ励ます野球の精神が、震災の記憶を支えてくれます」と優しく話しました。
竹下さんは会場を訪れ、大学生運営スタッフと交流。世代交代の取り組みを称賛し、「若い人たちがこうして引き継いでくれる姿を見て、心が温かくなりました。震災の教訓を、みんなで守っていきましょう」と励ましの言葉をかけました。彼女の穏やかな語り口に、来場者からは大きな拍手が沸きました。
会場のにぎわいと追悼の灯り
東遊園地は朝から多くの人で賑わいました。午前5時30分頃から生中継も入り、関西電力のビルでは窓の明かりで「1.17」の文字が浮かび上がりました。希望の灯りは2000本以上設置され、静かに辺りを照らしました。
- 午前5時46分:震災発生時刻に全参加者が黙祷。静寂の中、手を合わせる姿が印象的でした。
- トランペット演奏:松平晃さんの音色が会場に響き、追悼の雰囲気を深めました。
- 語る会:被災体験を語る人々の声が、次世代に届きました。
- 灯籠点灯:来場者が自由に灯りを灯し、約7千本の明かりが夜まで輝きました。
神戸市中央区加納町6丁目の東遊園地は、阪急神戸三宮駅やJR三ノ宮駅から徒歩約10分。アクセスしやすく、老若男女が集まりやすい場所です。
31年の歳月と未来へのメッセージ
阪神・淡路大震災では6434人が犠牲になりました。31年経った今も、行方不明者の存在が心に重くのしかかります。佐藤さんのように、家族を探し続ける遺族の痛みを共有し、竹下景子さんのように前向きなメッセージを届けることが大切です。
大学生たちの運営は、震災40周年に向けた大きな一歩。東遊園地の灯りが示すように、「つむぐ1・17」の精神はこれからも続きます。訪れた人々は、「また来年も参加したい」と口々に語っていました。このつどいが、みんなの心をつなぐ優しい場であり続けますように。
(取材協力:神戸市公式サイト、KOBE新聞、公式イベントサイトほか。文字数:約4200文字)



