発達障害のある学生を支える大学支援の動き 金沢大学プログラムが注目
発達障害のある高校生が大学進学を安心して目指せるよう、全国の大学でさまざまな支援プログラムが展開されています。特に、金沢大学が主催した「入学前に知っておきたい大学のこと」というプログラムは、参加者から高い評価を集めました。この記事では、そんな最新の取り組みを中心に、発達障害学生の大学生活を優しく解説します。
金沢大学の大学進学準備プログラムとは?
金沢大学は、発達障害のある高校生とその保護者向けに、大学進学準備プログラム「入学前に知っておきたい大学のこと」を実施しました。このプログラムは、2025年12月7日(日)に金沢大学角間キャンパスで開催され、午前8時45分から午後4時15分まで行われました。受付は8時15分からスタートです。募集対象は大学進学を考えている発達障害のある高校生とその父母などで、定員は5組程度、先着順でした。金沢大学への進学希望の有無は問わず、誰でも参加可能でした。
プログラムの目的は、大学生活の様子を事前に知ってもらい、進学準備に役立てることです。高校と大学では環境が大きく異なり、発達障害のある学生さんが特に困りやすい場面が多いんです。そこで、キャンパスの紹介、シラバスを使った授業内容の理解、大学生活に向けた準備に関する模擬授業が行われました。保護者の同伴が推奨されていて、事情があれば事前相談もOK。中学生の参加も受け付けていました。参加費は無料で、対面のみ、事前申し込み制です。申込期限は12月1日まででした。
実際に実施された当日の様子を、金沢大学のニュースからお伝えします。障がい学生支援室が主催し、キャンパス紹介、シラバスを使った時間割作成、大学生活準備の模擬授業を実施。参加した高校生からは「大学のことをよく知ることができた」、保護者からは「実際に時間割を組むなど貴重な体験ができた」という感想が寄せられました。このプログラムは、日本学術振興会(JSPS)科研費採択課題「発達障害のある生徒のための大学適応に向けた準備支援プログラムの開発」(研究代表者:濱田里羽助教)の助成を受けて行われました。
なぜ発達障害のある学生さんに大学進学準備が必要?
大学は高校までと違い、自分で授業を選び、時間割を作り、人間関係を築き、生活リズムを整えなければなりません。発達障害のある方の中には、時間管理が苦手だったり、集団生活でつまずきやすかったりするケースがあります。そんな不安を解消するために、こうしたプログラムが大事なんです。金沢大学の取り組みのように、事前に大学のリアルを知ることで、心の準備ができます。
京都大准教授の声として、「大変だから免除」は教育放棄だという指摘もあります。発達障害学生に望むのは、自立した力をつけること。支援を受けつつ、自分で努力する姿勢が大切だと語られています。この言葉は、大学側も学生さんも意識すべきポイントですね。
また、「となりの発達障害-大学で気づく-」という連載では、精神科医の山科満氏が、大学で時間割や人間関係でつまずくケースを紹介。大学入学後に発達障害に気づく人が多く、早めの準備が鍵だと指摘しています。
全国の大学で広がる支援プログラム
金沢大学以外にも、発達障害のある学生支援が活発です。例えば、東北大学では2025年8月2日に「発達障害のある高校生・既卒者向け大学準備講座1DAY」を開催。高校から大学へのスムーズな移行をテーマに、本学進学希望者や興味のある方を対象としました。
筑波大学では、8月24日に「じぶんハッタツラボ 発達障害のある高校生向け講座」をオンラインで実施。模擬授業体験、履修計画作成、発達障害当事者の大学生活体験談を共有しました。
大阪大学は、2025年3月22日に「令和6年度大阪大学プレキャンパスプログラム」を発達障がいのある大学入学予定者向けに開催。キャンパスライフ健康支援・相談センターがサポートしました。
こうしたプログラムは、大学ごとの特色を活かしています。オンライン形式や1日完結型が多く、参加しやすいのが魅力です。
大学での主な支援制度をチェック
大学に入学したら、どんな支援が受けられるのでしょうか? 多くの大学に「障害学生支援室」や「学生支援センター」があり、相談可能です。主な合理的配慮を表にまとめました。
| 支援内容 | 詳細 | 対象となる困りごと |
|---|---|---|
| 試験時の合理的配慮 | 時間延長、別室受験、問題文の拡大・読み上げなど | 緊張しやすい、読むのが遅い、集中が続きにくい人に有効 |
| 課題・レポート支援 | 提出期限の延長、口頭提出の許可、書き方の相談 | 書く力に不安、長文を書くのが負担なときに使いやすい |
| 履修相談 | ノートテイクの協力、履修計画のアドバイス | 授業についていけない不安、人間関係の悩み |
これらの支援は、入学前から相談できる大学も増えています。申請には「何が困っているか」を自分の言葉で伝える書類が必要です。大学側が判断し、適切な配慮をします。
- 放送大学のように、在宅で自分のペースで学べる選択肢も。対人不安や感覚過敏の方にぴったりです。
- キャリアセンターでの就職支援も充実。就活対策や福祉連携が鍵です。
支援コーディネーターが学生と教員の橋渡しをし、履修や試験、生活の相談に乗ってくれます。
保護者と一緒に進める進学準備
金沢大学のプログラムのように、保護者の参加が推奨されるのはなぜ? 大学環境を共有し、家庭でフォローしやすくなるからです。参加者の声からも、「貴重な体験」と好評でした。発達障害のあるお子さんを持つご家族は、こうしたイベントを活用して、心強い一歩を踏み出せます。
また、LITALICOのセミナーでは、グレーゾーン・発達障害のある子の大学進学・就活をオンラインで解説。2026年1月11日開催予定です。 じぶん研究講座2025冬も、自己理解を深めるプログラムとして注目されています。
自立への一歩を応援
発達障害があっても、大学進学は夢ではありません。金沢大学をはじめ、全国の大学が「その人に合った学び方」を支援しています。京都大准教授の言葉を胸に、「大変だから免除」ではなく、力を養いましょう。山科氏の指摘通り、大学で気づく前に準備を。
こうしたニュースから、社会全体で発達障害学生を支える機運が高まっています。高校生の皆さん、保護者の皆さん、ぜひ大学支援の扉を叩いてみてください。きっと明るい未来が待っていますよ。
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