立川立飛歌舞伎特別公演2025:市川團子の宙乗りと尾上右近の心温まる稽古が話題

立川ステージガーデンを彩る華やかな公演

2025年10月23日、立川ステージガーデンで行われた「立川立飛歌舞伎特別公演」初日は、歌舞伎ファンだけでなく地域の方々にとっても特別な一日となりました。立飛グループ創立100周年記念に合わせ、今年で三回目の開催となったこの公演には、市川團子・中村壱太郎・市川中車・尾上右近ら、現代歌舞伎界を代表するスターが集結し、観客を魅了しました。「新説 小栗判官」と「連獅子」——二つの演目が披露され、歴史ある叙事と現代の演出美が見事に融合した舞台は多くの感動と拍手を呼びました。

話題のニュース:市川團子の宙乗りと脚光の瞬間

今回の公演最大の見どころの一つが市川團子による神馬にまたがる宙乗りです。宙乗りとは、舞台上のワイヤー装置を使い、役者が空中を舞う歌舞伎ならではの豪快な演出です。市川團子は、演目「新説 小栗判官」にて小栗判官役として神馬にまたがり、客席の上を華麗に舞いました。この瞬間、会場は割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、子どもから大人までの観客の目はそのダイナミックな動きに釘付けとなりました。

また、同じく「新説 小栗判官」公演では中村壱太郎・尾上右近・市川團子の三人による合同宙乗りも披露。三人の役者が一斉に空中を舞う姿は圧巻で、「歌舞伎の進化と伝統の融合」を体感する貴重な瞬間となりました。特に市川團子が二役を演じ分け、神馬を巧みに操る姿は物語の核心となる勇敢さや智恵を象徴しており、観客の記憶に強く刻まれました。

『新説 小栗判官』のあらすじと見どころ

「新説 小栗判官」は、将軍家の命によって許婚となるほど智勇兼備の小栗判官と、常陸国の領主の娘・照手姫による壮大な恋物語。二人は国の領地を奪おうとする横山大膳の陰謀によって数々の困難に直面します。横山大膳は暴れ馬を駆使して小栗判官の命を狙うものの、小栗は抜群の馬術でこれを制し、英雄としての真価を発揮します。最終幕では照手姫の父の仇である横山大膳への復讐劇が鮮やかに描かれます。市川團子は小栗判官・浪七の二役を巧みに演じ分け、物語に緊張感と深みを与えています。また、宙乗りによる演出が戦闘シーンや空を駆ける場面で効果的に用いられ、劇をより壮大なものにしています。

  • 市川團子:小栗判官/浪七
  • 中村壱太郎:照手姫
  • 尾上右近:万長娘お駒/素戔嗚尊
  • 市川中車:横山大膳
  • 脚本・演出・振付:藤間勘十郎

尾上右近の「連獅子」特別稽古と子どもたちとのふれあい

もう一つ心温まるニュースが、尾上右近による「連獅子」稽古の幼稚園訪問です。歌舞伎は伝統芸能でありながら、普段一般の方が舞台裏や稽古風景を目にする機会が限られています。尾上右近は、東京都内の幼稚園を訪れ、獅子親子の絆と勇気を描く人気舞踊「連獅子」の一部を園児たちの前で披露しました。獅子の気迫と親子の温かみを体現しながら、園児たちに芸の世界の奥深さと美しさを優しく語りかけ、場の空気は和やかで活気あふれるものとなりました。

さらには、稽古の後で園児たちと笑顔で記念撮影も行われ、子どもたちは歌舞伎役者の本物の衣装や動きに興味津々。その姿からは、「伝統文化が世代を越えて受け継がれていく」歌舞伎の未来への希望が伝わってきます。

立川立飛歌舞伎公演の詳細と演目

立川立飛歌舞伎特別公演は、2025年10月23日(木)~26日(日)まで立川ステージガーデンにて開催されています。上演作品は「連獅子」、「新説 小栗判官」の二本立て。親子の絆、人間の勇気と試練、そして宿命の恋物語が、華麗な舞台美術と迫力ある演技、ダイナミックな宙乗り演出などを通して表現されます。

  • 開催期間:2025年10月23日(木)~26日(日)
  • 会場:立川ステージガーデン
  • 演目:「連獅子」(親子の愛情と勇気)/「新説 小栗判官」(恋と騎馬の英雄譚)
  • 出演:市川團子、中村壱太郎、尾上右近、市川中車ほか
  • 宙乗り・馬術など、歌舞伎の代表的なスペクタクル演出も楽しめます

観客や地域の反響

初日からチケット完売が続くほどの盛況ぶりで、立川の地に日本を代表する芸能が根付いていることを実感させます。歌舞伎初体験の観客にとっても、役者の熱演や感動的な物語、派手な演出は新鮮な驚きとなったようです。宙乗りは大人から子どもまで楽しめ、会場全体が一体となって盛り上がるのが印象的です。多くの若者や親子連れが会場を訪れ、文化の継承や地域活性の観点からも意義のある公演となっています。

担い手たちの想いと言葉

今回出演した役者陣は「歌舞伎の本質的な美しさや楽しさを、世代や地域を越え、幅広い方に伝えたい」という思いを持って舞台に臨んでいます。特に市川團子や尾上右近は、日々の稽古や本番の舞台を通して、歌舞伎の魅力を次世代へつなぐ役割を強く意識しています。舞台を経験した子どもたちは憧れと新たな発見を得て、歌舞伎ファンの幅が確実に広がっています。

これからの歌舞伎と立川の未来へ

「立川立飛歌舞伎特別公演」は、“観るだけでなく感じる”現代歌舞伎の象徴的なイベントとして、今後ますますその存在感を増していくことでしょう。市川團子の神馬宙乗り、尾上右近の心温まる交流など、確かな伝統のなかに新たな挑戦が随所に光り、歌舞伎という芸能が今を生きる人々とともに育まれていく様子が伺えます。文化と地域が手を取り合うことで、未来の立川、未来の日本にさらなる芸能の花が咲くことでしょう。

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