曽我ひとみさん、母・ミヨシさん救出と拉致被害者全員の帰国を訴える

2025年8月27日、拉致被害者の曽我ひとみさんが都内で講演を行い、「北朝鮮による拉致問題はいまだに進展が見られない」と語り、拉致被害者全員の一刻も早い帰国を強く訴えました。今年は曽我さんが帰国して23年という節目の年であり、また、拉致からはなんと47年という長い年月が経過しています。講演ではご自身と母・ミヨシさんの体験をもとに、未解決の現状への思いとご家族や社会への願いを語りました。

曽我ひとみさん、初の都内単独講演

  • 1978年、当時19歳だった曽我ひとみさんは、母・ミヨシさんとともに北朝鮮に拉致されました。
  • 以降、曽我さんは被害者とその家族の救出活動に尽力し、全国各地で講演や署名活動に取り組んできました。
  • 今回は都内で初めてとなる一人での講演会で、拉致問題の深刻さと「一刻も早い全員の帰国」を訴えました。

曽我さんは「拉致問題はほとんど進展が見られず、被害者や家族は高齢になってしまいました。一日でも早く、全員が家族と再会できるよう、日本政府には日朝会談の場を設けて確実な交渉を進めてほしい」と、強い言葉で訴えかけられました。

家族の絆、そして祈り「救出できるその日まで、とにかく元気でいてほしい」

2025年8月12日で拉致から47年を迎えました。当時の体験、そして帰国までの生活やその後の心情について、多くの聴衆が曽我さんの声に耳を傾けました。

  • 曽我さんは講演の中で「拉致された人は一日も早く家族と会いたいと願っている。家族が高齢になった今こそ、一日でも早い解決を」と述べ、国民一人ひとりが問題を自分のこととして感じてほしいと訴えました。
  • また、「私が今最も願うのは、母が無事でいてくれること、そして全ての拉致被害者が元気に家族のもとに帰ること」と語り、実母ミヨシさんへの切実な想いを滲ませました。
  • 講演では、拉致問題の風化を防ぐためにも「大切な人を突然奪われた悲しみと、その重さ」を今伝えたいと語りました。

「北は人の命軽い」—今も消えない切実な危機感

曽我さんは北朝鮮での体験を振り返り、「北朝鮮では人の命はとても軽く扱われている」と告白しました。日本で当たり前だと思っていた生活や人権が、いかにかけがえのないものだったかを痛感したと言います。拉致問題は単なる外交課題ではなく、「人権と命の尊重」という根本的な価値観に関わる重大な問題であることを、自らの言葉で語りました。

署名活動とパネル展—市民社会の支え・新潟県の取り組み

新潟県佐渡市では、曽我さん親子や横田めぐみさんなど、拉致被害者と特定失踪者の写真パネル展が開催され、被害者全員の帰国を願う署名活動も行われています。このパネル展の目的は、被害者やその家族の気持ちを市民が「自分ごと」として理解し、拉致問題の早期解決に向けた世論を高めることにあります。

  • 2025年8月6日〜20日まで佐渡市役所で開催。
  • 市民や観光客が足を止め、展示を通して現実の重さに触れています。
  • 署名活動も同時に進められており、集まった声は政府への強い要望となっています。

新潟県主催の「拉致問題啓発セミナー」では、ヒューマンキャンパスのぞみ高等学校新潟学習センターが共催し、次世代を担う若い世代へも正しい理解と関心を広げる取り組みが進められています。

拉致問題の現状と解決への課題

曽我さんのように「帰国を果たした被害者」はいますが、いまだ母・ミヨシさんを含む多くの日本人が北朝鮮で行方知れずのままです。曽我さんをはじめ被害者家族は、年々加齢が進み「家族が高齢となる前に解決を」という切実な思いを抱えています。

国際社会との連携や国民の世論喚起、そして何より日本政府による粘り強い外交交渉が不可欠です。曽我さんは「問題を決して風化させず、一人でも多くの声を上げてほしい。そして自分たち家族が再び一緒に暮らせる日を信じている」と語りました。

「拉致問題を忘れないで」—講演会の意義と未来へ向けたメッセージ

  • 北朝鮮による拉致問題は、国家の主権侵害、人権侵害という極めて重大な事件であり、社会全体の関心と行動が必要です。
  • 曽我ひとみさんの講演会は、その悲劇と人権侵害の実態、家族を奪われた当事者としての心情を伝える貴重な機会となっています。
  • 「あきらめずに声を上げ続けること、それが解決への唯一の道だと思っています」という曽我さんのメッセージは、会場に集まった多くの人々の心を強く打ちました。

今後に向けて—社会全体で拉致問題の早期解決を

今回の講演活動やパネル展は、被害者本人の声に直接触れられる貴重な機会を社会に提供しています。そして署名や啓発活動に参加する人々の輪は、少しずつ広がりを見せています。曽我ひとみさんをはじめ、被害者やご家族が一日でも早く再会できる日が訪れるよう、私たち一人ひとりが「問題を知り、考え、行動する」ことが求められています。

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