戦後80年の節目 ― 2025年「原爆の日」広島平和記念式典が開催されました

2025年8月6日午前8時から、広島市の平和記念公園にて戦後80年目となる「原爆の日」の平和記念式典が厳かに執り行われました。今年の式典には過去最多となる120の国と地域の代表が参列し、核兵器廃絶と恒久平和への強い願いが世界へ向けて発信されました。

平和への祈りを込めた式典の模様

午前8時きっかりに開式した式典は、約50分間にわたり進行。原爆死没者への慰霊と平和への祈念を主軸に、参列者一人一人が静かに手を合わせました。式典冒頭からは、被爆者や市民、各国の代表が共に鎮魂の祈りを捧げ、80年の歴史と被爆地が伝える平和の尊さが改めて認識されました。

式典後には恒例の「かがり灯」が灯され、夕暮れの平和記念公園が鎮魂の火で包まれました。この灯は、犠牲者の魂を慰めるとともに、未来に向けた平和の灯火を絶やさない意味が込められています。

被爆者からの訴えと松井広島市長の平和宣言

式典に先立ち、海外から来日した在外被爆者が松井一実広島市長に面会し、核兵器の一日も早い廃絶を強く訴えました。被爆者の平均年齢は86歳を超え、年々減少している中で、その声はますます重みを増しています。

松井市長は平和宣言の中で、核兵器を用いない安全保障体制構築の必要性を強調し、対話と信頼に基づく国際協調の重要性を世界に呼びかけました。これにより、広島が「核兵器のない世界」を目指す先駆的な地としての役割を改めて示しました。

被爆80年の節目に込める市民の思い

被爆者やその家族、市民は式典の前から平和公園を訪れ、慰霊碑の前で手を合わせる姿が絶えませんでした。1歳で被爆した方は「原爆をきっかけに、皆さんが核兵器廃絶に向けて行動することが大切」と語り、被爆80年の歴史を単なる過去の出来事とせず、未来に生かす意識が広がっています。

広島から世界への平和メッセージ

今年は国内外に向けて平和記念式典の模様がライブ配信され、被爆地広島の願いが世界中に届けられました。広島テレビ(TSS)が展開する「アーカイブプロジェクト」では、被爆者の証言や原爆にまつわるドキュメンタリー番組に英語字幕が付けられ、グローバルな理解促進に貢献しています。

また、夕方には伝統の灯籠流しも生中継され、犠牲者への鎮魂と平和への祈りは夜の闇へと静かに流れていきました。

被爆者の声を未来へつなぐために

今年の式典では、80年という節目を迎えた被爆者の減少を踏まえ、記憶の継承と平和教育の重要性も強く訴えられました。被爆の実相を伝える活動は今後ますます広げていく必要があり、広島の使命として国内外へ継続的に発信されていきます。

戦後80年を迎えた2025年の「原爆の日」平和記念式典は、広島の被爆の歴史を再確認すると同時に、核兵器廃絶と恒久平和の実現に向け広く共鳴を呼びかける場となりました。今後も被爆地からの平和メッセージは日本だけでなく世界に向けて発信され続けることでしょう。

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