絶景ランキングで存在感を放つ「姫路城」――“日本一美しい城”の実力に迫る
絶景だと思う「日本の城」「九州・沖縄地方の城」「近畿地方の城」という3つのランキング結果が発表され、各地の名城が注目を集めています。その中でも、とくに存在感を放っているのが兵庫県姫路市の「姫路城」です。
全国規模の調査では「絶景だと思う日本の城」ランキングで姫路城は第2位にランクインし、トップには北海道函館市の五稜郭跡が選ばれました。一方で、秋のお城トレンドアクセスランキングでは3年連続で姫路城が第1位を獲得するなど、その人気と評価は依然として揺るぎないものがあります。
本記事では、今回話題となっている3つの「絶景ランキング」の流れをふまえながら、なぜ姫路城がここまで人々を惹きつけるのか、その魅力と背景をやさしく紐解いていきます。
絶景ランキングで見えた「日本の城」の新たな主役たち
まず、「絶景だと思う日本の城」ランキングの概要を整理してみましょう。All About ニュース編集部が全国の10〜70代の男女250人を対象に行ったアンケートでは、次のような結果が発表されています。
- 1位:五稜郭跡(北海道)/58票
- 2位:姫路城(兵庫県)/56票
トップとなったのは、国内では極めて珍しい星形要塞の城郭跡である五稜郭跡です。上空から眺めることのできる星形のシルエットや、桜や雪景色と一体となった風景が高く評価されました。城郭そのものに加え、「見下ろす景色」が絶景として注目されているのが特徴です。
その五稜郭跡に僅差の票数で迫り、第2位に入ったのが姫路城です。アンケートでは、「天守閣からの眺めが最高だった」「城の美しさと眺望の両方が素晴らしい」「真っ白な城壁が青空に映える姿がまさに絶景」といった声が寄せられています。
この結果から、「日本の城の絶景」は、
- お城そのもののシルエットや造形の美しさ
- 周囲の自然や街並みと一体になった風景
- お城から見下ろす眺望
といった複数の要素が組み合わさって評価されていることが分かります。その中でも、姫路城は「見上げても、見下ろしても美しい城」として、多くの人の心に残っているようです。
姫路城が「絶景」と呼ばれる理由
では、なぜ姫路城はさまざまなランキングやアンケートで高い評価を受け続けているのでしょうか。いくつかのポイントに分けて見ていきましょう。
世界文化遺産・国宝としての圧倒的な歴史的価値
姫路城は、1993年に奈良県の法隆寺とともに、日本で初めてのユネスコ世界文化遺産に登録された城として知られています。17世紀初頭の日本の城郭建築を代表する史跡建造物であり、その保存状態の良さや構造の巧妙さ、景観の美しさは世界的にも高く評価されています。
また、国宝指定を受けた大天守や渡櫓群などは、400年以上の歴史を経てもなおその姿をとどめており、「生きた歴史遺産」としての存在感を放っています。観光客にとっては、単なる「写真映えする場所」ではなく、日本の歴史や文化を肌で感じられる場所であることも大きな魅力です。
「白鷺城」と呼ばれる優美な姿
姫路城は、その純白の城壁と端正な天守のシルエットから、「白鷺城」という愛称で親しまれています。白漆喰で塗り固められた大天守は、晴れた空の青さと対比されることで、ひときわ美しく輝いて見えます。
瓦屋根の落ち着いた色合いと、白い壁のコントラストも特長的で、季節や時間帯によって表情を変えるのも魅力です。朝焼けや夕暮れ時、あるいは桜や紅葉と組み合わさった風景は、まさに「日本の絶景」と呼ぶにふさわしいものだといえるでしょう。
天守からの眺望と、巧妙な防御構造の面白さ
アンケートのコメントの中には、「天守閣からの眺めが最高だった」という声が多数寄せられています。姫路市街や周囲の山々まで一望できる天守からの景色は、「登った人だけが味わえるご褒美の絶景」です。
一方で、別の調査では、「美しさと強さを兼ね備えた城」「どの門にも恐ろしい仕掛けがある」といった、防御性能に注目した声も見られます。複雑に曲がりくねった登城ルートや、敵兵を翻弄するための仕掛けの数々は、「ただ美しいだけではない、戦うための城」としての一面を感じさせます。
こうした「機能美」ともいえる構造は、城好きの人はもちろん、初めて訪れる人にとっても興味深い体験となり、姫路城の魅力をさらに深めています。
庭園「好古園」との組み合わせで楽しむ四季の絶景
姫路城の西御屋敷跡には、日本庭園「好古園」が整備されています。ここでは、池泉回遊式庭園や茶室を備えた和の空間の中で、四季折々の景色を楽しむことができます。
とくに秋には、紅葉が庭園を鮮やかに彩り、姫路城の白い天守との対比が一層際立ちます。庭園内で食事やお茶をとりながら、季節の移ろいを感じられるのも大きな魅力で、「城と庭園のセット」で絶景を楽しむスタイルが定着しつつあります。
「人気のお城ランキング」でも上位常連の姫路城
姫路城は、「絶景ランキング」だけでなく、さまざまな「人気のお城ランキング」でも上位の常連です。
たとえば、旅行情報サイトが発表した「2025年秋のお城トレンドアクセスランキング」では、姫路城が3年連続で第1位を獲得しています。観光客からのユーザー評価も高く、「おすすめ度4.7」という高水準の評価が示されています。
また、別のランキングでは「2025年人気のお城」で第2位に選ばれ、「白く美しいから」「美しさと強さを兼ね備えている」といったコメントが寄せられています。こうした評価からも、姫路城が「国内を代表する名城」として、多くの人に愛されていることが分かります。
近畿地方の絶景城としての存在感
「絶景だと思う近畿地方の城」ランキングでは、竹田城跡が上位に入り、その幻想的な「雲海の城」のイメージが多くの人に浸透しています。一方で、同じ兵庫県にある姫路城は、「実在する天守を持つ城」として、竹田城跡とはまた違った魅力を放っています。
近畿地方は、滋賀県の彦根城や安土城跡、大阪府の大坂城、京都府の二条城など、多くの名城が集まる地域です。その中でも姫路城は、「世界文化遺産」「国宝」「三大平山城」「日本三名城」など、数多くの称号を持つ存在として、観光・歴史・景観のすべての面で高い評価を受けています。
今回の「絶景ランキング」で竹田城跡などが注目を浴びたことで、近畿地方のお城めぐり全体への関心も高まっていますが、その拠点となる「代表的な城」として、姫路城の価値は今後も揺るぐことはないでしょう。
九州・沖縄地方の絶景城との比較で見える姫路城の魅力
「絶景だと思う九州・沖縄地方の城」ランキングでは、熊本城や首里城など、地域を代表する名城が上位に入っています。熊本城はその堅固な石垣と雄大な天守で「日本三名城」の一つに数えられ、首里城は琉球王国の歴史と文化を象徴する城として知られています。
これらの城は、地域固有の歴史と景観を背景に、それぞれ独自の絶景を見せてくれます。一方で、姫路城は、戦国から江戸時代にかけて発達した「典型的な日本の城郭美」を、ほぼ完全な形で今に伝える存在といえます。
九州・沖縄の城が、石垣や城壁、周辺の海や街並みとのコントラストで「力強い絶景」を演出しているのに対して、姫路城は、
- 白い城壁と青空、四季の彩りが織りなす「優美な絶景」
- 巧妙な縄張りと城下町の広がりを見下ろす「立体的な絶景」
を同時に楽しめる点が特長です。ランキングを通じて、地域ごとに異なる「城の絶景」の魅力が浮かび上がる一方で、姫路城が「日本の城のスタンダード」として、改めてその価値を示しているともいえるでしょう。
データが示す「姫路城人気」の底力
月間・年間のアクセスデータや口コミ評価を見ても、姫路城の人気は非常に高い水準を保ち続けています。城情報サイトの月間ランキングでも、姫路城は平均評価が4.45で1位を記録し、見学時間や来訪者数などの指標もトップクラスとなっています。
また、「行ってみたい日本の城ランキング」でも、姫路城は常に上位に名を連ねており、「一度は本物を見てみたい城」として、多くの人に認識されています。世界遺産としての知名度の高さに加え、写真や映像で見た「白鷺城」の姿に心を動かされ、「いつか行ってみたい」と思う人が多いことがうかがえます。
まとめ――絶景ランキングが教えてくれる、姫路城という「基準点」
今回の「絶景だと思う日本の城」ランキングでは、五稜郭跡が僅差で1位となり、星形要塞というユニークな形状や、桜や雪と調和した景観が高く評価されました。一方で、姫路城は第2位ながらも、世界文化遺産・国宝としての歴史的価値、白鷺城の名にふさわしい優美な姿、天守からの眺望や巧妙な防御構造など、総合的な魅力を改めて示す結果となりました。
九州・沖縄、近畿、日本全国――どのエリアの「絶景城」を見ても、その比較対象として真っ先に思い浮かぶのは、やはり姫路城です。言い換えれば、姫路城は「日本の城の美しさを測るときの基準点」のような存在だといえるでしょう。
これからお城めぐりを始めたい人にとっても、すでに多くの城を訪ね歩いている人にとっても、姫路城は「何度訪れても、そのたびに新しい発見がある城」です。絶景ランキングをきっかけに、白く輝く天守と、そこから広がる日本の歴史と風景に、あらためて目を向けてみてはいかがでしょうか。




