群馬で迎える救急の日 ― 2025年9月9日、その現場と人々

2025年9月9日、「救急の日」を迎え、群馬県内各地では救急医療の重要性やその役割について多くの取り組みが展開されました。今年は、新型コロナウイルス感染症や災害対応に尽力する現場の救急関係者へ感謝の意が示されるとともに、幼い子どもたちから高齢者まで幅広い層に向けた啓発活動が盛んに行われています。

救急の日と救急医療週間 ― 社会全体で考える、救命の大切さ

毎年9月9日は「救急の日」とされ、救急医療についての理解と認識を深めるための記念行事が全国で開催されます。また、救急の日を含む数日間は「救急医療週間」となっており、群馬県では9月7日から13日までさまざまなイベントや啓発活動が実施されています。

本年度は、例年の大規模な対面イベントが感染症対策のため変更され、知事および医師会会長からのメッセージ動画配信や、表彰式の個別伝達など、新しい形での救急医療普及活動が行われました。

群馬県内の「救急の日」行事

  • 功労者表彰式
    地域の救急医療支援に貢献した医師、団体、消防関係者へ「救急医療・救急業務功労者表彰」が贈られました。伊勢崎佐波医師会、美原盤、北関東循環器病院、消防本部の消防長などが受賞者となり、長年の尽力が讃えられています。
  • 救急医療講演会
    群馬県公社総合ビルでは、住民向けに「救命の連鎖による社会復帰率の向上について~住民の皆様と考える~」(吾妻広域消防本部 係長:深井英吾氏)、「忘れちゃいけない感染症」(群馬大学医学部附属病院 感染制御部長:徳江豊氏)などの講演会が開催され、正しい応急手当や感染症対策について学ぶ場が提供されました。
  • 幼稚園児・市民向けの体験イベント
    幼稚園児が消防署を訪れ、「消防車や救急車を呼ぶおまじない」として実際の通報体験や職業体験を行いました。また、市民向けには救急隊到着までの応急手当の重要性や、救急車の正しい利用方法について指導するイベントが各地で行われました。

救急医療の意識向上 ― 群馬県のメッセージ

群馬県知事および県医師会会長は、県民や救急関係者へ向けて動画メッセージを発信しました。その中で新型コロナウイルス対応への感謝、救急医療現場の厳しさと誇り、そして市民一人ひとりが救急医療について正しい知識と対応力を持つことの重要性が強調されました。

また、表彰を受けた医療従事者や消防職員は、自らの経験を通じて「現場での冷静な応急処置」「チームワークの大切さ」「市民の協力」に触れ、今後も地域全体で救急医療を高めていく意志を示しました。

救急隊到着までの応急手当 ― 市民の協力が命を救う

「救急の連鎖」とは、救急現場での初期対応から病院までの一連の迅速かつ適切な対応を指します。群馬県では市民向けの講習やイベントを通じて、救急隊到着までに行える応急手当がいかに大切かを繰り返し訴えています。

  • 応急手当の基本:意識・呼吸・心臓の確認。心肺蘇生(CPR)やAEDの使用方法。
  • 119番通報の正しい方法:落ち着いて状況説明・住所・症状を明確に伝える。
  • 感染症対策:感染リスクに備えたマスク着用や手指消毒など、感染症時の安全確保。

特に感染症や災害時には救急隊の到着が遅れる可能性もあり、市民一人ひとりが身につけておくべきスキルとして応急手当の重要性が再認識されています。

子どもが体験する救急の現場 ― 幼稚園児への啓発活動

群馬県内の消防署では、幼稚園児が消防車や救急車を間近で見学し、「救急車を呼ぶおまじない」を体験するイベントが実施されました。子どもたちは「困った時は119番通報」という習慣を学び、安全意識を育てています。

職員による「困ったときは大きな声で助けを呼ぶ」「正しい通報方法を覚える」「応急処置について知る」などの指導が、未来の社会を担う児童へ着実に受け継がれている様子が見られました。

  • 消防士のお仕事体験:防火服の着用や消防車運転席の見学、応急処置訓練。
  • 救急車の役割学習:病人や怪我人を安全に搬送するしくみ、119番の大切さ。

群馬県で進む精神科救急医療の最新動向

2025年10月16日・17日に、群馬県高崎市 Gメッセ群馬にて第33回日本精神科救急学会学術総会が予定されています。精神科救急の分野でも最新の知見が共有され、学術的な発展と実践的情報の交換が進められています。

これにより、心身の健康を守る体制として、地域ぐるみでの精神科救急医療勢力の強化も、地道に続けられています。

これからの群馬の救急医療 ― 市民とともに進む新たな道

群馬県では、救急医療の「普及・啓発」「教育」「連携」を重視し続けています。今後も講演会や学術懇談会(2025年11月8日、第31回懇談会など)が予定されており、医療従事者と市民が一体となって社会復帰率の向上や予防・対策、心身の安全保持に寄与していく姿勢が明確です。

救急医療は現場担当者だけのものではなく、市民一人ひとりの理解と協力が命を守る力となるという理念が社会全体に浸透しつつあります。

まとめ:救急の日が示す群馬の現場力と市民意識の進化

2025年「救急の日」を迎えた群馬県は、各種表彰・啓発活動・教育イベント・学術交流を通じて、命を守る取り組みを着実に進化させています。救急医療は一過性のものではなく、日々の生活や突然の緊急事態、災害時にも迅速かつ適切に対応できる、地域・市民全体の協力と意識向上が不可欠です。

今後も群馬が「救急医療の先進県」として歩みを続け、市民が安心して暮らせる安全なまちづくりを目指していくことは間違いありません。

  • 「119番に困ったら、迷わず電話を」というメッセージは、世代を超えて広がりつつあります。
  • 応急手当の知識と実践力、医療現場への敬意、市民参加の大切さが、今後も社会の柱となるでしょう。

参考元