ジブリパーク「ジブリのなりきり名場面展」初の大リニューアル 半分の展示が一新され『君たちはどう生きるか』も登場

愛知県長久手市にあるジブリパークの人気企画展示「ジブリのなりきり名場面展」が、2025年12月17日(水)に開園以来はじめての大きなリニューアルを迎えました。全14コーナーのうち7コーナーが入れ替わり、最新作『君たちはどう生きるか』をはじめとする新たな名シーンが加わりました。

この展示は、ジブリパークの中核エリア「ジブリの大倉庫」にある「中央展示室」で行われている体験型企画展で、来園者がスタジオジブリ作品の登場人物になりきり、映画の中に入り込んだような感覚を味わえるのが大きな魅力です。

「ジブリのなりきり名場面展」とは?

「ジブリのなりきり名場面展」は、ジブリパーク開園と同じ2022年11月から続く人気展示です。スタジオジブリのさまざまな作品の名場面を立体的なセットで再現し、その空間に入り込むことで、登場キャラクターになりきることができます。

  • 展示は写真撮影が可能で、作品世界に自分が入り込んだような一枚を残せます。
  • 映画を見てきたファンだけでなく、「まだ全部の作品を見ていない」人にとっても、作品に興味を持つきっかけとなる場として位置づけられています。
  • 場所はジブリパーク内の「ジブリの大倉庫」中央展示室。ジブリパーク開園当初から続く、代表的な企画展示のひとつです。

長く愛されてきたこの展示ですが、開園から3年ほどが経過し、今回が初めての本格リニューアルとなりました。

7コーナーが入れ替わる開園後初リニューアルの内容

今回のリニューアルでは、全14コーナーのうち半分にあたる7コーナーが新しい内容に変更されました。内訳は次の通りです。

新たに加わった4つの作品コーナー

まず、これまで展示されていなかった次の4作品の名場面が、新たに登場しました。

  • 『On Your Mark』
    チャゲ&飛鳥の楽曲をもとにスタジオジブリが手がけた短編アニメーション。映像作品としての存在感が強く、コアなファンから長く支持されてきた作品です。その世界観を体験できる展示は、ファンにとって新鮮な出会いとなりそうです。
  • 『ホーホケキョ となりの山田くん』
    朝日新聞夕刊4コマ漫画を原作とした、のんびりとした日常とユーモアが魅力の作品。家族の何気ない一場面を味わえる展示は、親子連れでも楽しみやすい内容になっています。
  • 『ギブリーズ episode2』
    スタジオジブリのスタッフをモデルにした、ユーモラスな短編作品。今回のリニューアルに合わせ、同作をモチーフにした新コーナーが加わりました。公開された写真からは、にぎやかで遊び心あふれる空間に仕上がっている様子がうかがえます。
  • 『君たちはどう生きるか』
    2023年公開のスタジオジブリ最新作が、ついにジブリパークの体験型展示に登場しました。注目作のシーンを再現したセットでは、独特の世界観に自ら入り込むことができ、作品をすでに観た人にも、まだ観ていない人にも、新たな発見をもたらしてくれそうです。

とりわけ『君たちはどう生きるか』の追加は、ジブリパークの今を象徴するトピックとして、ニュースや季節のコラム(季節風)などでも取り上げられています。

名場面が差し替えられた3つの作品

今回のリニューアルでは、作品そのものはそのままに、展示される場面が変わった作品もあります。

  • 『おもひでぽろぽろ』
    これまでとは別の名シーンを再現した展示へと変更されました。作品の持つ少し切なく、あたたかな雰囲気を、違った角度から感じられるようになっています。
  • 『紅の豚』
    青い空と海、飛行艇、そして主人公ポルコの孤独と矜持が印象的な本作についても、新たな場面が選ばれました。プレスリリースでは、差し替え後のコーナーの写真も公開されており、躍動感ある空間演出がうかがえます。
  • 『かぐや姫の物語』
    独特の筆致と色彩が特徴の本作からも、これまでとは異なるシーンが展示されています。作品世界の繊細さと迫力を、空間全体で味わえるよう工夫されています。

同じ作品でもシーンが変わることで、来園者はまったく新しい気持ちで作品世界に触れ直すことができます。

変わらず体験できる7作品の名シーン

一方で、長く親しまれてきた次の7作品の展示は引き続き楽しむことができます

  • 『天空の城ラピュタ』
  • 『平成狸合戦ぽんぽこ』
  • 『もののけ姫』
  • 『千と千尋の神隠し』
  • 『ゲド戦記』
  • 『崖の上のポニョ』
  • 『コクリコ坂から』

これらの展示は、すでに多くの人が写真に収め、思い出として持ち帰ってきた人気コーナーです。新旧の展示が並ぶことで、ジブリパークならではの作品世界の“旅”が、より奥行きあるものになっています。

リニューアルの背景にあるジブリパークの思い

今回のリニューアルにあわせて行われたメディア向け内覧会では、ジブリパークの宮崎吾朗監督が展示について語りました。

宮崎監督は、「ジブリのなりきり名場面展」について、開園当初はここまで長く続ける想定ではなかったものの、予想以上に好評だったため3年が経つまで続けてきたと振り返っています。そのうえで、今後どう継続していくかを改めて考え、「皆様に喜んでいただけるのではないか」と考えてリニューアルに踏み切ったと説明しました。

また、来園者へのメッセージとして、次のような思いも語られています。

  • 展示空間を「写真を撮ったり、空間そのものを楽しんだりしてもらえれば」と考えていること。
  • ジブリ作品をすべて観ていない人にも、この展示が作品に興味を持つきっかけになってほしいという願い。

つまり、「ジブリのなりきり名場面展」は、すでにジブリファンである人が楽しむ場であると同時に、これからジブリ作品に出会う人にとっての入口としての役割も担っていると言えます。

利用方法とチケットについて

リニューアル後も、「ジブリのなりきり名場面展」を体験するには、ジブリの大倉庫に入場できるチケットが必要です。

対象となる券種は以下の通りと案内されています。

  • ジブリパーク 大さんぽ券プレミアム
  • ジブリパーク 大さんぽ券スタンダード
  • ジブリパーク ジブリの大倉庫

いずれのチケットでも「ジブリの大倉庫」に入場でき、その中の企画展示として「ジブリのなりきり名場面展」を楽しめます。チケットは日時指定・予約制で販売されており、事前に用意しておく必要があります。

リニューアル前後の展示入れ替えの流れ

今回のリニューアルに先立ち、ジブリパークは12月2日(火)から16日(火)まで休園し、メンテナンス作業などを行いました。その期間中に展示の入れ替えや調整が行われ、17日(水)から新しい内容での公開がスタートしています。

また、公式サイトでは、リニューアル前に展示されていた作品として『海がきこえる』『風立ちぬ』『思い出のマーニー』などの名前も挙げられており、今回の入れ替えによって、館内のラインナップが大きく変化したことがわかります。

ジブリの大倉庫全体としての楽しみ方

「ジブリのなりきり名場面展」が行われるジブリの大倉庫には、このほかにもさまざまな展示や施設があります。

  • 複数の企画展示
  • 短編アニメーションを楽しめる映像展示室
  • 子ども向けの遊び場
  • 「にせの館長室」「天空の庭」など、ジブリ作品をイメージした展示
  • カフェやショップ

一日を通して作品世界に浸れる構成になっており、「ジブリのなりきり名場面展」はその中でも体験型の“目玉”として位置づけられています。

新旧の名場面が紡ぐ「ジブリパークらしさ」

今回のリニューアルは、「最新作『君たちはどう生きるか』の登場」というニュース性だけでなく、ジブリパークが作品との“出会い直し”の場として進化し続けていることを象徴する出来事でもあります。

『天空の城ラピュタ』や『千と千尋の神隠し』といったおなじみの作品の名シーンの中に立ち、さらに『On Your Mark』や『ギブリーズ episode2』といった、これまでスポットライトを浴びる機会が限られてきた短編作品にも触れられる構成は、スタジオジブリの作品世界の広さと奥行きを感じさせます。

展示空間の中で写真を撮り、笑い合い、ときには静かに作品を思い出す――そうした体験の積み重ねの中で、一人ひとりが自分なりの「ジブリの名場面」を心に刻んでいく。そのきっかけを、“なりきる”というかたちで提供しているのが、「ジブリのなりきり名場面展」の魅力だと言えるでしょう。

参考元