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ローマ字表記が約70年ぶりに大改定――ヘボン式を基本に、「matcha」もOKに!

70年の時を経て、ローマ字のつづり方が見直されるまで

2025年8月21日、日本のローマ字表記に大きな変化が訪れました。文化審議会は、約70年ぶりとなる「ローマ字のつづり方」の改定を文部科学省に答申しました。この見直しでは、現行の訓令式からヘボン式を基本とした書き方へと大きく舵を切ることになり、社会や教育現場、日常生活にも新たな影響が広がる見通しです。

なぜ今、ローマ字表記の見直し?時代とともに変わる「つづり方」

ローマ字の「つづり方」は1954年(昭和29年)に内閣告示第1号として「訓令式」が正式に定められました。その後、実際にはパスポートや道路標識、国際的なコミュニケーションの多くに「ヘボン式」(標準式)が広く使われてきました。しかし、公式の基準は長年そのままでした。

文化審議会国語分科会は、「社会の実態や国際交流の現状に即して表記を見直すことが喫緊の課題」として、令和3年度からこの問題の整理と議論を進めてきました。そして令和6年8月、約70年ぶりとなる答申で「ヘボン式」を基本とする内容への改定案がまとめられました

ヘボン式、訓令式、日本式… 3つのローマ字表記をやさしく解説

  • 訓令式:昭和29年内閣告示で公式採用された方法。「し」は si、「ち」は ti、「つ」は tu、「ふ」は hu と書きます。
  • ヘボン式(標準式):パスポートや標識で一般的。英語話者にも伝わりやすい表記。「し」は shi、「ち」は chi、「つ」は tsu、「ふ」は fu となります。
  • 日本式:主に言語学など専門的な場面で使われる、日本語の音韻を重視した表記方法です。

これまで、現行の制度では主に「訓令式」が公式でしたが、実社会では「ヘボン式」が使われており、混乱や使い分けの難しさが国際交流や子どもたちの学習現場で指摘されてきました

注目ポイント:「matcha」が正式にOKに! 見直しの特徴

今回の改定案で特に話題となっているのが、「matcha」や「ramen」など、既に世界的に通用している日本語由来の表記も積極的に認める姿勢を示したことです。たとえば、旧来の「mattya」や「ramen」など厳密な訓令式にこだわらず、実際に広く通用するローマ字綴りが許容されます。

この改定により、日本発の食文化や伝統、観光PRで使われる用語が、よりグローバルな標記で発信しやすくなります。外国人観光客や在日外国人、日本から世界に向けて文化を発信するクリエイターなど、多くの人にとって分かりやすく、親しみやすい表記になることが期待されています。

なぜ「ヘボン式」なの?選ばれた理由

「ヘボン式」は、明治時代に米国人医師のジェームス・カーティス・ヘボン博士によってまとめられ、より英語を母語とする人々にも発音が伝わりやすいよう配慮された方式です。これが、パスポート氏名や道路標識などで長年標準として採用されてきました。

パスポート申請や海外渡航時に混乱を防ぎ、観光業や教育の国際化にもしっかりと対応できる点が改定の大きなポイントとなっています。

改定の背景:社会の変化とローマ字表記の現状

現代の日本では、国境を越えた交流が当たり前になり、多言語の人々が街に溢れています。スマートフォンやパソコンでの入力、観光案内や製品表示、オンラインコミュニケーションなどローマ字の用途は年々多様化しています。

こうした背景から、現実とのギャップを埋め、「実際によく使われている表記法」を公式基準にすることで、社会全体の利便性や学習効果も向上することが期待されているのです。

教育や社会への影響は? そのメリットと課題

  • 小中学校の英語・国語授業に大きな影響:これまで習ってきた表記方法の見直しが必要です。「shi」「chi」「tsu」「fu」など、ヘボン式の文字になじみやすくなります。
  • パスポートや公的書類の名前表記と一致:学校で教わるローマ字とパスポート記載名が一致することで、混乱がなくなります。
  • 国際的なコミュニケーションが円滑に:観光・留学・ビジネスで英語話者にも馴染みやすい表記に統一されます。
  • 学習指導要領や教科書の改訂が必要:教育現場では新たな指導内容や教材の更新が求められます。
  • 表記ゆれへの対応:過渡期には旧式との切り替え、複数の呼称や表記が混在するため注意が必要です。

まとめ:新たな時代の入口に立つローマ字表記

文化審議会がまとめた改定答申は、言葉を使う私たち一人ひとりにとっても大きな転換点です。学校や仕事、旅行や日常生活で使われる「ローマ字」。これからは「matcha」「ramen」「Fujisan」など、日本発の言葉も、より世界標準に近い形で表現できるようになります。

今後、文部科学省による最終決定、具体的な指導や社会実装の流れが注目されますが、70年ぶりのローマ字表記大改革は、「つづり方」ひとつを取っても日本社会にとって大切な「言語の進化」の一つとなることでしょう。

参考:ローマ字表記の具体例

かな 訓令式 ヘボン式
si shi
ti chi
tu tsu
hu fu
おおさか Oosaka Osaka
まっちゃ mattya matcha

この改定が、より多くの人にとってローマ字表記をわかりやすく、身近にしてくれるきっかけになることが期待されています。

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