岡山県美咲町にて県下最年少防災士が誕生――柵原学園の小学5年生と母親の挑戦と誓い

防災士誕生の背景――10歳の決意

2025年8月、岡山県美咲町県下最年少の防災士が誕生しました。柵原学園小学5年生の安東俐哉さん(10歳)が、母親と共に防災士資格試験に挑戦し、見事合格したのです。この出来事は地域だけでなく、県内外にも大きな反響を呼んでいます。
安東さんが防災士を志したきっかけは、小学4年生の総合学習の授業で学んだ2011年の東日本大震災の学びでした。津波から逃れ助かった子どもたちの絵本を通して、「自分も困っている人を助けたい」という思いを強くしたと言います。
未来ある子どもが防災士という責任ある役割に挑んだ背景には、経験や知識だけでなく、地域と家族への思いやり、そして学び続けたいという強い意志がありました

防災士資格取得までの道のり

  • きっかけは4年生の総合学習。「東日本大震災の授業」から興味を持つ。
  • 母親も共に学び、「親子で防災士合格」を目指して学習に励む。
  • 2025年6月、防災士資格試験に親子で挑戦。知識・技能共に高評価で合格。
  • 8月25日、美咲町役場を訪れ、防災士合格を町長に報告。

この合格は安東さんにとってはもちろん、母親にとっても大きな達成感をもたらしました。親子で同じ目標をもち、励まし合いながら取り組む姿勢は地域社会からも多くの称賛を受けています

「みんなの命を守るために」――最年少防災士が語る今後の目標

町長へ資格取得を報告した際、安東さんは「これからは防災士として、学校や地域、美咲町を支えられるように頑張ります」と力強く語りました。「身についた知識を活かして、地域の避難訓練や日常の防災に参加し、自分にできることから協力していきたい」とも語っています。

美咲町や学校での役割としては、地域の避難訓練への参加や、子どもならではの視点で防災意識向上に取り組むことなどが想定されます。また、学校で学んだことを友達や家族と共有し、防災リーダーとして小さな輪から地域全体へと意識を広げる先駆けとなっています。

親子でノウハウを共有――世代を超えた学びの意義

今回、親子で防災士試験に合格したことで、家庭内での防災意識の向上が期待されています。安東さんの母親も「子どもと一緒に目標をもって取り組むことで、家族全体で防災について考える時間が増えました」と語ります。
親子や家族で備える大切さが再認識されると同時に、「誰でも学べる防災」の姿を地域に示すこととなりました。家庭から地域へ、実践的な防災意識がじわじわと広がりつつあります。

防災士とは?――地域防災を担う新しい世代

防災士とは、日本防災士機構が認定する資格で、「地域の防災リーダー」として知識や技能を身につけ、防災啓発・避難誘導・支援活動などに携わることが期待される資格です。
これまで防災士は主に成人が取得するケースが多く、小学生での資格取得は全国的にも非常に珍しい例です。
「防災士」という資格取得がゴールではなく、「支える力」「活かす力」をもとに地域や学校で役割を果たしていく姿に、周囲の大人たちも大きな刺激を受けています。

地域で広がる「気づき」――若い防災士のインパクト

  • 学校:防災訓練や授業での発表などを通じ、同世代の子どもたちの防災意識向上に貢献。
  • 地域:高齢者や小さな子どもにもわかりやすく防災の知識を伝える「橋渡し役」に。
  • 家庭:家族ぐるみで、防災マップや備蓄品の点検・見直しに取り組むきっかけに。

大人と子どもが一緒に防災を学ぶことで、「年齢や立場に関係なく誰でも出来ることがある」という認識が広がっています。
また、「防災は特別な人がやるものではなく、身近なもの」だと感じることが、多世代交流・地域連携の新たな一歩となっています

メディアと県全体への波及効果

今回のニュースは県内のテレビ局・新聞などでも大きく取り上げられました。背景には、西日本豪雨など相次ぐ自然災害の記憶と、「自助・共助」の重要性を再認識する機運があります。
岡山県内では、今後も子ども向け防災教育の充実や、防災士の活動支援などへと繋がることが期待されています。また、自治体や教育委員会も、若年層への防災士資格取得支援・啓発活動に乗り出す動きが見られます。

防災士としてのこれから――地域とともに歩む未来

安東さんは「今後も知識と技術を磨きながら、さまざまな立場の人々と力を合わせて災害に備えていきたい」と今後の意欲を語っています。自身の成長が防災活動や地域貢献にどう活かされるか、多くの人が注目しています。
また、「若い世代による防災活動」のロールモデルとして、全国の子どもたちや保護者、学校関係者に大きな影響を与えています。

おわりに――10歳の「防災士」は未来への希望

まだ10歳という若さでありながら、『困っている人を助けたい』という純粋な思いに行動がともなった安東さん。その姿が地域社会全体を少しずつ、しかし着実に変え始めています。
これからの防災活動は、大人だけでなく子どもと共に進めていく時代です。「誰でもできる防災」を合言葉に、家族で、学校で、地域で、そして社会全体で防災の輪を広げていきましょう。
岡山県美咲町から、日本各地へ――最年少防災士の挑戦は、まだ始まったばかりです。

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