冬至を前に全国の動物園で「ゆず湯」イベント サルもカピバラもほっこりリラックス

日本各地の動物園で、冬至にあわせて動物たちへ「ゆず湯」をプレゼントする心温まる取り組みが行われています。
福岡市動物園ではニホンザルに、埼玉県こども動物自然公園ではカピバラに、そして埼玉・東武動物公園ではサルたちに、それぞれ特製のゆず湯が用意され、来園者の笑顔を誘いました。

冬至と「ゆず湯」──無病息災を願う日本の風習

冬至は、一年で最も昼の時間が短くなる日として知られ、古くから無病息災を願う節目の日とされてきました。
この日に「ゆず湯」に入ると風邪をひかない、邪気を払える、といった言い伝えがあり、今も多くの家庭や温泉施設でこの風習が続いています。各地の動物園でも、この日本ならではの習慣を、動物たちと一緒に楽しめるイベントとして取り入れています。

福岡市動物園のニホンザルに「ゆず湯」プレゼント

福岡市中央区にある福岡市動物園では、冬至を前にサル山のニホンザルたちに恒例の「ゆず湯」がプレゼントされました。
この企画は、二十四節気の一つである冬至に合わせて、サルたちに少しでも暖まってもらおうと毎年行われている人気イベントです。

約40度のお湯にゆずとミカン15キロ

サル山のプールには、約40度に調整されたお湯がたっぷりと張られ、その表面にはゆずとミカン合わせて約15キロが浮かべられました。
黄色やオレンジ色の果実が湯面にころころと浮かぶ様子は、見た目にも華やかで、まるで露天風呂のような雰囲気です。

イベントは、冬至当日より一日早く実施され、サル山には朝から多くの家族連れが集まりました。

最初はモグモグ、その後はまったり

ゆず湯が用意されると、ニホンザルたちはまず、ぷかぷか浮かぶゆずやミカンを手に取ってかじることに夢中になったといいます。
そのうち、お湯の心地よさに気づいたサルたちは、肩まで湯につかって目を細めたり、仲間同士で寄り添ったりと、次第にのんびりリラックスした表情に変わっていきました。

来園者からは、「かわいかった」「一緒に入りたい」「ゆず風呂したことないんだよ」といった声も聞かれ、大人も子どもも、その愛らしい姿に見入っていました。
湯けむりの中、黄色いゆずに囲まれてくつろぐサルたちは、まさに冬ならではの癒やしの風景です。

露天風呂は冬の間、毎週土曜日に

サル山の「ゆず湯」が楽しめるのはこの日限りですが、福岡市動物園では、寒さが続く時期にあわせて、翌年2月末までの毎週土曜日に温かい露天風呂を用意する予定だとしています。
冬の福岡市動物園では、寒空の下で湯に浸かるニホンザルたちの姿を、これからもしばらく楽しむことができそうです。

埼玉県こども動物自然公園 カピバラが「ゆず湯」で“湯ったり~”

埼玉県にある埼玉県こども動物自然公園でも、冬至の時期にあわせて、カピバラ専用の「ゆず湯」が登場しました。カピバラたちは、お湯にゆっくり浸かりながら、まさに“湯ったり~”という表現がぴったりの様子でくつろいでいます。

湯船には、香り豊かなゆずがたくさん浮かべられ、カピバラたちはときどき鼻先でつついたり、頭の上にちょこんとのせてみたりと、それぞれ思い思いにゆず湯を楽しみます。
全身がすっぽりと湯に浸かるカピバラの姿は、毎年人気を集める冬の風物詩となっており、多くの来園者がカメラを向けていました。

来園者も足湯で「ポカポカ~」

この動物園の特徴的な取り組みは、来園者も足湯を楽しめるようにしていることです。
カピバラたちがゆず湯に浸かるすぐ近くで、人も足湯に入ることができ、子どもから大人まで、ほっこりとした時間を過ごしています。

冷え込む季節でも、足元からじんわり温まる足湯は大好評で、「ポカポカになった」「カピバラと一緒に温まっているみたい」といった感想も聞かれます。
動物と人が同じ時間を共有しながら、冬至のゆず湯文化を体感できるのは、こども動物自然公園ならではの楽しみ方といえそうです。

埼玉・東武動物公園 サルたちも露天風呂で「ゆず湯」を満喫

埼玉県にある東武動物公園でも、冬至を前に、サルたちが露天風呂の「ゆず湯」を楽しむ様子が公開されました。
こちらでも、湯船にはたくさんのゆずが浮かべられ、サルたちはその香りに包まれながら、のんびりとお湯に浸かっています。

最初はおそるおそる湯船に近づくサルもいますが、仲間が気持ちよさそうに湯に浸かる姿を見て、次々と湯船へ。
肩までしっかり浸かり、目を細めているサルの表情からは、「冷えた体が温まって気持ちいい」という声が聞こえてきそうです。

東武動物公園のサルたちがゆず湯を楽しむ光景は、毎年ニュースなどでも取り上げられ、冬の人気イベントとなっています。
来園者からは、「人間と同じようにお風呂を楽しんでいる」「表情が本当に気持ちよさそう」といった感想が聞かれ、写真撮影の人気スポットにもなっています。

動物たちの「ゆず湯」が教えてくれるもの

季節を感じるきっかけに

福岡市動物園のニホンザル、埼玉県こども動物自然公園のカピバラ、東武動物公園のサルたち──。
それぞれの動物園で行われている「ゆず湯」の取り組みは、来園者に冬至という季節の節目を身近に感じてもらうきっかけにもなっています。

お風呂にゆずを浮かべるという日本の伝統的な風習を、動物たちと一緒に楽しむことで、子どもたちにも自然とその意味や由来が伝わっていきます。
また、「動物も寒いんだね」「温かいお湯は気持ちいいんだね」と、動物たちの気持ちに思いを寄せるきっかけにもなっています。

動物福祉と工夫された飼育

冬場の「ゆず湯」や露天風呂は、見た目の楽しさだけでなく、体を温める効果や、ゆずの香りによる気分転換など、動物たちの健康やストレス軽減にも配慮した取り組みといえます。
福岡市動物園では、サル山の露天風呂を冬のあいだ毎週土曜日に用意するなど、継続的にサルたちが快適に過ごせるよう工夫がなされています。

こうした取り組みは、動物園が単に動物を見せる場所ではなく、動物の暮らしや福祉を大切にし、その様子を来園者と共有する場へと変わってきていることを感じさせます。

見ている人も心が温まる冬の風物詩

寒い季節、湯気の立つ湯船でくつろぐサルやカピバラの姿は、見る人の心もふっと和ませてくれます。
「自分もゆず湯に入りたくなる」「家でもゆず湯をしてみようかな」といった声が出てくるのも、自然なことかもしれません。

冬至の時期、日本各地の動物園で行われる「ゆず湯」イベントは、動物たちにとっても、人にとっても、体も心も温まる冬の楽しみになっています。
もし近くの動物園で同じような企画が行われているなら、冬ならではの癒やしの時間を味わいに、足を運んでみるのもよいかもしれません。

参考元