太宰府天満宮を中心に見る七五三――日本各地で願う子どもの成長

秋晴れの光が美しく差し込む11月、全国の神社には晴れ着に身を包んだ子どもたちとご家族の笑顔があふれます。古くから伝わる「七五三」は、子どもの成長を祝い、今後も健やかに育つことを祈る日本の伝統的な行事です。2025年の今年も、各地の神社では色とりどりの着物をまとった子どもたちの姿で賑わいを見せています。九州・福岡を代表する太宰府天満宮でも、多くの家族連れが集まり、特別な思い出を刻む光景が広がりました。同様に、鹿児島市の照国神社や岐阜市の伊奈波神社、秋田市の日吉神社といった各地の名社でも、賑やかな七五三詣が行われています。

七五三とは?――日本伝統の子どもの節目

七五三は、3歳・5歳・7歳の子どもを祝う儀式で、毎年11月15日前後に行われます。3歳は男女ともに、5歳は男の子、7歳は女の子の成長を祝います。もともとは平安時代の宮中行事が起源とされ、やがて武家・庶民にも広がりました。無事に成長できたことへの感謝と、今後も健やかに暮らせるようにといった願いをこめて、親子で神社やお寺に参拝し、神様や仏様にお祈りする風習です。

秋晴れに包まれる太宰府天満宮――学業と健康を願って

福岡県の太宰府天満宮は、学問の神様として名高い菅原道真公をお祀りする全国有数の古社です。この時期の境内には、鮮やかな着物や羽織袴姿で手を合わせる子どもたちと、それを優しく見守る家族の姿が見られます。石畳を歩きながら写真を撮る親子や、楼門の前で記念を残す祖父母、兄弟姉妹で仲良く参拝する姿が、伝統の中に新たな思い出を刻みます。「無事に成長しました」、「これからもよろしくお願いします」という家族の思いが、太宰府の厳かな空気の中で一つになります。

鹿児島市・照国神社のにぎわい――南の地からも伝統を紡ぐ

南日本新聞の報道によれば、鹿児島市の照国神社でも、秋晴れの日曜に多くの家族が訪れ、色鮮やかな衣装に身を包んだ子どもたちが参拝しました。境内ではカメラを手にしたご両親が、お子さんの笑顔の瞬間を逃さぬよう撮影に励みます。参拝を終えた後は、境内の神楽殿で御祈祷を受ける家庭や、家族の記念写真撮影、千歳飴を手にした子どもたちの笑い声が響き渡ります。地域に根差した神社が、七五三の大切な場となっている様子がうかがえます。

岐阜市・伊奈波神社でも――変わらぬ祈りのかたち

岐阜市の伊奈波神社では、子どもの成長と無事を願う家族連れが絶えません。清らかな境内で、晴れの日を迎えた子どもたちは緊張と誇らしげな表情を浮かべ、家族に囲まれて神前に頭を垂れます。ご祈祷を受けた後は、境内や参道で親子の記念撮影が行われ、終始和やかな空気に包まれています。代々受け継がれてきた衣装を着るご家族や、手作りの髪飾りで華やかさを添えるお母さんも見られ、地域の温かさと伝統への思いが感じられます。

秋田市・日吉神社――家族で願う健やかな成長

秋田市の日吉神社でも、色とりどりの着物に身を包んだ子どもたちと家族連れでにぎわいました。お祓いの後には、「これからの健やかな発育をよろしくお願いします」とご祈願するご両親の声が響きます。神前に並んで歩く家族の姿は、とても微笑ましく、日本伝統行事の持つ温かさを改めて実感させます。

七五三の風習――地域ごとの特色や由来

七五三の由来は、平安時代の「髪置き」「袴着」「帯解き」といった三つの行事にさかのぼります。現代の七五三では、

  • 3歳(髪置き)……男女ともに、初めて髪を伸ばす通過儀礼
  • 5歳(袴着)……男の子が初めて袴を履く日
  • 7歳(帯解き)……女の子が大人と同じ帯を締める日

といった節目を家族で祝います。

現在では多くの神社仏閣で「七五三詣(もうで)」が行われ、11月15日当日にこだわらず、10月~11月の土日や祝日も多くの参拝客で賑わいをみせます。東京の明治神宮や日枝神社、大阪の住吉大社、大阪天満宮、福岡の太宰府天満宮など、各地の名社が七五三の定番スポットとなっています。

七五三の風景と家族の思い

  • 家族みんなで着飾り、神社を訪れるワクワク感。
  • 無事に大きくなったことへの感謝と、新しい節目への希望。
  • 撮影や会食を通して、祖父母を交えた家族イベントとして楽しむ家庭も多い。
  • 記念写真や千歳飴、初穂料など、伝統行事ならではのしきたりや思い出ができる。

このような特別な日には、ご両親のみならず、祖父母やご親族も一緒に参拝する光景が各地で見られます。七五三が、世代を超えて家族をつなげる橋渡しとなっていることも、この行事の大きな魅力です。

太宰府天満宮の七五三詣――学びと健康を祈る場所に

太宰府天満宮では、この時期に限らず、「学業成就」や「健康長寿」を祈願する参拝者で一年中賑わいますが、七五三の季節は特に華やかさが増します。厳かな拝殿で祈祷を受けた後、梅が枝餅を食べたり、太宰府天満宮だけの御守りを手にする子どもたちの姿も印象的です。また、参道ではプロのカメラマンによる記念写真撮影も盛んに行われています。

お参りの流れとマナー

  • 受付:各神社では、七五三専用の祈祷受付が設けられています。あらかじめ予約が必要な場合もあるため、事前に確認しましょう。
  • 祈祷:本殿で祝詞をあげてもらい、神様へ子どもの成長に感謝し、これからの幸せを祈ります。
  • おさがり:祈祷後には「千歳飴」や記念品などのおさがりを受け取ることが多いです。
  • 写真撮影:家族写真や記念写真を境内や参道で残し、晴れ姿を記録に収めます。

七五三詣の際は、静かに手を合わせ家族で感謝の心を示しましょう。お子さまには日常とは異なる礼儀を教える良い機会にもなります。

七五三は家族の時間――現代に続く大切な節目

時代が変わっても、七五三は家族で過ごすかけがえのないひととき。着付けや写真撮影、会食など、少し手間はかかりますが、それは家族の絆を深め、思い出を形にする大切なプロセスです。太宰府天満宮をはじめ全国の神社が、この秋もたくさんの笑顔を見守り、次代に伝える日本の美しい伝統を育んでいます。

おわりに――小さな手がつなぐ未来

七五三は、子どもの無事な成長に感謝し、これからの健やかな未来を願う特別な日です。神社の鳥居をくぐる小さな手には、親や家族の深い願いが託されています。秋の澄み切った青空の下で、子どもたちを祝う日本の伝統行事は、これからも世代を超えて守り伝えられていくことでしょう。太宰府天満宮そして各地の神社では、また今日も多くの家族の大切な記憶が新たに刻まれているのです。

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