来年1月の大学入学共通テスト、確定志願者は49万6237人に 全国813校が利用
大学入試センターが発表した最新の集計によると、来年1月に実施される大学入学共通テストの確定志願者数は49万6237人となりました。志願者を受け入れる大学や短期大学などの機関は全国813校にのぼり、今年も日本中の高等教育機関が共通テストを広く活用する形となります。
共通テストは、国公立大学の一般選抜ではほぼ必須となっているほか、多くの私立大学でも合否判定や得点換算に用いられており、依然として大学入試の中心的な役割を担っています。受験生にとっては、志望校合格への最初の大きな関門と言える試験です。
確定志願者49万6237人という数字の意味
今回公表された49万6237人という確定志願者数は、「出願を行い、必要な検定料の支払いが完了し、大学入試センターに正式に受理された受験者」の人数を示しています。この人数は、単に出願登録をしただけの人ではなく、実際に共通テストを受験できる資格を持つ受験生数です。
共通テストの出願は、通常、9月下旬から10月上旬にかけて行われます。2026年度入試(令和8年度)でも、受付最終日の段階での出願総数は49万1272人と報告されており、最終的な確定志願者数は、その後の重複出願の整理や出願内容の訂正などを経て決定されます。今回発表された49万6237人という数字も、こうした精査を終えたうえでの最終的な確定値です。
直近年度の例を見ると、2025年度(令和7年度)の大学入学共通テストでは、確定志願者数が49万5171人でした。この数字と比べると、今年の49万6237人はほぼ同水準であり、わずかに増加している程度と考えられます。大きな増減は見られず、「志願規模は前年並み」といえる状況です。
背景にある受験人口の動きと共通テストの位置づけ
大学入試全体を見渡すと、18歳人口は長期的には減少傾向にありますが、大学進学率の上昇などもあり、「大学を受験する人」の数は年度によって増減を繰り返しながら推移しています。進学情報誌などの分析によれば、2025年度入試では大学受験生数が前年度から増加したとされ、2026年度入試に向けても受験生数は緩やかに増えていると指摘されています。
その一方で、共通テストの志願者数については、「受験生数が増加しても、共通テストを利用しない入試方式が一定数ある」ことなどから、志願者数はおおむね約49万~50万人前後で安定していると見られています。国公立大学志望者や、共通テスト利用入試を活用する私立大学志望者にとっては必須の試験である一方、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜など、共通テストを課さない入試も広がっているためです。
それでもなお、国公立大学の一般選抜では原則として共通テストの受験が求められ、多くの私立大学でも共通テスト利用入試が設定されています。家計への負担を抑えられる国公立大学への進学ニーズは根強く、共通テストの重要性は依然として高い状態が続いています。
813校が共通テストを利用 国公立・私立を問わない広がり
今回の発表では、来年1月の共通テストを利用する大学・短期大学・高等専門学校などの機関数が813校にのぼることも示されています。ここには、国立大学、公立大学、私立大学、短期大学、高等専門学校など、さまざまな種類の学校が含まれています。
共通テストの利用方法は学校によってさまざまです。
- 国公立大学:一般選抜では原則として共通テストの受験が必要で、多くの大学が共通テストの得点と個別学力検査(2次試験)を組み合わせて合否を判定します。
- 私立大学:共通テストの成績のみで判定する「共通テスト利用入試」や、共通テストと大学独自試験を組み合わせる方式などを採用している大学があります。
- 短期大学・高専など:募集人員や学科構成に応じて、共通テストを活用する学校も一定数存在します。
このように、共通テストは大学種別を問わず、全国の多くの高等教育機関にとって入試の基盤となるツールとなっています。受験生にとっても、1回の試験結果を複数大学・複数学部で活用できるというメリットがあります。
新課程2年目の共通テストという位置づけ
2025年度入試から、大学入学共通テストは新しい高等学校学習指導要領に対応した出題へと移行しました。教科構成としては、新教科「情報」を加えた7教科21科目となり、旧課程履修者への経過措置として旧課程科目も出題されています。
来年1月に実施される共通テストは、この新課程対応となって2年目の入試となります。初年度だった前回の試験では、出題傾向の変化などに注目が集まりましたが、2年目となる今回の試験では、受験生や高校側もある程度の情報を蓄積したうえで対策を進めてきたと考えられます。
とくに「情報」は、プログラミングやデータの活用など、これまでの大学入試にはあまりなかった内容が問われる教科として注目されています。高校現場では、情報科の授業時間数の確保や教員体制の整備など、対応に追われてきた経緯があります。その成果が、今回の共通テストでどのように表れるかも、教育関係者の関心事となっています。
出願動向のポイント:現役生と既卒生のバランス
2026年度入試の出願状況の分析では、高校卒業見込みのいわゆる「現役生」がやや減少する一方で、高校卒業後の「既卒生」が増加している傾向が指摘されています。受付最終日の段階では、高校卒業見込者が約41万7000人、高校卒業者等が約7万4000人となっており、前年と比べて現役生が減り、既卒生が増えたとされています。
こうした傾向は、
- 一度就職や専門学校進学を経験した後に、大学進学を目指す人
- 浪人して志望校レベルを上げようとする受験生
- コロナ禍後の進路再考や、社会・経済の変化を踏まえてキャリアを見直す若者
などが一定数存在していることを反映していると考えられます。共通テストは、現役・既卒を問わず受験できる試験であり、「学び直し」や「進路変更」に挑戦する人にとっても重要な機会となっています。
出願方法の電子化と受験生への影響
大学入試センターは、共通テストの出願方法の電子化を段階的に進めており、2026年度入試からは、受験生本人がオンラインで出願内容を登録し、検定料を支払う仕組みが本格的に導入されています。これまで現役生は在籍高校を通じて紙の願書を提出する方式が主流でしたが、今後は「受験生が自分で出願する」形に移行していきます。
電子出願では、
- クレジットカード
- コンビニエンスストア
- Pay-easy(ペイジー)
といった方法で検定料を支払うことができます。一方で、支払い期限までに手続きを完了しなければ出願が受理されず、共通テストを受験できなくなるため、スケジュール管理の重要性が高まっています。
出願内容の確認や訂正も、共通テスト出願サイトのマイページ上で行う方式に変わり、受験票もオンラインで取得することになります。高校の進路指導部や担任教員は、これまで以上に「出願手続きの自己管理」について注意喚起する必要が出てきています。
試験日程と今後の予定
大学入学共通テストは、例年どおり1月中旬の土・日曜日の2日間にわたって実施されます。2026年度入試では、本試験が1月17日・18日、追・再試験が1月24日・25日に予定されています。また、平均点などの中間集計は1月下旬、最終的な平均点や得点分布の公表は2月上旬に行われる予定です。
共通テストの結果は、国公立大学の出願や私立大学の共通テスト利用入試の出願戦略に直結するため、毎年、平均点の動向や教科ごとの難易度分析に大きな関心が寄せられます。受験生にとっては、自己採点の結果をもとに、どの大学・学部に出願するかを短期間で判断しなければならず、情報収集力と決断力が求められる局面です。
受験生へのメッセージ:残り期間の過ごし方
来年1月の試験本番まで、残された時間は限られていますが、ここからの過ごし方が得点に大きく影響します。共通テストはマークシート方式で出題され、基礎的な内容から思考力や判断力を問う問題まで幅広く出題されます。難問対策に偏りすぎず、
- 頻出分野の総点検
- 過去問や予想問題を使った時間配分の練習
- マークミスを防ぐためのチェック習慣の徹底
といった基本的な対策がとても大切です。
また、共通テストは一度に多くの教科・科目を受験するため、当日の体調管理も重要です。睡眠リズムを整え、当日と同じ時間帯に問題演習をするなど、本番を意識した生活リズムに慣れておくと安心です。
49万6237人もの受験生が、それぞれの目標に向かってこの試験に臨みます。数字としては一見大きく感じられますが、一人ひとりにとっては「自分のこれから」を左右するかけがえのない挑戦です。共通テストを受験する皆さんが、悔いのない準備と、本番での力の発揮ができるよう、心から願われます。




