京都・三条京阪駅の「ややこしい」駅名表示が話題に――京阪電車と地下鉄東西線、それぞれの「三条駅」とは?

観光客も混乱…「三条京阪駅は京阪電車ではありません」

2025年9月3日、京都市東山区にある「三条京阪駅」の改札口に掲示された「三条京阪駅は京阪電車ではありません」という注意書きが、SNSやニュースサイトを中心に大きな話題となっています。その理由は、観光客だけでなく地元住民にとっても混乱を招く“ややこしい”駅名と、その関係性にあります。

駅名が生む“もどかしさ”

「三条京阪駅は京阪電車(京阪本線)ではありません」と明記されたこの表示。SNSでは「ややこしいにも程がある」「京都の人には当たり前だけど、遠方から来ると混乱必至」といった声や、「三条京阪なのに京阪じゃないってどういうこと?」という観光客からの疑問が多数寄せられています。とりわけ初めて京都を訪れる人や、海外からの観光客にとっては、駅名の表示が“罠”のように感じられることもあるようです。

なぜ「三条京阪駅=京阪電車」とならないのか?

その理由は、京都市の公共交通機関における歴史的な経緯駅名の複雑な成り立ちにあります。

京阪電車「三条駅」とは

  • 京阪電鉄の「三条駅」は、京阪本線の終点、および鴨東線・出町柳駅方面の起点です。
  • かつては京阪京津線もこの地から出ていましたが、1997年に京津線の三条~御陵間が地下鉄東西線へと転換されました。
  • 現在の京阪「三条駅」は、川端通の地下にあり、京阪電車の車両が一日に頻繁に発着しています。

市営地下鉄「三条京阪駅」とは

  • 「三条京阪駅」は、京都市営地下鉄東西線の駅です。
  • 正式名称は「三条京阪駅」ですが、地元では「地下鉄三条」と呼ばれることも。
  • 1997年の東西線開業以降、この駅は京阪三条駅のすぐ隣接地(地下通路で直結)に設けられました。

駅周辺の歴史的背景

三条大橋は、かつて江戸時代の東海道五十三次の終点でもあり、古くから京都の交通の要衝でした。そのため、鉄道敷設の時代から三条周辺には多数の路線・駅が集まりました。こうした経緯により、今日の「三条駅/三条京阪駅」という複雑な乗り入れ構造が生まれています。

観光客の混乱――「京阪電車でない三条京阪駅」の現実

駅名に「京阪」とあるのに京阪電車の駅ではない?

ややこしいのは、三条京阪駅が「京阪」という名前を冠しながら、実際には京阪電車(京阪本線)の駅ではなく京都市営地下鉄東西線の駅である点です。しかし、隣接する京阪「三条駅」と地下通路で結ばれているため、観光客の多くが「三条京阪=京阪の駅」と誤認しても無理はありません。

「京阪電車に乗りたいのに地下鉄ホームに…」

SNSや旅行サイトでは、「三条京阪駅で京阪電車に乗ろうとしたら、地下鉄の改札だった」「浜大津行きと聞いたのに地下鉄だった」という声が多数報告されています。

  • 「駅名に『Keihan』と入っているので、京阪電車の駅だと信じ込んだ」
  • 「最寄り駅なのですが、ややこしいですねー!京阪電車は『三条』で市営地下鉄が『三条京阪』!」
  • 「大阪でいう『野田阪神』みたいな名前の混乱」

なぜ“ややこしい駅名”になったのか?

複数路線による駅名共存の歴史

そもそも「三条京阪」という名称は、歴史的に京阪グループの拠点であることを強調するため、そして交通のハブを明示する目的で用いられてきました。1987年に京阪本線が地下化するまでは、地上に「京阪三条駅」と「京津三条駅」が並び立っていた時期もありました。

1997年の地下鉄東西線開業で京津線の三条駅は廃止され、そのまま「三条京阪駅」となり、地下鉄東西線の駅名として引き継がれたのです。ただし、乗換駅としてすぐ隣の京阪電車三条駅が現存するため、分かりにくい状況が今に至っています。

地名・駅名への愛着やこだわりも

京都人にとっては「当たり前」?

京都をよく知る人にとっては、「三条京阪」「京阪三条」「三条駅」といった呼称にそれぞれ微妙なニュアンスの違いがあるのは自明のことですが、初めての人にとっては混乱の元なのも無理はありません。

一方、SNSなどでは「大昔からの地名なのだから仕方ない」「地元では昔から『三条京阪』と言ってきた」という意見も多く、変更を望まない声も存在します。

駅周辺の再開発と今後の展望

2025年7月には、京阪ホールディングスが発表した大規模な再開発「三条駅周辺プロジェクト」の都市計画提案も提出されており、今後三条エリアはさらに重要な交通・観光拠点に進化する予定です。地上駅跡には複合施設も整備される計画で、街の顔として新たな魅力が加わることも期待されています。

“駅名ミスリード”をどう防ぐ?――利用者への案内や周知にも工夫

  • 駅舎案内表示や館内放送で、「どのホームがどの路線か」「どちらに乗ればよいか」に関する明確なアナウンス。
  • 多言語案内やピクトグラムなど視覚的サポートの充実。
  • 京阪・地下鉄それぞれの路線図の分かりやすい掲示。
  • 観光客向けパンフレットでの注意喚起。

現在も駅ナカや駅前には「三条京阪駅は京阪電車ではありません」という強調文が表示され、間違いを未然に防ぐ努力がなされています。しかし、今後さらに観光客や利用者が急増し続ける京都においては、その案内方法のアップデートも求められています。

まとめ――京都ならではの“駅名あるある”、旅行前には必ず下調べを!

京都の交通事情は、歴史の厚みに支えられつつも時代とともに変化し続けています。今回、話題となった「三条京阪駅と京阪三条駅の混乱」は、単に鉄道ファンや地元民だけでなく、多くの旅行者にとっても身近な“あるある”となってきました。

観光やビジネスで京都へ訪れる際は、ぜひ事前に駅名や乗換方法を確認することをおすすめします。京都ならではのユニークな駅名の奥には、街の歴史や文化への深い愛着が込められていることも感じ取れるはずです。

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