JR南武線久地駅の「開かずの踏切」問題、地域と未来 ~「賢い踏切」早期設置を目指して~

久地駅周辺で続く「開かずの踏切」問題

JR南武線久地駅の至近に位置する「久地踏切」は、地域住民や通学する子どもたちにとって長年悩みの種となっています。この踏切は遮断時間が1時間あたり最大43分にも達し、国土交通省やJRの定める「開かずの踏切」基準を大きく上回っています。

  • 朝夕のラッシュ時には長い列ができ、歩道に人が溢れてしまう。
  • 開いた瞬間に多くの人が一斉に渡り始め、時には子どもたちが渡りきれない危険な状況が発生。
  • 高齢者や身体の不自由な方の通行にも大きな負担。

このような状況を受けて、2022年に「久地駅と久地踏切の改善を求める会」が発足。住民による署名活動や要望書の提出が活発に行われています。

署名活動と住民の声

署名活動は2022年の発足から今春までに3,200筆を超え、JRや行政に対し「橋上駅化」と「賢い踏切」の設置が要望されています。共同代表の佐々木美由紀さんは「高齢者が転倒し怪我をしたり、自分の子どもも通学で踏切を使う。安全な踏切を目指して地域と共に活動している」とその思いを語ります。

数年にわたり続く熱心な活動は、久地駅周辺の人口増加やマンション建設といった急速な都市化の中で、駅や踏切のインフラが追い付いていないという現状を訴えるものです。住民の中には「朝のラッシュ時だけでも駅南側に臨時改札口を設けてほしい」という要望もあり、より多くの協力と理解を呼び掛けています。

「賢い踏切」の導入による解決策

「賢い踏切」とは、停車列車と通過列車を判別し、停車列車時には警報開始点を変更することで警報時間を短縮する最新のシステムです。南武線の平間駅や向河原駅などで先行導入され、大幅な遮断時間短縮が実現しています。

  • 把握可能な列車の動きに応じて、踏切の開閉タイミングを最適化。
  • 日常的な遮断時間の短縮による、地域の移動ストレス解消。
  • 子どもや高齢者も安心して利用できる交通環境の整備。

久地踏切にもこのシステムを導入するよう、会のメンバーや地域住民が強く要望しています。行政側は周辺の土壌改良や工事のために時間がかかるとの見解ですが、住民の安全確保と便利さのために一日も早い導入が望まれています。

南武線地域の交通問題とインフラ改良の動き

南武線沿線では、ほかにも高架化や駅舎の橋上化などの動きが継続しています。例えば、稲田堤駅では橋上化と自由通路の新設により踏切を通らなくても駅北側にアクセスできるようになるなど、利用者の利便性向上が図られています。

一方で、久地駅の橋上駅舎化は土壌改良など技術的な課題もあり、行政・JR・地域住民の三者が話し合いを重ねながらより良い解決策を模索しています。

JR南武線稲城・長沼で「南武線ビアマルシェ」 地域の魅力を味わうイベント開催

南武線ビアマルシェの概要

一方、沿線地域の賑わいを象徴するイベントである「南武線ビアマルシェ」が稲城・長沼エリアで開催されました。このイベントでは12のブルワリーによるクラフトビールの提供があり、地域の飲食店も多数出店。たくさんの来場者で賑わいを見せました(昨年の開催イメージあり)。

  • 南武線沿いの新たな魅力を発信する地域イベントとして人気。
  • 各地のクラフトブルワリーが珠玉の一杯を提供。
  • 家族連れや友人グループなど幅広い層が参加し、地域交流の輪が広がる。

地元に根付く賑わいと南武線の役割

南武線は通勤・通学だけでなく、地域コミュニティの核として人々の生活を支えています。イベント時には、普段踏切や混雑で悩む地域の人々も、広場や駅前で共に笑顔を交わせる大切な役割を果たします。アクセスの課題がある一方で、沿線地域の絆と活力、地元の魅力が再発見されています。

稲城・長沼のイベントのように、地域と南武線が一体となって新たな文化や賑わいを生み出している現状は、多くの人の心を温めています。

南武線の未来に向けて

踏切問題と地域の力

久地駅の「開かずの踏切」や沿線各地のインフラ課題、そして地域の活性化イベント――。南武線は課題と可能性が隣り合わせで存在しています。

住民主体の粘り強い署名活動や地域イベントが、鉄道会社や行政を動かす大きな原動力となり、大都市圏の日常を支えています。

地域の安全・安心と楽しい生活のために

技術革新に支えられたインフラ改良、地域の絆を育てるイベント――それぞれが、誰もが安心して、かつ楽しく生活できる街づくりのための重要な要素です。南武線とともに歩む地域の人々の思いが、これからも街を支え、新たな歴史を築いていくことでしょう。

参考元