ノルウェーの離島が中国人観光客で溢れかえる異例の事態

2025年10月上旬、ノルウェー北部のロフォーテン諸島で、予想外の観光ブームが発生しました。人口わずか2万人ほどのこの小さな島に、中国の国慶節と中秋節の大型連休を利用した中国人観光客が大挙して押し寄せ、深刻な交通渋滞を引き起こす事態となったのです。

中国メディアの極目新聞が6日に報じたこの出来事は、瞬く間に中国国内のSNS上で話題となり、関連ワードが微博(ウェイボー)のトレンド1位に浮上しました。「ノルウェーの人口2万人の小島が中国人観光客のせいで渋滞」という投稿は、多くの中国ネットユーザーの注目を集め、さまざまな反応を呼んでいます。

現地を訪れた観光客が語る「中国人だらけ」の実態

広東省から島を訪れた韓さんは、現地の様子について驚きを隠せない様子で語っています。「中国人が本当に多い。島にある中華料理店はどこも満席で、順番待ち状態。道路も渋滞していた」と述べ、小さな島が予想外の観光客数に対応しきれていない状況を伝えました。

さらに韓さんは、より具体的な状況について言及しています。「島内の観光スポットでも見かけるのは中国人観光客ばかりだった。5日に島を観光して回った時は、中国人ではない外国人観光客は2人しか見かけなかった」と語り、島が事実上、中国人観光客による「貸し切り」状態になっていたことを明かしました。韓さんは、この現象について「おそらく、今は外国では休暇ではないからだろう」と分析しています。

韓さんが現地で撮影した動画には、長い車列がゆっくりと動いている様子が映っており、普段は静かな島の道路が観光客の車で埋め尽くされている状況が確認できます。

ロフォーテン諸島だけではない世界的な現象

この現象はノルウェーのロフォーテン諸島に限った話ではありません。中国の大型連休期間中、世界各地の観光地で同様の状況が報告されています。

上海からオーストラリアのシドニーを訪れた李さんは、「シドニーも中国人に占領された感じ。オペラハウスのそばで写真を撮ろうとしても、撮影できるスペースが見つからないほど」と語っています。さらに印象的だったのは、ホエールウオッチングの体験です。李さんによると、「3隻の船は船長を除き乗客もスタッフも全員中国人だった。旅行中ずっと中国語でやり取りできて本当に便利だった」とのことで、海外にいながら中国語だけで観光を楽しめる状況だったそうです。

ロシアに住む万さんも、モスクワの赤の広場での変化に気づいています。「普段から赤の広場には中国人観光客が多いけど、ほとんどが年配の団体客。でも今年の国慶節では若い中国人がたくさん来ている。ここ数日は多くの中国人観光客を見た」と述べ、観光客の世代が若返っていることを指摘しました。

中国SNSで巻き起こる賛否両論の議論

この話題は中国のSNS上で大きな反響を呼び、さまざまな意見が飛び交っています。ユーモラスな反応も多く見られました。

肯定的・ユーモラスな反応として、「中国人のせいで渋滞。ウケる」「一生、映えスポットに行き続ける中国人」「はははは。中国人が世界で国慶節を祝う!」「中国人が世界中を占領するんじゃないか?」といったコメントが寄せられています。また、「多くの国が収入を中国人観光客に頼っている」「全世界の消費は中国人頼み」といった、中国人観光客の経済的影響力を誇らしげに語る声も見られました。

一方で、批判的・懐疑的な反応も少なくありません。「なんで誇らしそうなの?」という冷静な意見や、「わが国はやはり人が多すぎる」という自国の人口問題を指摘する声もありました。

経済格差への言及も

特に注目されたのは、中国国内の経済格差を反映したコメントです。「金持ちが本当に多いんだな」「みんなそんなに金持ってるの?」「経済状況が悪いんじゃなかったのか?」「私は生活でいっぱいいっぱい」といった声が多く上がり、海外旅行を楽しむ富裕層と、日々の生活に追われる層との格差が浮き彫りになりました。

これに対して、「中国人は普段節約して、祝日に財布のひもを全開放する」というコメントも見られ、中国人の消費行動の特徴を指摘する意見もありました。

国慶節・中秋節連休という特殊な時期

今回の現象の背景には、中国の国慶節(建国記念日)と中秋節が重なった大型連休があります。この時期は中国全土で長期休暇となり、多くの人々が旅行に出かける時期として知られています。

報道によると、「国慶節と中秋節の大型連休に、多くの観光客が海外旅行に出かけているが、その数があまりにも多く、外国の観光地が事実上、中国人による『貸し切り』状態になっている」という状況が各地で見られました。

韓さんが指摘したように、この時期は中国以外の多くの国では通常の平日であるため、相対的に中国人観光客の割合が極めて高くなったと考えられます。ロフォーテン諸島のような小規模な観光地では、この影響がより顕著に現れたのです。

小さな島が直面した課題

ロフォーテン諸島は、常住人口が2万人余りという小規模なコミュニティです。このような規模の島にとって、突然の大量の観光客流入は、インフラや観光施設の受け入れ能力を超える事態となります。

報告された問題点として、以下のような状況が挙げられています。まず、交通渋滞が発生し、島内の道路が観光客の車で混雑しました。次に、飲食施設の不足が深刻化し、中華料理店はどこも満席で順番待ちの状態となりました。さらに、観光スポットの混雑により、ゆったりとした観光体験が困難になったことも報告されています。

これらの問題は、小規模な観光地が急激な観光客増加に対応する際の課題を浮き彫りにしています。

世界の観光地が抱える新たな課題

今回の事例は、中国人観光客の増加が世界の観光地にもたらす影響を示す象徴的な出来事となりました。中国の経済成長に伴い、海外旅行を楽しむ中国人は年々増加しており、その消費力は各国の観光産業にとって無視できない存在となっています。

一方で、特定の時期に観光客が集中することによる「オーバーツーリズム」の問題も指摘されています。地域の受け入れ能力を超える観光客が押し寄せることで、地元住民の生活に支障をきたしたり、観光資源そのものが損なわれたりする可能性があります。

今後、観光地側には持続可能な観光のあり方を模索することが求められるでしょう。観光客の分散化や、受け入れ体制の整備、地域コミュニティとの共生など、さまざまな課題に取り組む必要があります。

まとめ

ノルウェーのロフォーテン諸島で発生した中国人観光客による混雑は、単なる一時的な現象ではなく、グローバル化が進む現代の観光産業が直面する課題を象徴する出来事となりました。中国国内でもこの話題は大きな議論を呼び、経済格差や消費行動、さらには国際社会における中国の存在感など、多様な論点が浮かび上がっています。

世界各地の観光地にとって、中国人観光客は重要な収入源である一方、その数の多さと集中度は新たな課題をもたらしています。今後、各観光地がどのようにこの状況に対応していくのか、注目が集まります。

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