カトリック教会と「ミサ」:死者の日(Finados)に焦点をあてて

はじめに

カトリック教会では、信者の生活において「ミサ」が特別な役割を果たしています。本記事では、2025年10月末から11月初頭のカトリック教会のミサの開催に関する最新ニュースをもとに、「ミサ」の意義、Finados(死者の日)における特色、ブラジル各地のプログラムについて、分かりやすくご案内します。

ミサ(missa)とは何か

「ミサ」とは、カトリック教会における聖体の秘跡にかかる最も重要な典礼です。教会の他の典礼やキリスト教他教派の「礼拝」とも区別され、キリストによる十字架の犠牲を今に再現し、その恵みに与る神聖な儀式です

  • ラテン典礼に基づき、世界中でほぼ共通の形式で行われる
  • 「開祭」「ことばの典礼」「感謝の典礼」「閉祭」の4部構成
  • 司祭や信者全員の共同体としての祈りと参加が重視される

カトリック教理においては、主日(日曜日)や祝日にミサへ参列することが信者の義務です。それ以外にも、通年を通した様々な記念日、追悼、感謝のために頻繁にミサが捧げられています

Finados(死者の日)とは?

Finados(フィナドス、死者の日)は、カトリック教会で11月2日に祝われる、亡くなった人々のために祈りを捧げ、追悼する特別な日です。日本では「死者の日」や「万霊節」として知られています。キリスト教圏の多くの国々で、墓地や教会に人々が集い、家族や友人、すべての亡くなった信者たちのために祈りを捧げます

  • 11月1日の「諸聖人の日(万聖節)」と並ぶ重要な典礼日
  • 死者を記憶し、天国における永遠の安息を願う
  • 墓地や納骨堂、および教会でミサや祈りがささげられる

この時期には、カトリック信者にとって、ご先祖様や親しい故人のみならず、すべての死者のために執り成しを祈る機会となります。

なぜこの週末は二度のミサが義務?

2025年のカレンダーでは、10月末から11月初頭にかけて「死者の日」と日曜日のミサが重なります。このため、カトリック信者は「Finados(死者の日)」と「主日(日曜日)」両方のミサに参加する必要があります

  • 11月2日が「死者の日」(万霊節)ミサ
  • 翌日または前後に主日(日曜日)のミサ

いずれも信徒が守るべき大切な義務であり、この週末には2回ミサへの参列が求められます。「死者の日」は義務の日ではない国や地域もありますが、多くのカトリック圏では重視されており、教会によっては週末に複数のミサが執り行われます。

ブラジル・バイシャーダ・クイアバーナのFinadosプログラム

「Finados(死者の日)」、特にブラジルでは重要な意義があり、多数のミサや追悼行事が企画されています。「バイシャーダ・クイアバーナ」地域でも、多くの教会が特別なプログラムを用意しています。

  • 朝早くから複数の時間帯でミサが予定されている教会が多い
  • 墓地での聖体拝領や祈り、ろうそくの灯火が一般的
  • 信者だけでなく一般市民も訪れ、家族の絆を再確認する日

地域によっては、夜のキャンドルサービスや音楽奉納、児童の聖書朗読、共同徴募(コレクタ)など多彩な活動が行われています。

ペトロポリス教区における死者の日ミサ

「ペトロポリス教区」でも、死者の日には各教会・小教区で追悼ミサが行われます。ブラジル・リオデジャネイロ州のペトロポリス市は歴史的なカトリック文化の中心地のひとつであり、多くの信者が集まります。

  • 市内の複数の大聖堂・小教区教会で、死者のための特別なミサが捧げられる
  • 家族連れが墓地を訪れ、一緒に祈る姿が各地で見られる
  • ミサには、司教や特別ゲストによる説教・祝福も実施されることが多い

このような地域密着型の活動を通じ、死者の記憶とともに現在生きている人々が共に祈るひとときが生まれています。

カトリックの「ミサ」:その本質と信者にとっての意義

カトリック教会のミサは、イエス・キリストによる十字架のいけにえを表現すると同時に、信者一人ひとりがお互いを支え合い、赦しと希望を新たにする宗教的基盤です。 Finadosのような追悼の際、ミサは故人への思いだけでなく、残された人々に癒しと再生の機会を与えます。

  • ミサは贖いと感謝の儀式であり、信仰の核
  • 聖体拝領を通じて神との一体感が強まる
  • 病気や困難を抱える人、またその家族、故人の魂の平安のためにも祈られる

特に死者の日のミサでは、命や死、生きる意味について改めて考えるきっかけとなり、家族や共同体のきずなも強まるとされています。

司祭の役割とミサの進行

ミサは司祭(時に司教)が取り仕切り、「開祭」から「閉祭」までを導きます。信者は聖書朗読や聖歌斉唱、祈り、聖体拝領を通じて、神秘に与ります

  • 典礼文や祈りは世界的に統一されており、どこでも同じ流れで進行する
  • 感謝の典礼でパンと葡萄酒がキリストの体と血に変化すると信じられている(「聖体変化」)
  • 信者は心をこめて祈りと賛美をささげ、静かな黙想の時間も大切にされる

カトリックの儀式と日本の文化:共通点と違い

日本では、カトリック信者以外にもFinadosのような「命を思い、死者をしのぶ日」は、仏教の「お盆」や「彼岸」と一定の共通点があります。どちらも家族や親族が集い、故人に祈りや心を寄せるという点で、宗教や文化を越えた普遍的な人間の営みと言えるでしょう。

  • カトリック式では、ミサを中心に追悼の祈りが行われる
  • 日本の伝統行事と同じく、家族・親族の絆を深め、過去と現在、未来へのつながりを感じる日となる

おわりに:この日のミサにこめられた思い

2025年のFinadosを迎えるこの週末、カトリック信者にとっては二度ミサへ与ることにより、祈りと感謝、そして故人への想いを新たにする機会となります。それぞれの教会や地域社会で、人々が静かに集い、命と愛について深く考える。「ミサ」は、ただの行事ではなく、人生の節目や、故人との対話、共同体とのふれあいを生み出す大切な時間として尊ばれています。

死者の日のミサは、悲しみと向き合いながらも、希望と連帯を思い起こさせてくれます。そして私たち一人ひとりが、生と死のきずなを結び直し、新たな一歩を踏み出す出発点でもあるのです。

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