第46回カイロ国際映画祭開幕:多様な映画文化が交差する魅惑の11日間

2025年11月12日、エジプトの首都カイロにて、第46回カイロ国際映画祭(Cairo International Film Festival:CIFF)が盛大に幕を開けました。1976年の創設以来、中東およびアフリカ地域最大級の映画祭として国際的な評価を受け続けており、今年もカイロ市内を舞台に、世界中の映画人と映画ファンが一堂に会します。開催期間は11月12日から21日までの11日間。映画愛と多様な物語が交差し、カイロは映画の都へと変貌します。

カイロ国際映画祭の歴史と特色

カイロ国際映画祭(CIFF)は、アラブ世界およびアフリカ唯一の国際映画製作者連盟認定「カテゴリーA」映画祭であり、カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンなど世界三大映画祭と並ぶ存在です。エジプト映画の歴史と伝統を背景に、毎年開催される映画祭には、世界中から映画人が集まり、その年を代表する話題作や新進気鋭の監督による作品が上映されます。 参加者は著名な監督や俳優のみならず、映画愛好家、学生、プロデューサー、国際的な批評家まで多岐にわたり、文化の交流の場としても重要な役割を果たしています

映画祭の会場とカイロの魅力

  • メイン会場はカイロ・オペラハウス
  • その他、市内の複数の劇場やシアターでも上映や関連イベントを実施。
  • ピラミッド、エジプト考古学博物館、イスラム・カイロなど、歴史的建造物が映画祭の雰囲気を一層引き立てます。

カイロはエジプト最大の都市であり、その文化的多様性と歴史的背景が映画祭の雰囲気を唯一無二のものにしています
街中には赤じゅうたんが敷かれ映画関係者やセレブリティが集い、日常生活と映画文化が融合し華やかな空間が生まれます。

プログラム概要と今回の注目ポイント

  • 国際コンペティション部門:世界中から集まった新作映画が上映され、審査員の厳正な審査が行われます。
  • エジプトやアラブ圏の新作・話題作も特集され、アラブ映画の力強さと多彩な表現を世界に発信。
  • 短編映画やクラシック映画の復元上映:計22本のエジプトの古典映画が修復・再上映され、国内外の観客にエジプト映画の魅力を伝えます
  • 本映画祭の会長は著名な俳優・フセイン・ファーミ氏、芸術監督には映画評論家のモハメド・タレク氏が務めます。
    また、今年の国際コンペティション審査員長にはトルコ人監督ヌリ・ビルゲ・ジェイラン氏が就任し、国際的な注目を集めています。

特集:ナイン・フィルムズ(The Nine Films)

今年の映画祭では、「ナイン・フィルムズ」と呼ばれる特集プログラムが実施されます。これは世界各国の新進気鋭から巨匠まで、様々な監督が手がけた注目の9本の作品を厳選し、一挙に紹介するものです。作品ジャンルやテーマも多岐にわたり、各国のリアルな社会、家族、愛、歴史、文化へのまなざしがスクリーンいっぱいに展開します。映画ファンにとっては、最新のグローバルシネマ潮流を知る絶好の機会です。

レジェンドたちに敬意を表して――俳優・監督への特別オマージュ

本年度はアラブ映画界を代表する名優や監督たちが、業績を称えられ表彰されます。以下は、特別に顕彰される予定のレジェンドの一部です。

  • エジプトが誇る往年の女優 ファティマ・アハメド
  • アラブ近代映画を牽引した監督 サイド・モハメド
  • グローバルに活躍する現代俳優 リヤド・アル=アスワード

これらの人物の生涯や代表作を特集上映やトークショーなどで振り返り、その功績が若い世代にも受け継がれることを目指しています。また、特別講演や対談イベントも予定されており、未来の映画人への刺激とヒントとなるでしょう。

CIFFの国際的社会的役割と映画産業支援

カイロ国際映画祭は、産業支援にも力を入れているのが特徴です。映画製作者と国際的なプロデューサー、投資家などを結びつける「カイロ・フィルム・コネクション」や「カイロ・フィルム・マーケット」を開催し、若手映画人やインディペンデント映画の世界進出を後押ししています。ワークショップやパネルディスカッションも充実しており、知識・技術の交流の場として枠を超えた成長の場を提供しています

フェスティバルの雰囲気と市民参加

映画祭期間中のカイロの街は、プロ・アマ問わず映画好きですべて賑わいます。各会場周辺は、映画談義や撮影スポットを求めて多くの人々が集い、夜にはレッドカーペットで有名俳優や監督が登場。一般観客も日常的に気軽に参加できるプログラムが多数用意され、映画の魅力と同時にカイロの人情や温かさも感じられる稀有なイベントです。

グローバル化するアラブ映画、その今と未来

近年、エジプトやアラブ諸国の映画は、グローバルな映画祭で高い評価を得ることが増えています。カイロ国際映画祭はその波の中心に位置し、多様な視点や社会的メッセージをもった新作が登場。「文化を通じて世界と対話する」ことの重要性を自ら体現している場所です。

2025年、第46回となる今年のCIFFは、新しい才能の発掘と伝統的な映画美学の継承、そして国際的な交流をさらに深める場として、その存在感を強く刻みます。映画の面白さ、文化の豊かさ、人々のつながり――カイロの街で起きる奇跡のような体験が、今年も期待されています。

カイロ国際映画祭2025の注目トピックス

  • 世界の新作とクラシック映画をつなぐ多彩なプログラム
  • 完全復元上映!エジプト映画の貴重なアーカイブ
  • 「ナイン・フィルムズ」特集で見る最新グローバルシネマ
  • 映画界のレジェンドを称える功労賞・オマージュイベント
  • 若手監督と業界プロの橋渡しを担う産業支援事業
  • パネルディスカッションやマスタークラスで専門知識を学ぶ絶好機会
  • 市民参加型プログラムで当地カイロならではの映画愛を満喫

世界とつながる、映画の力

カイロ国際映画祭は、単なる映画上映会を超え、文化交流と社会的対話の場、さらには映画産業の発展を支える原動力として根付いています。多様性と創造性に満ちたこの映画祭から、また新たな才能と感動が世界へ羽ばたいていくでしょう。2025年も、映画を愛するすべての人の注目がカイロに集まります。

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