旭川で光る若き地図作家たちの挑戦 ― 旭川西高校生2作品が最高賞受賞
2025年11月、北海道旭川市にて開催中の「私たちの身のまわりの環境地図作品展」において、旭川西高等学校の生徒たちが手掛けた2つの地図作品、「道草マップ」と「アイヌ地図」が最高賞を受賞しました。この展覧会は、地域に根ざした視点で描かれる創造的な地図作品が数多く集まる、全国的にも注目を集めるイベントです。展示は11月23日まで旭川市科学館サイパルで開催されており、多くの来場者が足を運んでいます。
「道草マップ」― 日常と発見の地図
「道草マップ」は、旭川西高生たち自身の通学路や下校時にふと立ち寄る小さなスポット、自然や昔ながらの建物、地域の人々とのささやかな交流の場などを細やかに記した地図です。この作品では、単なる道案内や観光地情報とは異なり、普段の生活の中で感じる地域の魅力や、小さな発見を丁寧に掬い上げて描いた点が高く評価されました。
身近な道や緑地、公園、隠れた名所、四季折々の変化など、「道草」を通じて見えてくる地域文化や子どもたちの視点は、来場者の共感を呼んでいます。地元の高齢者から子どもたちまで、世代を超えた交流のヒントとしても注目されています。
「アイヌ地図」― 多文化共生の足跡をたどる
もうひとつの受賞作「アイヌ地図」は、旭川周辺に長く暮らしてきたアイヌ民族の歴史や文化、言い伝え、現在の生活のなかに残る伝統行事や地名の由来などを、丹念に調査・取材し、地図として可視化した作品です。
生徒たちは各地に点在するアイヌゆかりの地や、そこに遺された物語、地域の暮らしと自然とのつながりを見つめ直し、「今ここに息づく多様な文化の存在」を伝えたいという思いを込めました。この取り組みは、近年全国的に高まっている多文化共生への関心とも呼応し、教育の現場からも大きな反響を呼んでいます。
「私たちの身のまわりの環境地図作品展」とは
この作品展は、「地図」を単なる交通や地理情報のツールとしてだけでなく、「地域との関わり方」や「自分自身のまなざし」を表現する創造的なメディアとして再発見しようという主旨のもと、全国の小中高校生から一般まで幅広く作品を公募しています。
- 今年度の入選作品は101点。優秀賞が38点、優良賞が32点、努力賞が31点と、多様な観点から地域を見つめた地図がそろいました。
- 展示期間は2025年11月15日から23日まで、旭川市科学館サイパルにて行われています。
- 表彰式も旭川市科学館で行われ、多くの生徒や家族、地域関係者が集う盛大な催しとなりました。
評価されたポイントと生徒たちの声
審査員からは「地域に寄り添った独自性」「若者ならではの素直な視点」「丁寧な調査と物語性」などが高い評価を受け、旭川西高生たちの作品は来場者からも多くの感想や励ましの声が寄せられています。
受賞生徒は「日々見落としがちな、身近な景色や物語が地図を描くことで新たな価値に気付きました」「アイヌ文化を調べていく中で、地域に眠る多様な歴史を感じられたことが何よりの学びになりました」と感想を語ってくれました。
地域社会に広がる地図の可能性
最近では、地図づくりが地域課題の発見やまちづくり、観光振興、防災教育など、多面的な活用が進んでいます。そして今回の西高生2作品のように、「生活者」の目線や「異文化共生」をテーマにした地図は、地元住民だけでなく観光客や教育関係者にも新たな気づきをもたらしています。
- 旭川では、高校生たちの地図作品がまち歩きガイドやイベント企画に活用される例も多く、地域課題の解決やコミュニケーションの促進にもつながっています。
- また、学校教育の中で地域調査やフィールドワークを積極的に取り入れる流れが全国で強まっており、「地図づくり」を通じて実体験から学ぶ機会が広がっています。
旭川西高校の活躍と今後の展望
旭川西高校はこれまでにも美術展や作品展で数々の優秀な成績を残してきました。2025年度の美術展でも上位入賞を果たし、その創造力と地域への関心の深さは年々注目を集めています。
今後は学校の枠を越え、他校や地域団体との連携・協力によるプロジェクトや、観光や福祉などの分野で地図作品が活かされる可能性が広がると期待されています。
旭川発「地図」の未来―地域とつながる新しい学び
「道草マップ」と「アイヌ地図」が映し出すのは、単なる地理情報にとどまらない、人と地域の深いつながりや、多様な歴史へのまなざしです。地図作品づくりが、若い世代に地域を見つめ直すきっかけとなり、旭川のみならず全国各地で同様の取り組みが今後ますます広がっていくでしょう。
展覧会会場では来場者のコメントや、生徒自身がガイドを務める企画も開催されており、「知れば知るほど、地域の面白さや大切さが見えてくる!」と多くの声が聞かれます。
これからも旭川西高校生のような若い力が、地域の魅力や課題を発信し続けていくことで、地元旭川はさらに“学びと出会いのまち”として輝きを増していくことでしょう。
【おまけ】関連情報:11月18日函館市では雪に注意!
道内の天気にも注目が集まっています。11月18日の函館市では朝から雪による路面の凍結が予想されており、通勤・通学時は足元にご注意ください。昼頃からは雲が広がる見込みです。冬本番を迎え、北海道各地で防寒・防災の備えも重要になってきます。
旭川の地図作品展の感動とともに、冬の北海道の自然の厳しさ・美しさも、この時期ならではの大切なニュースです。


