中国での日本エンタメ相次ぐ中止・強制中断 カズレーザーが語る日本側のダメージ

お笑いコンビ「メイプル超合金」のカズレーザーが12月1日、フジテレビの情報番組「サン!シャイン」に出演し、中国で相次いでいる日本人アーティストの公演中止・強制中断について言及しました。高市早苗首相の台湾有事を巡る発言に対して中国政府が反発を強める中、中国で日本のエンタメ関連のイベント中止が相次ぐなど、その影響が急速に広がっている状況が明らかになっています。

相次ぐ中国公演の中止・強制中断

中国での日本人アーティストのトラブルは複数発生しています。アニメ「ONE PIECE」の主題歌で知られる歌手の大槻マキ(52)は11月28日に上海でのイベント中に歌唱を中断させられるという異例の事態が発生しました。

さらに、「SUPER☆GiRLS」の元メンバーで女優・声優の前島亜美(28)は12月20日に上海で予定していたファンミーティングを中止することを11月29日に発表しました。そして、歌手の浜崎あゆみ(47)は11月28日、自身のインスタグラムで11月29日開催予定だった上海公演の中止を公表しました。

浜崎あゆみは中止発表の際に、「午前に急遽公演中止の要請を受けました」とし、「中国全土や日本はもとより、その他様々な国から集まってくれていた14,000人のTA(ファンの総称)に直接会って謝罪する機会もないまま、このステージをただ解体しなければならない事が今はまだ信じられず、言葉になりません」と悲痛な思いを綴り、謝罪しました。

無観客での本番敢行――浜崎あゆみの決断

浜崎あゆみは公演中止要請後、無観客の状態で一曲目からアンコールまで全ての演目を演奏し、その後会場を後にしたことが明らかになりました。

浜崎は29日、自身のロゴマークがデザインされた指輪をした手の写真をインスタグラムに投稿し、「I HOPE TAS ARE DOING OK MISS YOU ALL」(TA=ファンの総称=が元気でいることを願っています。会えなくて寂しいです)とメッセージを綴りました。

その後、香港最大級の日本情報オンラインメディア「LikeJapan」の報道を引用する形で、「この記事にあるように、私達は昨日の中止要請の後、無観客の状態で一曲目からアンコールまで行ってから会場を後にしました」と報告。さらに「会えるはずだった14,000人のTAの皆さんに向けて、演者・スタッフ全員で全身全霊で本番と寸分変わらぬ想いをもちステージをまっとうさせて頂きました」とコメントしました。

カズレーザーが指摘する構造的な問題

カズレーザーはこうした状況について、明確に分析を行いました。「これは日本人がやられているということなんで、中国人全体で考えたら興味ない分野かも知れない」と述べ、文化的背景を指摘。

さらに、カズレーザーは経済的な観点からも言及しました。「中国全体で考えたら日本のエンタメは人気はありますが、パイは少ないので、そうなると結局、日本側のダメージの方が大きくなっちゃう。こうやって、我々は衝撃を受けていますから」とコメントし、日本のエンターテインメント業界が受けるダメージの大きさを強調しました。

政治的背景との関連性

これらのイベント中止・強制中断が相次いでいる背景には、高市早苗首相の台湾有事を巡る発言に対する中国政府の反発があると指摘されています。政治的な対立が、エンターテインメント業界へと波及する形で、日本のアーティストやイベントが影響を受けているとみられています。

対比される事例――BENIの公演成功

興味深いことに、歌手・BENI(39)の中国公演は無事に開催されたとされています。これは「地域によって対応に違いがある」ことを示唆しており、中国側の対応が統一的ではなく、何らかの基準や判断によって異なることを示唆しています。

中国外務省の対応

こうした状況に対して、中国外務省は日本人歌手の強制退場やコンサート中止について問われた際に、「主催者に聞いて」と言及を避ける姿勢を示しており、公式には関与を示唆しない対応をとっています。

広がる不安と影響

今回の一連の事象は、日本のエンターテインメント業界にとって新たな懸念材料となっています。単なる一時的なトラブルではなく、文化排除の本格化ではないかという懸念も出始めています。政治的緊張が直接的にエンターテインメント業界に影響を与える形となっており、今後の中国でのイベント開催に対する不安が高まっています。

200名の日本と中国のクルーが5日間かけて準備した浜崎あゆみの公演が、直前になって中止要請を受けるという急展開は、中国でのイベント開催のリスクが従来の予想以上に高いことを示唆しています。

今後の課題

カズレーザーの指摘通り、中国市場におけるエンターテインメントのパイが比較的小さいため、日本側が受けるダメージは相対的に大きくなります。一方で、中国国内での影響は限定的かもしれません。この非対称な構造の中で、日本のアーティストやイベント関係者は、今後の中国でのイベント開催についてより慎重な判断が求められることになるでしょう。

政治的な対立がいつまで続くのか、そしてそれが今後どの程度エンターテインメント業界に影響を与え続けるのかは、まだ不確定な状況です。しかし、浜崎あゆみが無観客での本番を敢行したように、日本のアーティストたちは様々な困難に直面しながらも、ファンへの想いを大切にしようとしています。

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