国立美術館のコレクションを活用した新たな連携事業が始動
国立アートリサーチセンター(NCAR)は、全国の美術館等との協働による新たな連携事業「国立美術館 コレクション・ダイアローグ」と「国立美術館 コレクション・プラス」の公募を2025年4月1日から開始することを発表した。この取り組みは、地域におけるアートの鑑賞機会を充実させ、美術館の展示・調査研究活動を活性化することを目的としている。
コレクション・ダイアローグとコレクション・プラスの概要
「コレクション・ダイアローグ」は、国立美術館のコレクションに開催館のコレクションを加え、高いテーマ性を持つ展覧会を企画するもので、全国の美術館からの応募を受け付ける。主催は開催館、担当国立美術館、NCARの三者が行う。2027年度の担当国立美術館は東京国立近代美術館で、応募期間は2025年4月1日から6月30日までとなっている。
一方、「コレクション・プラス」は、開催館のコレクションに国立美術館の作品を加えたテーマ展示を企画し、全国の美術館からの応募を受け付ける。こちらも主催は開催館が行い、担当国立美術館とNCARが特別協力を行う。2026年度の担当国立美術館は国立工芸館、京都国立近代美術館、国立国際美術館で、同じく応募期間は2025年4月1日から6月30日までである。
過去の公募結果と展示内容
一昨年の「国立美術館 コレクション・ダイアローグ」では、岐阜県美術館が選ばれ、現代デザインの礎を築いた大正から昭和にかけての工芸・デザインに焦点を当てた展覧会が予定されている。展覧会名は「大正・昭和 ‘モード’ の源泉」で、会期は2025年11月15日から2026年2月15日まで。アール・ヌーヴォーやアール・デコのエッセンスを日本固有の感性に融合させた作品が紹介される。
また、昨年の「国立美術館 コレクション・プラス」では、富山県美術館、長野県立美術館、北海道立釧路芸術館の3館が選ばれ、展示内容は「ビフォーアフターポップ TADのアメリカ美術+」や「ピカソ―肖像画とモデル」となる予定である。会期は2025年7月17日から10月28日まで。
NCARの役割と期待
NCARは、これらの連携事業を通じて、国立美術館と開催館のコレクションに新たな光を当てることを目指している。展示に関する輸送費等の経費の一部を負担することで、より多くの美術館が参加しやすくなることが期待されている。NCARのミッションは「アートをつなげる、深める、拡げる」であり、情報収集や国内外への発信、コレクションの活用促進に努めている。
終わりに
国立美術館のコレクションを活用した新たな連携事業は、地域の美術館と国立美術館の相互交流を促進し、アートに対する理解を深める貴重な機会となるだろう。これにより、美術館活動がより一層活性化し、地域の文化振興に寄与することが期待されている。今後の展覧会やプロジェクトに注目が集まる中、アートの魅力がさらに広がっていくことを願ってやまない。