築約100年の大正時代商家を未来へ|陶器ギャラリー陶庫がクラウドファンディングを開始

有限会社陶庫(本社:栃木県益子町、代表取締役社長:塚本倫行)が、築約100年の木造建築「陶庫」の屋根修繕を目的としたクラウドファンディングを開始した。このプロジェクトは、益子焼の作り手と使い手をつなぐ場としての陶庫の役割を未来へと受け継ぐことを目指している。

陶庫の歴史と役割

陶庫は1974年に創業し、益子焼を中心とした工芸作品の展示・販売を行うギャラリーとして知られている。2024年には創業50年を迎え、現在は約40名の工芸作家の作品を取り扱い、1000回以上の展覧会を開催してきた。さらに、金継ぎ体験や作家トークイベント、お茶会などのワークショップを通じて、全国から多くの来場者を迎えている。

陶庫のオリジナルブランド「道祖土和田窯」では、益子の伝統技法を受け継ぎながら、現代の食卓に調和する器「modern mashiko」を提案し、「真の豊かさを模索する」をコンセプトにギャラリー運営を行っている。

クラウドファンディングの目的

益子焼業界は、1998年に市場規模約95億円を記録した後、2022年には約15億円まで縮小し、窯元の後継者不足も深刻化している。その中で、陶庫は作家の表現を尊重し、訪れる人々が益子焼の魅力を体験できる場として運営を続けてきた。しかし、築約100年の現店舗は老朽化が進み、屋根瓦の剥がれや庇の腐食が深刻な状況にある。

これまで可能な範囲で修繕を行ってきた陶庫は、建物の保存と活用を本格的に進めるため、クラウドファンディングを実施することを決定した。プロジェクトは、単なる建物の修繕にとどまらず、「この空間を、これからの益子のためにどう活かしていくのか」を皆と共に考える取り組みである。

支援の詳細と目標金額

クラウドファンディングの期間は2025年3月17日から5月15日までで、目標金額は500万円、最終目標金額は1100万円となっている。支援プラットフォームは「READYFOR」で、プロジェクトページはこちらからアクセス可能である。支援用途は屋根修繕と縁側の庇の修繕に充てられる。

陶庫の未来に向けた思い

陶庫は、創業以来、益子焼という伝統工芸と共に歩んできた。築約100年の建物の老朽化が進む中、修繕は事業収益で賄うべきものだが、益子焼業界全体が縮小する中で維持が難しくなっている。そのため、陶庫は皆と共に「未来の陶庫」をつくりあげたいと考えている。

作り手の想いや背景を大切にし、この場所が益子の文化と人々をつなぐ場であり続けるために、支援を募っている。陶庫の代表取締役社長、塚本倫行氏は、「この場所があるからこそ、作家の表現が伝わり、人と器との出会いが生まれる」と語り、皆様の温かいご支援をお願いしている。

終わりに

陶庫は、益子焼の文化を未来へとつなぐ重要な役割を果たしている。今回のクラウドファンディングを通じて、地域の文化や伝統を守り、次の世代に引き継ぐための取り組みが進められることを期待したい。皆様のご支援が、益子の未来を明るく照らす一助となることを願ってやまない。