カンボジアの教室から社会を変える夢

特定非営利活動法人SALASUSU(サラスースー)は、カンボジアの教室の片隅から社会を変えることを目指しています。良い教科書やカリキュラム、制度や政策の改善が必要であることは認識されていますが、教育の質向上には教室内の教師一人ひとりの変化が不可欠であると考えています。SALASUSUは、教師の小さな工夫が生徒たちの学びを大きく変える可能性があると信じています。

ソク先生とリムの物語

ソク先生は、小学校の教師として平凡な日々を送っていました。彼は生徒を「できる子」と「できない子」に分けて評価し、教室で何が起こっているかに気づいていなかったと振り返ります。しかし、ある日、普段は窓の外ばかり見ている生徒リムが夢中でノートに書き込んでいる姿を見つけ、彼の学びの背景に気づくことになります。

リムは両親がタイへ出稼ぎに行き、祖母と二人暮らしでした。ソク先生はリムが集中できない理由を勘違いしていましたが、実際にはリムが文字を読むのが苦手で、隣の席の子が助けていたことに気づきます。この気づきをきっかけに、ソク先生は教室の座席を4人グループに変え、生徒同士が自然に声を掛け合える環境を作りました。

教室の変化と生徒の成長

この小さな変化によって、教室の雰囲気は一変しました。リムを含む多くの子どもたちが夢中で学ぶようになり、静かで穏やかな活気が生まれました。卒業式の日、リムはソク先生に「先生の授業の日は、学校に来てよかったって思ってたよ」と伝えました。ソク先生は、教壇に立ちながら教室で本当に起こっていることに気づくことの重要性を再認識しました。

小さな変化がもたらす大きな影響

ソク先生とリムの物語は、架空のストーリーですが、SALASUSUがカンボジアで日々取り組む教育活動の中で実際に起きている数多くの小さな変化を反映しています。カンボジアの教室での小さな変化は、やがて国境を越え、世界中の教室に広がることが期待されています。

教師が小さな気づきを得て生徒が夢中になって学ぶ教室を作り出すことが、教育の本質的な変化をもたらし、日本やアジア、さらには世界各地で「教室の当たり前」となることをSALASUSUは夢見ています。

未来へのビジョン

教育現場の変化は、制度や指標だけでは実現しません。教室という小さな現場で教師自身が変わり、子どもたちの表情が変わり、そこから静かに社会が変わっていくのです。SALASUSUは東京大学の荻巣崇世准教授をはじめとする研究者と協働しながら、この「小さな変化」を積み重ねてきました。

企業や教育関係者に向けて、SALASUSUは学び合いの場を提供し、共に社会を変える旅を始めることを呼びかけています。日本とカンボジアの教室を越え、教員たちが共に夢を追いかけることを目指しています。

終わりに

教室での小さな変化が、やがて社会を変えていくことを信じています。SALASUSUは、「Enjoy your life journey - 誰もが人生の旅を楽しめる社会へ」というビジョンのもと、質の高い学びを公教育を通じて全ての子どもに届けることを目指しています。カンボジアから始まったこの夢が世界中に広がり、教育がもっと温かく、人に寄り添うものになる未来を目指して、私たちは本気で取り組んでいます。

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