ZOZO、第2四半期好決算と株式分割、AI戦略で新たな成長局面へ

ファッションEC大手・ZOZOの最新動向

ZOZO株式会社(東証プライム:3092)は、2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~9月30日)で、業績の拡大と共に株主への魅力を一段と高める動きをみせています。売上高の拡大、株式分割の実施、そしてAI活用の本格化が注目され、個人投資家のみならず機関投資家の間でも話題となっています。現時点の公式発表や決算資料をもとに、ZOZOの現状と今後について詳しく解説します。

第2四半期決算のポイント

  • 売上高:2026年3月期第2四半期の連結売上高は1,052億4,900万円(前年同期比6.5%増)と、着実に成長軌道を維持しています。
    (出典:Yahooニュース掲載決算記事
  • 営業利益:営業利益は310億7,400万円。
    (参照:)
  • 経常利益:上期経常利益は1%増益で着地、7-9月期単体では3%減益も、通期では堅調に推移。
  • 純利益:当期純利益は47,800百万円を見込み。
    (参照:)
  • ZOZOTOWNのショップ数:ショップ数は1,658(2025年9月末時点)へ増加。
  • USED販売:二次流通の取り扱い高も前年同期比7.0%増。

これらの数字からも、ZOZOは国内ファッションEC分野でのリーディングポジションを維持・強化している様子がうかがえます。

株式分割の実施とその背景

2025年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しました。

  • 目的:投資単位当たりの金額を引き下げ、より幅広い投資家層の市場参加を促す。
  • 総還元方針:株主還元を重視し、自己株式取得および消却を並行して実施。
  • 配当予想:2026年3月期の一株当たり配当予想は53.66円(株式分割後ベース)。

この分割により、過去最低水準だった最低購入単位(約13万円台)も大幅に下がり、個人投資家がより参入しやすい株価水準となっています。

AI・デジタル活用の深化

2025年第2四半期からはAI導入への積極的な姿勢も独自性を強調しています。

  • 社内DX:ChatGPT Enterpriseを全社員に導入。役員・社員は「カスタムGPT」開発を研修で競い合うなど、AI活用の底上げを図っています。
  • 業務効率化・企画力向上:EC運営だけでなく、商品企画や顧客最適化にもAI活用を推進。
  • パートナー企業との連携:「FAANS」との協業など、他社ECへのAI協力も拡大中。

デジタル技術と人材育成を融合させることで、ファッションECの新たな基準作りを目指す姿勢が好感されています。

事業拡大とグローバル戦略

2024年には英国ファッション通販サービス「LYST」買収を完了し、グローバル展開を加速させています。今後はZOZOTOWNを基軸としつつ、LYST連結によるブランド力強化、国内外展開の拡大を狙います。

  • グローバル事業の強化:「LYST」のネットワーク活用により、ヨーロッパ・米国ブランドとの提携加速。
  • 国内外ブランド誘致:日本発ファッションの海外進出や、海外ブランドの日本市場開拓を拡大。
  • 収益モデルの多様化:受託販売、USED事業、マーケティング支援サービスの多角化。

株価動向と市場評価

  • 株価レンジ:2025年11月時点で1,330円台で推移。
  • テクニカル面:5日・25日(移動平均)では短期的な上値追いの動きを見せる反面、LYSTの連結に伴う利益構造変化で一時的なボラティリティも見られます。
  • 長期見通し:AI・グローバル展開による成長力に対し、投資家は慎重ながら期待を寄せる局面。

収益構造の変化、のれん償却といった課題への対応、今後の連結効果の見極めなども投資判断のポイントです。

財務状況と株主還元

  • 自己資本比率:2025年9月末時点で55.1%
  • 手元資金:現金および現金同等物は53,938百万円。
  • 総還元性向:2024年3月期以降、5年平均で80%超を目指す方針を掲げ、株主還元を最大化しています。

自己株式取得・消却を行い、さらなる資本効率の向上にも力を入れています。

ファッション×エンタメ拡大、記念イベントも開催

ZOZOは2025年10月、「ZOZOFES」をKアリーナ横浜で開催し、20周年記念としてファッションと音楽を融合した大規模イベントを展開しました。これら独自プロモーションも企業ブランディングおよびビジネス接点拡大に寄与しています。

投資家・ユーザーへのメッセージ

ZOZOは、「顧客体験の革新」「テクノロジードリブンな事業運営」「グローバル化」を三本柱とし、今後も継続成長の方針を打ち出しています。

  • 株式分割と積極的な還元姿勢により、投資対象としての魅力が高まっている。
  • AI導入・社内DXの推進により、中長期的な競争力向上を目指している。
  • グローバル展開の加速や国内外ブランド強化など、多角的な成長が期待される。

ただし、収益構造変化にともなう短期的な業績変動や、グローバル化に伴う新たな課題(為替・のれん等)にも注目が必要です。

まとめ

ZOZOは、第2四半期の堅実な増収増益を土台に、株式分割・AI本格導入・グローバル提携を推進し、「ファッション×テクノロジー」分野で新たな価値創造に挑戦しています。株主重視の姿勢や経営の開かれた透明性なども、多様な投資家の目線に応えるものとなっています。今後の取り組みを引き続き注視したいと思います。

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