円急騰で日米連携が浮上 155円台でレートチェック実施か

1月23日のニューヨーク外国為替市場で、円相場が急速に上昇し1ドル=155円台をつける展開となりました。この円高・ドル安の急速な進行は、日本とアメリカの通貨当局が連携して過度な円安を是正しようとしているとの見方を市場に広げています。

「レートチェック」が示す日米の協力姿勢

アメリカのメディアは、アメリカ財務省の要請でニューヨーク連銀が「レートチェック」を実施したと報じました。レートチェックとは、為替介入の準備段階として金融機関に為替相場水準について問い合わせを行う手続きです。このような動きは、市場関係者の間で過度な円安を是正するために日米当局が連携に動き出したとの観測を生み出し、円の買い戻しに弾みがついています。

アメリカ通貨当局によるレートチェックが明らかになるのは近年はまれとされており、今回の措置は市場に対して強いメッセージを発しています。市場では「日米が足並みをそろえて円安を止めようとしている」というメッセージが発せられたとの受け止めが広がっています。

東京市場での10分間の2円急騰

これに先立つ23日の東京市場でも、夕方の約10分間に2円程度円が急騰する場面がありました。市場関係者の間では、この動きを日銀が為替介入をめぐる「レートチェック」を行う中での動きだったのではとの見方が浮上しています。海外勢が大きな円買いを行ったという可能性もありますが、介入の前段階としての日銀の動きと関連している可能性が指摘されています。

日米の金利上昇が背景に

ベッセント米財務長官は、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会で、日本の10年債利回りが直近の2日間で大幅な上昇を記録したことに言及しました。同氏は「アメリカ長期金利に換算して0.5%分に相当する」と説明し、「日本からの波及効果を分離して考えることは非常に難しい」との見方を示しています。

日本の金利上昇はアメリカの長期金利にも影響を与えており、アメリカ側には円安是正への協力で長期金利上昇を抑える思惑があるとの指摘もあります。このように、為替と金利の両面で日米が調整を図っている状況が浮かび上がっています。

日銀の慎重な対応

日銀は23日までに開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度に据え置くことを決めました。2025年12月に利上げしたばかりで、当面は影響を見極めることにしています。植田総裁は会見で、このところの長期金利の上昇について「かなり速いスピードだ」との認識を示し、「例外的な状況では、機動的にオペ(公開市場操作)を実施することもありうる」と述べています。

一方、次の利上げをめぐっては「4月は価格改定の頻度が高く、利上げ判断の一つの材料だ」としつつも、「今は、賃金や物価の上昇がどの程度のペースで続くかを多様な指標から判断していくべき時期だとみている」と慎重な姿勢を示しています。

市場の急激な反応

円相場は植田総裁の記者会見が始まった午後3時半には1ドル=158円60銭前後でしたが、約1時間後の終了時には159円台前半まで値下がりしました。これは植田総裁が追加利上げに積極的な姿勢を示さず、日米の金利差が縮小しないとの見方から、円売りが広がったためと考えられます。

しかし、その後アメリカ当局によるレートチェック実施が伝わるなか、急伸し2円以上の円高・ドル安が進みました。このように市場は日米当局の動向に敏感に反応しています。

財政懸念と円安の悪循環

日本の財政悪化懸念は円安傾向を強める材料になっています。円安の進行はインフレ圧力となるほか、日銀の金融政策が後手に回るビハインド・ザ・カーブへの警戒感も広がっています。この先、円のさらなる下落が日本の金利の一段の上昇につながり、アメリカ市場に波及する可能性も指摘されています。

今後の見通し

片山財務相はこれまで、介入についてベッセント米財務長官と認識を共有していると明かし、過度な円安の進行には「あらゆる手段を含めて断固たる措置をとる」と繰り返しています。

トランプ大統領はグリーンランドをめぐり、ヨーロッパ8カ国に関税を課すと発表してトリプル安を呼んだものの、方針は撤回されました。来週27日~28日のアメリカFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利の据え置きを市場がほぼ見込んでおり、円ドル相場についてのアメリカ側の材料は一巡した格好となっています。

市場では、介入の可能性をにらみながら円相場の荒い値動きが続くことになるとの見方が出ています。ただし、消費減税というテーマがあるうちは円売り圧力は衰えないとの見方も根強くあります。

今回の日米当局による連携の動きは、単なる一時的な対応ではなく、両国が長期的に過度な円安を是正する必要性を認識していることを示しています。市場は今後も日米当局の発言や行動を注視することになるでしょう。

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