ビットコイン暴落:年初来上げ帳消し、10万ドル割れで市場騒然

2025年11月17日現在、ビットコインはその急落が大きなニュースとなっています。一時は10万ドルの大台を割り込む場面もあり、今年に入っての上昇分をすべて失ってしまいました。史上最高値を更新した直後のわずか1カ月で、投資家心理は大きく冷え込んでいます。

最高値からの急転:わずか1カ月のドラマ

ビットコインは2025年10月6日に史上最高値12万6,251ドルを記録し、インフレヘッジやトランプ米大統領選挙勝利などに伴う政策期待で順調な値上がりをみせていました。しかし、10月10日以降は世界的な市場混乱、米中関係の悪化、さらに米連邦準備制度理事会(FRB)幹部によるタカ派発言など、様々なリスク材料が重なります。

11月中旬に入ってからは相場の動揺が本格化し、ビットコインは一時9万2,000ドル台まで下落。昨年末の終値(9万3,381ドル)も下回り、今年の上昇分が実質的に「帳消し」となりました。その後9万5,000ドル付近を推移していますが、安値圏での揉み合いが続き、投資家の不安感が払拭されていません。

FRBの厳しい警告で「最悪の結果」に―10万ドル割れが転機に

今回のビットコイン暴落を加速させた要因として、FRB(米連邦準備制度理事会)の姿勢転換が挙げられます。これまで期待されていた「年内利下げ」の観測が後退し、FRB高官から相次ぐタカ派の警告が市場に波紋を呼びました。本来リスク資産であるビットコインは、こうした金融引き締め姿勢への警戒感から、「安全資産への逃避」に押される形となり、一気に売り圧力が強まりました。

週明けの市場では、一時9万5,000ドル割れとなり、10万ドルの大台割れが「最悪の結果」を示唆する混乱の引き金となりました。

仮想通貨全体にも波及―高リスク銘柄に売り圧力、「新型コロナ禍」以来の安値水準

このビットコイン下落は、仮想通貨市場全体にも大きな影響を及ぼしています。主要な暗号資産であるイーサリアム(ETH)やエックスアールピー(XRP)も軒並み値下がりし、過去24時間ではそれぞれ約2%前後下落、売買代金の急増が確認されています。

  • イーサリアム(ETH):478,457円(約47万円台後半)、24時間で-2.33%
  • XRP(リップル):342.454円(約340円台前半)、24時間で-1.08%
  • ソラナ(SOL):21,198.2円、24時間で-1.78%

高リスク資産への売りが強まる局面で、個人投資家の損失拡大やデリバティブ市場でのロングポジション清算(巻き戻し)も進みました。「新型コロナ禍」以来の安値圏との見方もあり、極度の不安・恐怖感が市場全体を覆っています。

テクニカル分析:デッドクロス危機と長期トレンドの変調

ビットコインチャートでは、50日移動平均線と200日移動平均線のクロスオーバー(デッドクロス)が目前となっており、この現象は中・長期トレンドの弱体化を示す弱気シグナルとして投資家心理に影響しています。10月の高値から約25%下落という急速な修正も、相場の底堅さに試練を与えています。

ただし過去4回のデッドクロスはいずれも「局所的な底値」とも重なってきたため、一部投資家には今後のリバウンド期待も残されていますが、次のFRB発言や米景気指標の発表までは楽観視できない状況です。

ビットコインの現在価格・時価総額と売買動向

2025年11月17日正午時点、日本国内の取引所では1BTC=14,580,000円台~14,770,000円台で推移しています(前日比1~1.5%安)。24時間あたりのビットコイン売買代金は約97,021億円に達し、主要アルトコインもイーサリアム約4.4兆円、ソラナ約6,830億円と非常に高い流動性を示しています。

  • 世界の仮想通貨市場の時価総額は500.98兆円
  • 24時間売買代金は15.95兆円

急落の背景にある複合要因

  • 米金融政策の不透明感:FRBの利下げ期待が後退。タカ派発言が相次ぎ、リスク資産の圧力が加速
  • 金融システム不信・世界的混乱:米国政府機関の封鎖や米中摩擦による、市場全体のリスク回避姿勢
  • テクニカル要因:10月の高値から25%近い急落、デッドクロス発生間近など弱気シグナル多数
  • アルトコイン・高リスク銘柄の売り連鎖:1カ月で強烈な調整局面に転換、高リスク投資への警戒が拡大

今後の焦点と市場参加者への影響

今後は12月FOMCでの金利政策、新たな米経済指標、そしてFRB幹部発言がカギを握る展開となりそうです。昨年までは、トランプ政権による暗号資産業界へのポジティブなスタンスが追い風となっていましたが、金融政策の先行き不透明感や米国の政局・経済指標に敏感に反応しやすくなっています。

短期的な反発局面も見込まれるものの、「底打ち感」が出るまでにはなお時間がかかる可能性があります。テクニカル面では、99,500~102,500ドルあたりが意識されるレジスタンス(水準的な戻りの壁)となっており、ここを大きく上抜けるまでは再度売り圧力が強まりやすいと見られます。

注意喚起:個人投資家へのアドバイス

  • 損切りラインの厳格化:大きなボラティリティ(価格変動)に注意し、明確な損切り判断を持ちましょう
  • レバレッジ取引のリスク管理:ポジションサイズには冷静な判断と余裕を持ち、資産保全を優先
  • 情報の最新化:今後のFRB動向や米経済指標の発表にしっかり注目しましょう

まとめ―激動相場、これからの展望は

今回のビットコイン急落は、金融政策の転換がグローバル金融・暗号資産市場にどれほど大きなインパクトを与えるかを改めて浮き彫りにしました。各種仮想通貨の価格変動は今後も続く可能性が高く、投資家は市場動向とリスク管理へ一段と高い注意が求められます。

最新情報を常に追いながら、冷静な判断とリスク管理を行いましょう。ビットコインが再び上昇基調に戻るのか、それともさらなる調整局面が続くのか─。まずは今後のFRB、米国経済指標といった「外部環境」に注目が集まっています。

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