安川電機、3〜11月期決算で最終利益44%減 ロボット事業に逆風も通期見通しは据え置き

産業用ロボットやインバータなどで知られる安川電機が、2026年2月期第3四半期(3〜11月期)の決算を発表しました。今回の決算では、最終利益が前年同期比で約44%の減益となり、市場でも注目を集めています。特に、直近3カ月(9〜11月期)の落ち込みが大きく、事業環境の厳しさが改めて浮き彫りになりました。

ここでは、この決算のポイントをわかりやすく整理しながら、「なぜ減益になったのか」「どのような点に注意して見ればよいのか」をやさしい言葉で解説していきます。

3〜11月期(第3四半期累計)の業績概要

まずは、3〜11月期(第3四半期累計)の主な数字を確認しておきましょう。

  • 期間:2025年3月〜11月
  • 会計基準:国際会計基準(IFRS)
  • 連結最終利益:255億円(前年同期比43.8%減
  • 税引前利益:350億58百万円(前年同期から大きく減少)
  • 連結営業利益:331億円、前年同期比では3.3%減(営業面の落ち込みは比較的軽微)

最終利益が大きく減っている一方で、営業利益の減少幅は比較的小さいのが特徴です。営業活動そのものの採算はなんとか維持しているものの、営業外の要因や一時的な影響などにより、最終的な利益が大きく目減りしている構図がうかがえます。

また、会社側が通期で見込んでいる最終利益370億円に対して、3〜11月期までの進捗は69.0%と、過去5年平均の75.0%を下回っています。 例年と比べると、ややスローペースな推移であることが数字から読み取れます。

9〜11月期(第3四半期単独)の大幅減益

今回の決算で特に目を引くのが、直近3カ月にあたる9〜11月期(第3四半期単独)の業績です。

  • 9〜11月期 連結最終利益:72.9億円(前年同期比73.6%減
  • 売上高営業利益率:7.3%(前年同期は8.6%)

わずか3カ月間で、最終利益が前年の4分の1程度まで落ち込んでおり、かなり急激な減益となっています。 また、売上高に対する営業利益の割合(売上営業利益率)も悪化しており、収益性の面でも逆風が強まっている状況です。

このように、通期ではまだ利益を確保しているものの、足元の四半期ベースでは利益水準の急激な低下が進んでいる点は、今後の業績を見通すうえで重要なポイントといえます。

営業利益は3.3%減にとどまるも、最終利益は44%減

ニュース見出しで「44%減益」という言葉が目立つ一方で、「営業利益は3.3%減」と大きさの違う数字が並んでいるため、「どちらが本当なの?」と戸惑う方もいるかもしれません。

ここで、簡単に整理しておきましょう。

  • 営業利益:本業のもうけ。製品やサービスを売って得た利益から、販売費や一般管理費を差し引いたもの。
  • 最終利益(当期純利益):営業利益に、為替差損益や利息、税金など、さまざまな要素を加減した「最終的に会社に残る利益」。

今回、安川電機の3〜11月期では、

  • 営業利益:331億円(前年同期比3.3%減)
  • 最終利益:255億円(前年同期比43.8%減)

と、営業段階では小幅な減益で踏みとどまっているものの、最終的な利益は大きく落ち込んでいます。 これは、本業以外の部分でマイナス要因が響いた可能性が高いことを示しています。

減益の背景:関税の影響やロボット需要の軟調さ

報道では、今回の減益要因として、特に次のような点が指摘されています。

  • 関税の影響
  • ロボット事業の軟調(需要減速)

安川電機は、産業用ロボットやモーション制御機器などをグローバルに展開しており、海外売上比率も高い企業です。そのため、各国の関税政策の変化や、通商摩擦、物流コストの増加などが収益に影響しやすいビジネスモデルになっています。

また、世界的に製造業の投資サイクルが一服しているタイミングにあり、特にロボット関連の設備投資が慎重になっているとみられています。ニュースでも「関税の影響でロボ軟調」といった表現で、ロボット事業の伸び悩みが減益要因の一つとして説明されており、ロボット需要の一時的なブレーキが同社の収益を圧迫している格好です。

こうした要因は、短期的には業績の重しになりますが、一方で、中長期的には自動化・省人化ニーズが世界的に根強いこともあり、「一時的な谷」とみる向きもあります。ただし、本記事ではあくまで足元の決算内容に焦点を当て、将来予測については踏み込まないこととします。

通期予想は据え置き 最終利益35%減を見込む

今回の決算と同時に、安川電機は2026年2月期通期の業績予想を改めて公表しました。通期見通し自体に大きな変更はなく、会社側は前回予想を据え置きとしています。

  • 通期税引前利益予想:505億円(前期比35.6%減)
  • 通期最終利益予想:370億円(前期比35.1%減)

すでに3〜11月期の時点で最終利益255億円を計上しており、通期予想370億円との間には115億円程度の余地があります。 株式情報サイトなどの試算によると、12〜2月期(第4四半期)の連結最終利益は前年同期比0.4%減の114億円とほぼ横ばいの水準になるとの見方も示されています。

これは、足元の業績悪化を織り込みつつも、「現時点では通期計画は達成可能」と会社側が判断していることを意味します。ただし、進捗率が過去平均より低めであることや、9〜11月期の落ち込みの大きさを考えると、最終四半期の巻き返しがどこまで進むかが注目されます。

投資家・個人にとっての注目ポイント

今回の安川電機の決算は、「減益」というネガティブな見出しが目立つ内容でしたが、その中にも押さえておきたいポイントがいくつかあります。

  • 1.営業利益は小幅減にとどまる
    営業利益は3.3%減と比較的軽微で、営業活動そのものの採算悪化は限定的です。 一方で、最終利益の大幅減は、為替や関税、その他一時的な要因が重なった結果と見ることができます。
  • 2.9〜11月期の急減益は要注意
    四半期単位では73.6%減と極めて大きな落ち込みとなっており、短期的な業績モメンタムは明らかに鈍っています。 今後の決算でも、四半期ごとの利益推移を丁寧にチェックする必要があります。
  • 3.通期予想は維持、ただし減益見通し
    通期では最終利益35%減を見込むなど、前期比では大きな減益の計画です。 それでも予想を据え置いている点からは、同社が「今期の見通しは大きく崩れていない」と見ていることも読み取れます。
  • 4.ロボット需要と関税動向がカギ
    今後の回復を考えるうえでは、世界の製造業投資サイクル、半導体やEV関連設備投資の動き、各国の関税政策の変化などが重要な外部要因となります。ロボットをはじめとした自動化設備への投資が再び活発化すれば、安川電機にとって追い風となります。

安川電機の位置づけと今後の視点

安川電機は、日本を代表するモーションコントロールと産業用ロボットのメーカーであり、「インバータ」「サーボモータ」「ロボット」などの分野で世界的なシェアを持つ企業です。製造現場の自動化、省人化、効率化を支える存在として、グローバルな生産ネットワークの中核を担っています。

こうした企業にとって、

  • 世界経済の動き
  • 製造業の設備投資意欲
  • 為替レートの変動
  • 通商・関税政策

といった外部環境の変化は避けて通れません。今回の決算では、特に関税やロボット需要の一服感が収益の重しとなり、最終利益の大幅減という形で表れたと言えます。

一方で、デジタル化や自動化への需要そのものは、中長期的には世界的な潮流として続くと考えられています。その意味で、足元の減益は「サイクルの谷」の局面とも受け止められており、今後の決算で需要がどのように戻ってくるかが焦点となります。

個人として情報を追う際には、難しい専門用語をすべて理解しようとする必要はありません。今回のように、

  • 最終利益と営業利益の違い
  • 売上高営業利益率の推移
  • 通期予想が修正されたかどうか

といった基本的なポイントを押さえるだけでも、ニュースの内容がぐっとわかりやすくなります。

まとめ:減益決算の中で見える「足元の逆風」と「通期維持」のバランス

安川電機の2026年2月期第3四半期(3〜11月期)決算は、

  • 最終利益が前年同期比約44%減
  • 9〜11月期は最終利益が約74%減と急激に悪化
  • 営業利益は3.3%減と小幅な落ち込みにとどまる
  • 通期予想は据え置きだが、前年からは35%前後の減益計画

という内容でした。

ロボット需要の一服や関税の影響など、外部環境の厳しさを受けての減益決算ではありますが、その一方で通期計画は維持されており、「なんとか今期の見通しは守りたい」という会社側の構えも感じられます。

今後も四半期ごとの決算発表では、ロボット事業の回復具合や、営業利益率の改善、そして通期見通しの修正有無などが、大きな注目ポイントとなっていくでしょう。

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