三重県のハウスメーカー「やまぜんホームズ」が自己破産へ
2025年8月6日、三重県桑名市に本社を置くハウスメーカーの株式会社やまぜんホームズが、負債総額約21億6,000万円をかかえて自己破産申請に向けた手続きを弁護士に一任したことが明らかになりました。2025年7月に事業を停止し、8月4日付で破産申請の準備に入りました。
会社概要と経緯
- 会社名:株式会社やまぜんホームズ
- 所在地:三重県桑名市多度町下野代900
- 代表者:前野千代子氏ほか1名
- 資本金:5,750万円
- 従業員数:72名
やまぜんホームズは東海エリアを中心に、注文住宅や分譲住宅の施工・販売、不動産取引を主に手がけてきたハウスメーカーです。最盛期には年間売上高約67億円を計上し、東京のPRO Marketにも上場していました。しかし、2024年には資材価格の高騰や会計処理上の問題から業績が悪化し、上場廃止となりました。
業績悪化の背景
建築資材の高騰は業界全体にも影響を与えましたが、同社の場合は特に深刻だったとされています。また、会計処理に関する問題もあって財務状況の透明性が損なわれ、取引先や金融機関からの信頼を失う結果となりました。加えて、同社は介護事業も展開していましたが、そちらの事業を売却した後も業績の立て直しには至らず経営が低迷しました。
2025年に入ってからは資金繰りがさらに悪化し、結果として7月に事業を停止。多数の拠点や事務所を閉鎖し、実質的に業務を停止した状態での自己破産に至りました。
破産手続きの状況と今後の動き
破産申請の処理は弁護士法人すばるの大島真人弁護士らに一任されています。代表電話番号は052-220-2225です。今後は裁判所による破産手続きが進められ、負債の整理が行われる見込みです。
同社の破産により、従業員72名の雇用や、建設中の住宅、契約済みの注文住宅への影響に関心が集まっています。今後、施主や取引先企業に対する補償や対応も課題となりそうです。
地域と業界への影響
やまぜんホームズは三重県はじめ東海地方で根付いた地域企業でした。注文住宅の施工や分譲住宅販売を長年展開していたことから、地元の住宅市場や建築業界に一定の影響が予想されます。特に建材や関連業者にとっては取引先喪失の痛手は小さくありません。
また、同業他社にとっても資材高騰や資金繰りの厳しさが改めて浮き彫りになる形となりました。業界は今後の建築資材価格動向や金融支援のあり方に注視を強めています。
まとめ
やまぜんホームズの自己破産は、地域に深く根ざしたハウスメーカーが経済環境の変化や社内の財務問題に対応できずに経営破綻に至った事例です。資材高騰や会計問題が重なり、2024年の上場廃止、2025年の事業停止を経て検討されていた再建も叶わず、21億円を超える負債を抱えての破産申請となりました。
今後は裁判所の管理下で負債処理や契約関係の整理が進められますが、地域の住宅市場や関係先への影響は避けられない状況です。本件は日本の住宅業界が直面する構造的な課題を象徴する事件として注目されています。