米国初のXRP現物ETF上場が仮想通貨市場に旋風を巻き起こす

歴史的なデビューを飾ったCanary XRP ETF

2025年11月13日、米国の仮想通貨市場に大きな変化がもたらされました。カナリー・キャピタルが提供するXRPの現物ETF「XRPC」がナスダックに上場したのです。このETFは、米国初となる純粋にXRP現物に連動する上場投資信託として、市場関係者から大きな注目を集めています。

上場初日の取引高は約5,800万ドル(日本円で約90億円)に達し、2025年に新たに立ち上げられた約900本のETFの中で最も大きな出来高を記録しました。このような華々しいデビューは、先月上場したビットワイズ・ソラナ・ステーキングETFの5,700万ドルさえも上回っており、投資家の暗号資産市場への関心がいかに高いかを如実に示しています。

注目すべき点として、上場初日こそ純流入が確認されなかったものの、翌14日には約2億5,000万ドルという大規模な純流入を記録しました。この数字は、他の仮想通貨ETFの最近の流入額を大きく上回っており、市場関係者から特に注目を集めています。

XRPCの特徴と投資スタイル

Canary XRP ETFの重要な特徴として、1940年投資会社法の登録義務を免除されているため、通常の証券口座で取引が可能という点が挙げられます。これにより、従来の暗号資産取引所を利用していなかった投資家層もアクセスしやすくなりました。

カナリー・キャピタルが強調しているのは、XRPの投機的側面ではなく、国際決済インフラとしての実用性です。このアプローチは、暗号資産市場における成熟した投資姿勢を反映しており、機関投資家からの信頼獲得につながっていると考えられます。

市場全体の動きと価格変動

XRP現物ETFの上場による市場への影響は顕著です。XRP価格は一時、24時間で3.3%上昇し、2.41ドルに到達しました。しかし興味深いことに、2025年11月第2週の暗号資産市場全体を見ると、過去7日間で9.75%の下落が記録されています。

この現象は、XRPの買い手が活発である一方で、市場全体では調整局面にあることを示唆しています。同じ週にイーサリアムは1.4%、ソラナは1.3%それぞれ下落しており、XRPの上昇がポートフォリオの再配分に伴う他資産の売却につながった可能性も考えられます。

規制環境の整備がもたらしたもの

XRP現物ETFの上場が実現した背景には、米国証券取引委員会(SEC)による規制環境の整備があります。2025年9月17日、SECはナスダック、Cboe BZX、NYSEArcaの3証券取引所が申請していた、コモディティを裏付けとする信託受益権証券について、一般的な上場基準を設ける規則改正を承認しました。

この規則改正により、これまでXRP現物ETFの上場が実現していなかった米国市場においても、暗号資産の現物をベースとするETFの組成が可能となりました。同様に、ソラナやライトコイン、ヘデラといった従来現物ETFが存在しなかった暗号資産についても、2025年10月28日から29日にかけて4銘柄の新規上場が実現しています。

既存のXRP関連ETFとの位置付け

市場ではすでにレックス・シェアーズが提供する「REX-Osprey XRP ETF(ティッカー:XRPR)」が取引されています。このETFは2025年9月18日にCboe BZX取引所に上場されており、XRP現物やXRP現物の価格と連動するデリバティブ等の資産に純資産の80%以上を投資するものです。

Canary XRP ETFはこれらの既存商品とは異なり、より高い流動性と取引利便性を備えたナスダックでの取引が可能という利点があります。これにより、より多くの投資家がXRP関連への投資機会を得ることができるようになりました。

仮想通貨市場全体への波及効果

XRP現物ETFの成功は、暗号資産市場全体に大きな示唆を与えています。日本円ステーブルコインJPYCの累計発行額が2億円を突破するなど、暗号資産のユースケースが多様化する中、機関投資家層も参入しやすい環境が整備されつつあります。

11月第2週の仮想通貨ニュースを見ると、XRP現物ETFの上場のほか、複数の関連ニュースが報道されました。市場参加者の間では、暗号資産市場の制度化と成熟化が進行しているという認識が広がっています。

投資家にとっての意味

従来、暗号資産への投資は、専門的な知識を持つ投資家に限定されていました。しかし、現物ETFの登場により、一般的な証券口座を持つ投資家でも暗号資産市場へのアクセスが容易になりました。これは市場の民主化という観点からも重要な変化です。

ただし、市場全体が調整局面にある中での上場であるという点も見逃せません。短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、XRPの国際決済インフラとしての長期的な価値を見極めることが重要です。

今後の展開への期待

Canary XRP ETFが予定通り上場・承認された場合、XRP市場にとって新たな節目となることが期待されています。現物ETFとしての透明性と価格連動性をどこまで実現できるかが、今後の評価の焦点となるでしょう。

2025年11月の暮れに向けて、XRP現物ETFの動向と市場全体の調整がどのように進行するかは、引き続き注視する価値があります。暗号資産市場の制度化が進む中、新たな投資機会と責任ある投資行動のバランスを取ることが、すべての市場参加者に求められています。

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