Windows 11「KB5063878」更新プログラムでSSD故障など不具合多発―2025年8月最新情報と今後の対応
はじめに
2025年8月、Microsoftの最新セキュリティ更新プログラム「KB5063878」がWindows 11 バージョン24H2向けに配信されました。普段ならセキュリティ強化や既知の不具合修正が中心となり、ほぼ必須更新と考えられるこの累積アップデートですが、今回の配布直後からSSDやHDDが認識されなくなる、データ破損や故障が発生するといった深刻な問題が国内外ユーザーから多数報告されています。さらに、この障害は一部のストレージメーカー製品に限らず、多様な環境で再現されており、単なる個別事例を超えた広範な影響が出ています。
最新パッチで報告が相次ぐ不具合
2025年8月25日現在、KB5063878を適用したWindows 11 24H2環境で主に以下の不具合が報告されています。
- SSDおよびHDDが突然認識されなくなる(特にWD製SN770シリーズ等)
- 大量ファイルの書き込み・転送時に発症(数十GB単位の作業、ドライブ使用率60%以上で再現性↑)
- ストレージのファイルシステム破損・データ消失
- 映像配信ソフト(OBS・NDI)利用時の遅延や音声異常
- 「CertificateServicesClient」イベントログにエラー記録
- 企業向けWSUSアップデート時にエラー(コード:0x80240069)で更新失敗
このうち、最も社会的インパクトが大きいのはストレージ障害です。システムストレージやデータドライブが突然故障もしくは認識不能となり、大切なファイルが消失する恐れがあります。
影響を受けているメーカー・製品
ユーザーから報告されている主な影響製品は以下のとおりです。
- Western Digital(WD)SN770シリーズ SSD
- その他、Phison社製コントローラ搭載モデルを中心に幅広いSSD・HDD
- 一部の自作PC・ショップブランドPC
ただし、これら以外でも複数メーカー・コントローラにまたがって不具合が再現しており、特定機種だけの問題ではありません。
主な技術的原因と推定されるメカニズム
現時点でMicrosoftから公式の技術解析や修正方針は出ていませんが、有志による検証やPhison社の見解によれば、
- Windows 11のファイルシステムバッファもしくはディスクキャッシュ処理に設計上の瑕疵がある可能性
- OSがファイル書き込み時に一旦キャッシュ領域へ保存→大量データ処理時にメモリリークが発生し、バッファが溢れる
- メモリリークによりストレージ認識不能やデータ破損が引き起こされる
特に、今回の障害は「大容量ファイルの転送・展開」「高負荷状態のドライブ使用」で発症しやすいことが特徴です。
企業向け環境・WSUSでの問題
ビジネス利用が中心のWSUS(Windows Server Update Services)経由でKB5063878をインストールしようとした場合、エラーコード「0x80240069」で更新適用が失敗する現象が確認されました。Microsoftは「KIR(Known Issue Rollback)」と呼ばれるロールバック措置を一時的に実施、さらに8月14日にWSUSそのもののアップデートで対処済みと発表しています。現在はWSUS再同期後の最新パッチ適用で問題解消されています。
なお、一般家庭や個人PCユーザーがWSUS関連のトラブルに遭遇する可能性は極めて低いようです。
類似の不具合の過去事例
今回のSSD/HDD障害は、2022年・2024年にもWD製SSDで「キャッシュ領域のメモリリーク」に起因する認識不能問題が報告されていました。Microsoftは当時一定の再発防止策を実施したものの、根本的な設計課題が解消されず、KB5063878で再燃した形です。
配信された他の関連パッチ
同時期にKB5064080やKB5063842など、8月プレビューパッチも配布されています。これらに関しても一部環境で互換性トラブルが報告されており、エンタープライズ用途では慎重な検証が推奨されています。
MicrosoftやPCメーカーの公式対応
- Microsoftは公式サポートページで障害発生環境・影響内容を公開
- メーカー(例:Western Digital)は障害報告を受け、ファームウェアアップデートや修理対応の用意を進めている
- コミュニティでは、ドライブのバックアップとリスク回避策を積極的に呼びかけ
ただし、現時点で根本的な修正プログラムはまだ公開されておらず、今後数週間は状況の推移を注視する必要があります。
ユーザー自身ができる主な対処方法
- 大切なデータのバックアップは必須
- KB5063878の未適用またはアンインストール推奨(自動更新を一時停止)
- 大量ファイルの転送・展開作業を控える
- WD/Phison社製SSD利用者はメーカーサポート情報を定期確認
- 最新のWindowsアップデートや公式アナウンスに注目し、根本修正がリリースされ次第速やかに適用
IT業界・ユーザーコミュニティの反応
- PC愛好者・クリエイター・配信業界で「データ消失の恐怖」と警戒が広がる
- 国内外のITメディアで速報・対応記事が多数掲載
- ユーザー間で代替策や暫定回避手順の情報交換が活発化
これまでのところ、「一般ユーザーや家庭向けPC」よりも「自作・ショップブランドPC」「大量データを扱う業務用途」「映像配信・制作現場」に深刻な影響が集中している印象です。「Windows 11 24H2」新規導入・更新検討中の方は、情報収集と慎重な運用を強くおすすめします。
今後の展開と注意点
- Microsoftの技術解析・障害修正パッチの早期公開に期待
- メーカーによるファームウェアアップデートや修理窓口拡充に注目
- 障害が広範囲に及んでいることから、万が一ストレージ故障が発生した場合には、PCの電源を切り、メーカー・サポートへの問い合わせを優先
なお、今後アップデートの適用前には必ず各社公式ページやコミュニティの最新情報を確認し、安心・安全な運用を心がけましょう。
まとめ
今回のWindows 11 KB5063878問題は、ストレージ認識不能・データ破損といったPC利用者にとって極めて重大な障害です。同問題は一部メーカー製品だけの問題ではなく、幅広い環境で発症していることから、“Windowsアップデート=安全”の常識を覆す事例となりつつあります。自分自身や家族の大切なデータを守るために、冷静な対応と正確な情報収集を心がけてください。今後のMicrosoftからの公式対応や修正の発表も、随時確認しましょう。