低金利時代に転機?イオン銀行の定期預金が注目を集める理由
かつての「超低金利時代」から脱却しつつある日本の金融市場で、銀行の定期預金が再び注目を集めています。特にイオン銀行の定期預金商品は、手軽さと相応の金利水準が評価され、様々な世代の顧客から資金を集めている状況が明らかになりました。
62歳男性が500万円を預ける背景
All About マネーの記事で報道されたケースが象徴的です。資産の10割が現金という62歳の男性が、イオン銀行のスーパー定期(1年もの)に500万円を預けているとのこと。2026年2月時点での金利は0.45%であり、決して高い金利とは言えませんが、それでも現金のままで保有するよりは増やせるという判断が背景にあるようです。
この男性のケースから見えるのは、投資経験が限定的であったり、株式や債券などへの不安を感じたりする層にとって、銀行の定期預金がいかに「安心できる選択肢」として機能しているかという現実です。元本が保証され、あらかじめ利息が確定する定期預金は、年金生活に向けた資産運用を慎重に進めたい層の支持を得ています。
新規口座開設特典で年3.0%の高金利を実現
イオン銀行が現在実施している施策の中で、特に注目度が高いのが新規口座開設特典です。新たに口座を開設したユーザーが1カ月もの定期預金を利用する場合、年3.0%(税引後年2.39%)という好金利が適用されるというもの。この金利は、通常の定期預金金利と比べて大幅に高い水準です。
通常時のイオン銀行の定期預金「スーパー定期」では、1年もの・3年ものが年0.45%、5年ものが年0.70%となっているため、新規口座開設特典の3.0%がいかに優遇されているかが一目瞭然です。この特典を活用するには、口座開設日の翌々月末までにインターネットバンキングへの登録と定期預金の預け入れを完了する必要があり、1万円以上200万円までの範囲で1口1回限りの利用という制限がありますが、それでも利用価値は高いと言えるでしょう。
31歳フリーランス女性の生前贈与活用法
別のケースとして、31歳のフリーランス女性が祖父からの生前贈与300万円を定期預金に預けたというエピソードも報道されています。フリーランスという職業形態では、会社員とは異なり収入の変動が大きい傾向にあります。
このため、祖父からの生前贈与という一時的にまとまった資金を受け取った際に、それを慎重に管理する必要があります。定期預金を選択することで、急な事業運転資金が必要になった場合でもすぐにアクセスできる流動性と、一定期間は確実に増やせる安全性のバランスを取ることができます。また、定期預金の満期日という「目標期限」が生まれることで、その資金を何に使うかを落ち着いて判断する時間も得られます。
40代女性が選ぶ「高金利スイッチ円定期」
投資への心理的ハードルが存在する層でも、少しでも高い利息を得たいというニーズは強いようです。40代の女性が100万円をスイッチ円定期に預けたというケースは、この心理を象徴しています。
「投資は怖いけど利子は欲しい」というこの女性のコメントは、多くの日本人が感じている金融資産運用の葛藤を端的に表しています。スイッチ円定期は、為替変動を活用した商品設計になっており、通常の円定期預金よりも高い金利が期待できる傾向にあります。ただし、為替リスクが存在するため、完全な元本保証ではないという点を理解した上での選択と考えられます。
イオン銀行の定期預金ラインナップ
イオン銀行が提供する定期預金商品の選択肢は多岐にわたります。基本となる「スーパー定期」では、預入期間を1カ月から5年までの幅広い範囲から選択でき、1万円からの少額利用も可能です。2026年2月時点での通常金利は前述の通りですが、季節的なキャンペーンも活用できます。
例えば、冬の定期預金キャンペーンでは、1年もの・3年もの・5年ものの定期預金に対して、店頭表示金利に上乗せ金利が適用されるという優遇措置が取られています。このキャンペーンは2025年12月10日から2026年2月11日までの実施予定でした。
また、毎月コツコツ貯蓄したい層向けには、「積立式定期預金」という選択肢も用意されており、年0.50%(税引後0.398%)の金利が適用されます。
普通預金でもステージ制で金利優遇
イオン銀行では、定期預金だけでなく普通預金についても「イオン銀行Myステージ」というステージ制度を導入しており、利用状況に応じた金利優遇を受けられます。プラチナステージで年0.25%、ゴールドステージで年0.22%、シルバーステージで年0.21%、ブロンズステージで年0.20%という金利設定になっており、ステージなしの場合は年0.2%となっています。
この制度により、普通預金として保有する資金についても、従来の「ほぼゼロ金利」という状況から脱却することが可能になっています。
現在の金融市場環境の変化を反映
これらの事例から見えるのは、日本の金融市場が大きな転換期を迎えているという現実です。数十年続いた超低金利時代では、銀行預金は「資産保管の場所」に過ぎず、「資産を増やす手段」としては機能していませんでした。
しかし、金融政策の転換に伴い、定期預金の金利も徐々に上昇している状況が、冒頭の事例群につながっています。特に、新規口座開設特典による年3.0%という金利は、従来の「銀行定期預金=超低金利商品」というイメージを大きく転換させるインパクトを持っています。
安全性と利便性のバランスを求める層
62歳の男性、31歳のフリーランス女性、40代の女性という異なる年代・職業のユーザーが、それぞれの理由でイオン銀行の定期預金を選択しているという事実は重要です。これは、定期預金というシンプルな金融商品が、多様な顧客ニーズに応える能力を持っていることを示唆しています。
高齢層にとっては元本保証の安心感が、働き盛りの層にとっては資金管理の柔軟性が、そして保守的な投資姿勢を持つ層にとっては利息獲得の確実性が、それぞれ評価されているようです。
今後の展望
イオン銀行を含む各銀行は、今後も定期預金商品の競争力強化に注力していくと考えられます。新規口座開設特典、季節キャンペーン、ステージ制による優遇など、多角的なアプローチで顧客を獲得・維持しようとする取り組みが加速するでしょう。
金融リテラシーが多様な日本の消費者層にとって、銀行定期預金のような「わかりやすく、安全で、適度な利益が期待できる」金融商品の価値が再評価されるのは、自然な流れと言えるかもしれません。


