2025年冬のボーナス、5年連続の増加へ 平均42万円超の見通し

2025年の冬のボーナスシーズンが到来する中、企業の賃金上昇トレンドが続く見通しとなっています。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの予測によると、2025年冬の民間企業のボーナスは前年比2.3%プラスで、5年連続の増加が見込まれています。民間企業全体の1人当たりの支給額は42万2,989円となる予定で、ここ数年続く好調な経済状況が労働者にも恩恵をもたらしている状況が明らかになりました。

東証プライム上場企業175社を対象とした調査では、2025年冬のボーナスの平均支給額は約87.4万円で、前年冬のボーナス(約83.7万円)と比べて4.4%増えており、4年連続でプラスになっています。さらに、従業員500人以上の主要企業に限定した調査では、平均約92.6万円という、より高い水準が報告されています。

業界別で見るボーナス格差 最高で11倍超の開き

ボーナスの支給額は業界によって大きな差があります。2024年年末実績の業種別データから見ると、支給額が最も多い業界は電気・ガス業で94万3,474円、次いで情報通信業が70万7,303円、金融業・保険業が64万1,032円となっています。これらのインフラ関連や高度な技術を要する業界では、ボーナスが100万円近い水準に達することも珍しくありません。

一方、支給額が少ない業界では、飲食サービス業等が8万3,199円、生活関連サービス業が18万4,277円、その他のサービス業が23万6,048円となっており、サービス業全般でのボーナス格差が目立つ特徴があります。最高の電気・ガス業と最低の飲食サービス業の差は約86万円で、11倍以上の開きが存在する状況です。製造業と非製造業を比較すると、製造業は57万2,965円、非製造業は39万5,388円と、製造業の方が高い傾向にあります。

企業規模によるボーナス額の違い 大企業と小企業で2倍超

企業の規模によってもボーナス支給額に大きな差があります。doda調査によると、年間のボーナス平均支給額は企業規模によって以下のように異なります。大企業(1,000人以上)では年間163.6万円、中企業(100~999人)では115.3万円、小企業(10~99人)では71.1万円となっています。冬のボーナスに限定すると、大企業が76.5万円、中企業が55.0万円、小企業が33.3万円という結果です。

大企業と小企業のボーナス格差は、冬のボーナスだけで43万円以上の開きがあり、企業規模による労働条件の違いが明らかになっています。これは基本給の水準差に加えて、ボーナスの支給月数の違いが影響しているものと考えられます。

公務員のボーナスも大幅増加 国家公務員は79万円近くに

民間企業だけでなく、公務員のボーナスも増加傾向を示しています。国家公務員の2025年冬のボーナスは77万9,500円となり、前年比19.4%と大きく上昇する見通しです。これは2022年から続く民間企業の賃金上昇を反映して、公務員の基本給やボーナス支給月数が引き上げられたことによるものです。

管理職を除く一般行政職(平均33.1歳)の2024年実績では平均支給額が72万2,000円で、3年連続の増額となっています。地方公務員のボーナスは年間で約161万4,265円となっており、夏冬の年2回支給の場合、冬の支給が80万円程度となるケースが一般的です。地方公務員のボーナスは国家公務員の動向に準じる傾向にあるため、今年も同様の増加が見込まれています。

山梨県内企業の動向 増額企業は16%にとどまる

興味深いことに、全国的にボーナスが増加している中、地方の状況は異なる一面を見せています。山梨県内企業の2025年冬のボーナスに関する調査では、増額企業の割合が前年比で2ポイント増えて16%にとどまっているという報告があります。これは全国平均の好調さと比較すると、地方経済と大企業・都市部経済の二極化を示唆する結果となっています。

山梨県内でも、ボーナスの使い道についての従業員のコメントには「貯金」「ディズニーに行けたら」といった多様な希望が寄せられており、労働者にとってボーナスが重要な支出機会であることが窺えます。地方企業の経営状況が全国的な回復トレンドに完全には追いついていない状況が、このデータから読み取れます。

年齢別のボーナス傾向 50代がピーク

ボーナスの平均支給額は年齢によっても異なる傾向があります。全国的なデータによると、ボーナスの金額は50代までほぼ年齢に応じて上昇していく傾向が見られます。若年層の20~24歳では約39万6,800円ですが、30~34歳では約83万700円となり、キャリアが進むにつれて支給額が増加していく様子が明らかです。

職種による大きな差 高度な職種は200万円超も

職種別のボーナス平均支給額では、さらに顕著な差が見られます。法務・知的財産・特許分野、MR(医療情報担当者)、経営企画・事業企画といったTOP3の職種は平均支給額が200万円を超えており、一般的なボーナスと比較して3倍以上の水準となっています。このように、専門性の高い職種や経営に関わる職種ほど、ボーナス額が高い傾向が確認されています。

ボーナスから差し引かれる税金と社会保険料

ボーナスを受け取る際には、所得税や社会保険料が差し引かれることを認識することが重要です。例えば、50万円のボーナスを受け取る場合、健康保険料(10%)で約50,000円、厚生年金(9%)で約45,000円が控除されます。つまり、見かけのボーナスから15%以上が社会保険料として控除されるケースが一般的です。

2025年冬のボーナスシーズンの見通し

全体的に見ると、2025年冬のボーナスは民間企業全体で前年比2.3%の増加が予想されており、5年連続の増加トレンドが継続する見通しです。ただし、大企業と中小企業、都市部と地方、業界による格差は依然として大きく、すべての労働者が同等の恩恵を受けているわけではない状況が浮き彫りになっています。

山梨県内のように、増額企業が16%にとどまる地域もある一方で、大企業や高度な専門職では100万円を超える支給額が一般的となるなど、ボーナスシーズンの現実は多面的です。労働者にとっては、ボーナスが「貯金」や「レジャー」といった重要な資金源となる中で、地方経済の回復がさらに進むことへの期待が高まっています。

参考元