米国市場、FOMC控え様子見ムード NYダウ179ドル安で続落

9日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均(NYダウ)が前日比179.03ドル安の47,560.29ドルと続落しました。ハイテク株中心のナスダック総合指数は30.59ポイント高の23,576.49と小幅に反発し、市場はまちまちの展開となりました。この日の動きの背景には、10日に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えた、投資家の慎重な姿勢がありました。

FOMCを前に「様子見」が主導

米国市場では、FOMCの結果と、それに続くパウエルFRB議長の記者会見を前に、投資家の間で「様子見」ムードが強まっています。市場はすでに、今回の会合で追加の利下げが実施されるとほぼ織り込んでいるものの、今後の金融政策の方向性、特に来年以降の利下げペースについて、FRBが慎重な姿勢を示すとの見方が広がっています。

そのため、大きなポジションを取る動きが控えられ、持ち高の調整や利益確定売りが目立つ展開となりました。特にNYダウは、取引開始後はやや軟調なスタートを切り、前半は小幅高圏で推移したものの、中ごろから上げ幅を縮小。その後、下落に転じ、後半にかけて下げ幅を徐々に拡大し、最終的に179ドル安で取引を終えました。

ダウ先物の動きにも注目

こうした本邦市場の動向を受けて、ダウ先物の動きにも注目が集まっています。ダウ先物は、NYダウの将来の価格を予想する先物取引の一つで、日本時間の夜間や早朝の米国市場の先行きを占ううえで重要な指標とされています。

今回のFOMCを前に、ダウ先物も落ち着いた値動きを示しており、大きな上昇・下落を伴う急変動は見られません。これは、投資家が「結果が出るまでは動かない」という慎重な姿勢を先物市場にも反映している証拠です。ダウ先物が大きく動くのは、FOMCの声明やドットチャート(政策金利見通し)、そしてパウエル議長の発言内容が明らかになった後になる可能性が高いでしょう。

ナスダックは小幅反発、ハイテク株に買い戻し

一方、ナスダック総合指数は30.59ポイント高の23,576.49と、小幅ながら上昇で取引を終えました。ダウ平均が下落したのに対し、ナスダックがプラス圏で終えた点は、市場の「まちまち」な状況を表しています。

ハイテク株中心のナスダックがやや強めだった背景には、一部の大型テック株への買い戻しや、AI関連など成長期待の高い銘柄に対する需要が根強いことが挙げられます。ただし、全体としてはFOMCの結果待ちのムードが強く、大きな上昇にはつながっていません。

債券利回りや為替の動きも注目

この日の米国市場では、株式だけでなく、債券や為替の動きも注目されています。米10年債利回りは前日比0.021%上昇の4.186%と、やや上昇しました。利回りの上昇は、長期金利がやや高めに推移していることを意味し、株式市場にとってはやや重しとなる要因です。

また、為替市場では、ドル円が156円台後半で推移しています。円安ドル高の状況は、日本の輸出関連銘柄にとっては追い風となりますが、輸入コストの上昇や、海外投資家が米国市場に資金を集中させる要因ともなります。こうした為替の動きも、ダウ先物やNYダウの先行きに影響を与える要素です。

個別銘柄の動きにも注目

この日の米国市場では、個別銘柄の業績や発表内容にも反応が見られました。ホームセンター最大手のホーム・デポ(HD)は、来年度の暫定見通しが慎重だったことから株価を下げました。一方、石油メジャーのエクソン・モービル(XOM)は、2030年までの成長率見通しを引き上げたことで株価を上げています。

バイオ医薬品のキメラ・セラピューティクス(KYMR)は、5億ドル相当の引受公募を開始すると発表し、大幅に下落しました。金融大手のJPモルガン・チェース(JPM)は、来年の支出額が市場予想を上回る規模となるとの見通しが伝わったことで、株価を下げています。

こうした個別銘柄の動きは、FOMCを控えた全体的な様子見ムードの中でも、企業の業績や戦略に対する投資家の評価が鮮明になっていることを示しています。

日本市場への影響も注目

米国市場のこうした動きは、日本市場にも影響を与えています。FOMCの結果を前に、日本市場でも後場にかけて持ち高調整の動きが出る可能性があります。一方で、足元のドル円が円安基調で推移していることは、日本の輸出関連銘柄にとっては追い風となり、寄り付きは小幅高でのスタートが見込まれます。

また、ダウ先物の動向を注視することで、日本時間の夜間や早朝の米国市場の先行きをある程度予想することができます。投資家は、ダウ先物の値動きと、FOMCの声明・ドットチャート・パウエル議長の発言内容をよく見極めながら、自分の投資判断を下すことが重要です。

投資家の心構え

このように、FOMCを控えた米国市場は、結果が出るまでは大きな動きを控える「様子見」の展開が続いています。ダウ先物も含め、市場全体が落ち着いた値動きを示している今こそ、自分の投資方針を再確認し、無理のないリスク管理を行うことが大切です。

ニュースや市場の動きに一喜一憂するのではなく、長期的な視点を持ちながら、自分の資産状況やリスク許容度に合った投資を心がけましょう。FOMCの結果が出てから、市場の方向性がよりはっきりしてくる可能性があります。そのときのために、冷静な判断力を保っておくことが、投資の成功につながります。

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