ツルハとウエルシアが経営統合、売上高2兆円超の国内最大ドラッグストアチェーン誕生

2025年12月1日、ツルハホールディングスとウエルシアホールディングスの経営統合が実現しました。この歴史的な統合により、年間売上高2兆円を超える国内ドラッグストア業界最大のリーディングカンパニーが誕生することになったのです。

経営統合の概要と規模

今回の経営統合は、複数段階のプロセスを経て実現されました。まずイオン株式会社がツルハホールディングスの株式取得を進め、その後ツルハがウエルシアの完全子会社化を行うという流れとなっています。イオン、ツルハ、ウエルシアの三者による資本業務提携最終契約は2025年4月11日付で締結され、その後の手続きを経て本日の統合に至りました。

統合により誕生する企業グループの規模は圧倒的です。両社の売上高を合わせると2兆円を超える規模となり、業界2位のマツキヨココカラ&カンパニーの売上高1兆616億円(2025年3月期)を大きく引き離します。店舗数も合計で5600店を超えることになり、医薬品や化粧品はもちろんのこと、食品・日用品・調剤までを一手に担う生活インフラ企業としての地位が確立されようとしています。

統合の背景と狙い

この統合の背景には、単なる規模拡大以上の戦略的な意図が存在します。国内のドラッグストア市場が成熟の段階に入る中で、両社が共通して認識しているのは、海外の大型企業との競争に備える必要性です。売上2兆円規模となることで実現する「規模の経済性」は、今後のグローバル競争において重要な武器となるでしょう。

具体的には、薬剤などの仕入れコスト削減や物流網の効率化などを通じた利益率改善が期待されています。しかし、これらは「守り」の戦略に過ぎません。統合の真の狙いは、日本発のヘルスケアモデルをグローバルに展開することにあるのです。

ツルハが評価するウエルシアの強み

ツルハホールディングスの鶴羽順社長は、ウエルシアとの統合について言及し、ウエルシアが保有する強みについて述べています。特に注目すべき点は、ウエルシアの調剤事業の規模がツルハを上回っているという点です。

社長は「商品のカテゴリー的に、ウエルシアは調剤の規模が当社よりも大きく、加算等のノウハウも持っている。それがウエルシアの強みの一つだと思っている」とコメントしています。調剤薬局事業は利益率が高く、ドラッグストア業界において重要な収益源となっているため、この統合によってツルハは調剤分野での競争力を大幅に強化することができるのです。

今後のスケジュール

統合後の経営計画はすでに決定しています。ツルハホールディングスは2026年2月期中間決算説明会で、統合に向けたスケジュールを明らかにしました。2026年1月にはイオンによるTOBの完了が予定されており、同時に第3四半期決算発表も行われる予定です。

財務戦略や数値目標については、通期決算での数値確定を待ち、両社のシナジーを十分に精査した上で、2026年4月の通期決算発表と同時に新たな中期経営計画として開示されることが予定されています。また、統合の効力発生と同時に経営統合後のビジョンも公表される予定です。

ドラッグストア業界への影響

この統合は、日本のドラッグストア業界における歴史的な再編となります。医薬品、化粧品、食品、日用品、そして調剤という5つの領域を統合されたグループで一体運営することになることで、顧客に対してこれまで以上に包括的なヘルスケアサービスを提供することが可能になります。

フード&ドラッグ市場において、両社の統合によるシナジーは極めて大きいと考えられます。店舗ネットワークの統合による利便性向上、商品ラインアップの充実、そして物流効率化による低価格実現などが、消費者にとって大きなメリットとなるでしょう。

経営統合の実現

2025年12月1日の本日、ツルハを株式交換完全親会社、ウエルシアを株式交換完全子会社とする株式交換の効力が発生しました。これに伴い、ウエルシアホールディングスの株式は2025年11月27日をもって、東京証券取引所プライム市場における上場廃止となっています。

この統合により、国内ドラッグストア業界は新たな時代を迎えることになります。両社が持つリソースと強みを結集させた新しい企業グループは、国内市場での競争力強化だけでなく、グローバル展開という大きな目標に向かって前進していくことになるのです。

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