ツルハホールディングス、レデイ薬局を完全子会社化へ

ドラッグストア大手のツルハホールディングス(HD)は、11月20日に松山市に本社を置く連結子会社のレデイ薬局を完全子会社化することを発表しました。これまで保有していた51%の株式に加え、中四国を地盤とするスーパーを運営するフジが保有していた49%の全株式を取得することで、ツルハHDがレデイ薬局の議決権所有割合100%を獲得することになります。

これまでの経緯と持ち株比率の変化

レデイ薬局とツルハHDの関係は、2015年にさかのぼります。この年、ツルハHDとスーパーのフジは、レデイ薬局との間で資本業務提携契約を締結しました。契約に基づき、ツルハHDがレデイ薬局の発行済み株式の51%を、フジが49%をそれぞれ保有する形で、レデイ薬局はツルハHDの連結子会社となっていました。

今回の完全子会社化により、この10年間続いた提携関係が新たな段階へと進むことになります。三社が合意した理由は、ドラッグストア業界における激しい競争環境にあります。ツルハHDは、業界の競争激化が予想される状況において、迅速な意思決定や積極的な投資を実現するため、レデイ薬局の完全子会社化が必要と判断したのです。

株式取得のスキーム

今回の完全子会社化は、複雑な取引スキームを通じて実現されます。具体的には、フジが保有するレデイ薬局の株式1,767株について、レデイ薬局がフジから自己株式取得を行います。さらに、フジが保有する自己株式取得の対象とならないレデイ薬局の株式46株について、ツルハHDがフジから直接買い取ることになっています。

この一連の取得により、ツルハHDが議決権所有割合の100%を取得することが可能になるのです。

取得価格と実行予定日

今回の株式取得に関わる具体的な対価については、ツルハHDがフジから約195億円で49%の株式を取得することが報道されています。この金額は、ドラッグストア業界における大型M&Aとしても注目される規模です。

自己株式取得の実行日および株式譲渡の実行日は、2025年12月22日を予定しています。つまり、本年12月中旬に、この取引が実際に実行される見通しとなっています。

レデイ薬局の事業規模

レデイ薬局は、中四国地域を中心に店舗を展開する有力なドラッグストアチェーンです。2025年2月期の決算によると、売上高は714億4,700万円、営業利益は35億1,100万円と報告されており、相応の事業規模を有する企業として知られています。

ツルハHDのグループ構成への影響

レデイ薬局の完全子会社化により、ツルハHDのグループ構成にも変化が生じます。これまで、ツルハHDの事業会社6社のうち、レデイ薬局は完全子会社ではなく、フジとの共同出資形態となっていました。今回の完全子会社化により、ツルハHDの事業会社6社のうち、完全子会社化されていないのは杏林堂薬局のみとなることになります。つまり、ツルハHDはグループ内の経営統一をより一層進めることになるのです。

今後の経営方針と協力体制

注目すべきは、ツルハHDとフジの関係が完全に断絶するわけではないという点です。三社で締結されていた資本業務提携契約は終了することになりますが、今後もそれぞれの事業エリアでの協力関係を維持していくことが合意されています。

ツルハHDは北海道札幌市を本拠とする企業であり、フジは中四国地域を地盤とする企業です。レデイ薬局は松山市に本社を置きながらも、今後はツルハHDの傘下でより緊密に経営統合されることで、スケールメリットを活かした事業展開が期待されます。

業界における位置づけ

このニュースは、日本のドラッグストア業界における経営統合の動きとして注目されています。近年、ドラッグストア業界は競争が激化しており、大手企業による経営統合やグループ内での再編成が相次いでいます。ツルハHDにとって、レデイ薬局の完全子会社化は、グループの経営効率化と競争力強化を目指した戦略的な判断と言えるでしょう。

完全子会社化により、ツルハHDはレデイ薬局の経営に対して、より直接的で迅速な意思決定が可能になります。これにより、グループ全体としての統一的な戦略展開や、経営資源の最適配分が実現しやすくなると予想されます。

業界への波及効果

ツルハHDによるレデイ薬局の完全子会社化は、今後のドラッグストア業界における企業再編に影響を与える可能性があります。競争環境の激化に対応するため、同様の経営統合や経営体制の見直しを検討している企業も多いと考えられます。

また、この取引を通じて、フジは保有していたレデイ薬局株式の全てを手放すことになります。これにより、フジの経営体質の変化や、今後の経営戦略の再構築も注視する必要があります。

今後の注目ポイント

ツルハHDがレデイ薬局を完全子会社化した後、具体的にどのような経営方針が打ち出されるのかが注目されています。グループ内での人事異動や組織再編、さらには店舗戦略の見直しなど、様々な側面での変化が予想されます。

12月22日の取引実行までの間、市場や業界関係者からも、この経営統合に対する期待と関心が集まることになるでしょう。ツルハHDが掲げる「迅速な意思決定」と「積極的な投資」が、レデイ薬局の事業にいかに活かされていくのか、その具体的な展開が待たれます。

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