トライアルと西友が融合した新業態「トライアル西友」が東京でグランドオープン

九州発の革新的スーパーが都市部での新展開を開始

2025年11月28日、東京都小平市にトライアルと西友の強みを融合させた新業態「トライアル西友 花小金井店」がグランドオープンしました。九州を地盤とするディスカウントストア「トライアル」が7月に西友を買収してから初となる共同運営店舗で、午前9時の開店に合わせて多くの客が列を作り、大きな注目を集めています。

この新しい店舗は、西武新宿線・花小金井駅から徒歩約3分に位置し、24時間営業する約1,080坪の大型スーパーです。トライアルホールディングス傘下のSTリテールが運営する本店舗は、トライアルと西友のそれぞれの強みを掛け合わせた「GMS(総合スーパー)再生」のモデルとして期待されています。

IT技術を活用した最先端の買い物体験

「トライアル西友 花小金井店」の最大の特徴は、トライアルが独自開発したIoT・AI技術による革新的な買い物体験です。店内には、セルフレジ機能付き買い物カート「Skip Cart®」が全国で265店舗目となる80台導入されました。これは都内では初めてとなる導入で、顧客は買い物カートに商品を入れるだけで決済が完了する「ゲートを通るだけで会計が終わる」という新しい購買体験が実現できます。

さらに、店内には「インストアサイネージ™」も設置され、顧客ニーズに合わせた情報をリアルタイムで提供します。これらのデジタル技術により、効率的な店舗運営と快適な買い物環境を両立させることができます。トライアルが持つIT活用の強みが、総合スーパーの課題解決に活かされているのです。

こだわりの食品と豊富な品揃え

商品面では、両社の「おいしい食」へのこだわりが随所に表現されています。店内には約25,000品目もの商品が展開されており、地域最大級の品揃えを実現しています。

トライアルの人気プライベートブランド(PB)「おいしくなれ!」と、西友の人気PB「みなさまのお墨付き」が両方取り扱われ、全体の約2割をPB商品が占めています。特に食品部門では、店内で加工に切り替えた精肉、生魚を使った本格的な寿司、産直の青果など、品質にこだわった商品が揃えられています。

トライアルで人気の生魚を使った寿司は新たに導入される商品で、ネタの旬や鮮度にこだわり、手頃な値段で本格的な寿司が楽しめるとしています。また、できたての総菜や弁当も充実しており、日常の買い物から特別な一品まで、幅広いニーズに対応しています。

福岡発スーパーの「九州愛」をテーマにした展開

東京での出店に際して、福岡発の小売業としての特色も大切にされています。「九州愛」をテーマにした商品が新たに提供されており、特に酒売り場が注目です。これまでの約3倍の品揃えとなり、特に九州の焼酎を多数そろえているとのこと。トライアルが九州で培ってきたノウハウやこだわりを、東京での事業展開に活かす戦略が見て取れます。

2階には日用品や衣料品、家電も充実

店舗は1階と2階に分かれており、1階は生鮮食品や総菜、加工食品を中心に配置されています。一方、2階には酒類、日用品、衣料品、家電など、総合スーパーらしい幅広いカテゴリーが展開されています。このように、トライアルのディスカウント的なアプローチと西友の総合スーパー的な品揃えが融合した構成になっているのです。

総合スーパー再生への新たな挑戦

近年、総合スーパー業界は大型ショッピングモールやオンライン通販の台頭により、経営が厳しい状況が続いていました。西友も例外ではなく、経営の立て直しが課題となっていました。トライアルによる買収と、今回のような新業態店舗の展開は、総合スーパーの再生を目指した新たな挑戦と言えます。

トライアルホールディングスは、ITを活用したスマートで効率的な購買体験と、西友の都市型立地の強みを組み合わせることで、持続可能なローコストオペレーションの確立を目指しています。このモデルが成功すれば、都市部を中心に今後さらに展開される可能性が高いとされています。

今後の展開への期待

「トライアル西友」は、テクノロジーを活用して小売業の変革を推進し、顧客の生活をより良いものにするための取り組みとして位置付けられています。花小金井店での成功事例が、今後の出店計画や経営戦略に大きな影響を与えることになるでしょう。

デジタル技術による効率化、こだわりの食品・商品の充実、地域密着型の運営など、複数の要素が組み合わさったこの新業態は、総合スーパーが直面している課題への一つの解答例として注目されています。東京での第1号店がどのような反応を示すのか、業界全体が見守っている状況です。

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