東急線と羽田空港を結ぶ新空港線「蒲蒲線」計画が正式認定——空港アクセス革新への第一歩
蒲田と羽田をつなぐ蒲蒲線計画、国土交通省が正式に事業許可を認定
2025年10月3日、東京都心と羽田空港を直接結ぶ新たな鉄道路線「東急新空港線(通称:蒲蒲線)」の計画が、ついに国土交通省から正式に事業許可を受けました。今後2030年代に予定される空港アクセス鉄道路線の新設ラッシュの幕開けを告げる出来事です。その名称の由来どおり、「蒲蒲線」は東急線の蒲田駅と京急線の京急蒲田駅という2つの蒲田駅をおよそ0.8kmの短距離で地下連絡線として結び、羽田空港方面への輸送を大きく効率化します。
- 「東急蒲田」駅と「京急蒲田」駅を地下で新設連絡
- 運営:インフラ保有は「羽田エアポートライン」、運行主体は「東急電鉄」
- 工事着手には今後の詳細設計と工事施行認可が必要
- 令和20年代(2040年代前半)の運行開始を目指す
新空港線(蒲蒲線)の概要──どのような計画か?
新空港線、通称「蒲蒲線」は、既存の東急多摩川線矢口渡駅~蒲田駅の区間を一部地下化し、さらに蒲田駅から京急蒲田駅付近までを直線地下連絡線として接続するものです。この新設区間の長さは約0.8km。地上・地下の切り替え設備(約0.9km)も新設されます。
施設の整備および保有は、東京都大田区と東急電鉄が2022年10月に設立した第三セクター「羽田エアポートライン株式会社」が担い、運行業務は東急電鉄が担当するという「上下分離方式」で事業が進められます。
- 地上の東急多摩川線と地下新線を連結
- 鉄道事業法の第3種事業者(施設所有)=羽田エアポートライン
- 第2種事業者(運行主体)=東急電鉄
認定の背景——どんなプロセスを経て事業化へ?
蒲蒲線は長年にわたり検討され、2025年初頭から都市鉄道等利便増進法に基づく手続きが本格化。4月に整備構想が認定、8月には「速達性向上計画」の申請、そして10月3日に認定取得という経緯です。この認定は法律上の「鉄道事業許可」と同等の効力を持ち、次は具体的な工事施行認可へと進みます。
速達性向上計画の認定に伴い、今後はこの0.8kmを中心とした新設区間の詳細設計・工事準備、さらに第2期区間(蒲田新駅から大鳥居方面)への展開が検討される予定です。ただし後者の事業着手時期は現時点では確定していません。
地域と利用者のメリット──何がどう変わるのか?
都心直結&空港アクセス時間の劇的な短縮
- 渋谷、新宿、池袋など東京の中心地から羽田空港まで、京急蒲田での面倒な乗り継ぎなしで直行可能に。
- 自由が丘〜羽田方面の移動は最大22分短縮予定(従来約39分→蒲蒲線開業後は約17分)。
- 交通利便性の向上で、蒲田エリアの価値や利便性も飛躍的に上昇。
現在も「京急蒲田駅」は空港アクセスの大拠点ですが、東急多摩川線・池上線からの「蒲田駅」と微妙に位置が違い、不便さを指摘されてきました。今後は複数鉄道会社の蒲田エリアが1本の地下新線で結びつき、利用者の負担が大幅に軽減されます。
新空港線計画がもたらす社会的・経済的インパクト
蒲蒲線が完成すると「羽田空港アクセス革命」とも呼べる変化が見込めます。
- 国内外の観光・ビジネス客流動、都心からのアクセス性強化で国際競争力が向上
- 蒲田エリアは新たな交通・商業のハブとなることで再開発への追い風
- 線路地下化が進むことで、地上空間の再整備や防災、安全性向上の副次的効果も期待
今後のスケジュールと残された課題
認定が下りたことで、今後は以下のステップを踏みます。
- 詳細設計・工事施行認可の取得
- 周辺地権者や地域住民との協議
- 第2期区間(大鳥居方面〜羽田)拡張検討
- 令和20年代前半(2040年代前半)運行開始を目指す
蒲蒲線の建設には、多大なコストと技術的な課題も予想されます。しかし国際都市・東京の拠点空港アクセスを革新するプロジェクトとして、引き続き社会的な期待と注目が集まるでしょう。
関連情報:空港アクセス新線の今後
今後10年余りで首都圏の空港アクセスは大きく姿を変えます。すでに羽田では「羽田空港アクセス線」(JR東日本)や「京急本線直通新線」、成田空港では「成田新高速鉄道」なども計画・進行中です。各社・各路線が織りなす新しい鉄道路線網が、これまで不便だった日本各地と空港をぐっと近づけていきます。
さいごに——地元、そして都市圏交通のこれから
蒲田を舞台に、今まさに新しい都市交通の歴史が生まれようとしています。東急線、京急線双方の利便性向上のみならず、まちづくりや国際都市東京の価値をさらに高める本プロジェクト。今後も工事の進捗、新駅の整備、地域との協議、商業開発の動向など、一つ一つを注視していきたいですね。