東京エレクトロン、AI半導体需要の追い風で株価が急騰——2026年3月期の業績予想を上方修正

AI関連需要で業績が好調に推移

半導体製造装置大手の東京エレクトロン(証券コード:8035)が、AI関連需要の急速な拡大の中で堅調な業績を記録しています。2025年11月19日時点での株価は1株30,860円となっており、直近の年初来高値(37,230円、11月4日)からは若干下げているものの、依然として安定した水準を保っています。同社は2026年3月期の通期業績予想を上方修正し、市場の期待の高さを示しています。

東京エレクトロンの2026年3月期中間決算では、売上高が1兆1,796億円となり、前年同期比で5.2%の増収を達成しました。この好調な売上は、AI分野での急速な需要増加が大きく寄与しているとされています。AI関連の半導体製造が急速に拡大する中で、同社の製造装置への注文が急増しているという背景があります。

利益面では研究開発投資が影響

売上高は好調である一方、利益面では減益という結果となっています。これは、研究開発費の大幅な増加が利益を圧迫しているためです。AI時代の競争激化に対応するため、同社は次世代技術の開発に積極的な投資を行っており、短期的な利益よりも中長期的な競争力強化に経営資源を配分しているといえます。

3次元実装向け検査装置で新展開

東京エレクトロンデバイスが新たに投入したAI半導体向けの3次元実装検査装置は、業界内で大きな注目を集めています。この装置は、次世代のAI半導体製造における重要な工程に対応しており、より高度な検査性能を実現しています。3次元実装技術は、AI半導体の高性能化と省電力化を実現するための重要な技術であり、これに対応した検査装置の需要が今後さらに高まることが予想されています。

株価が6割上昇、総収入3兆円に期待

東京エレクトロンの株価は、ここ数ヶ月で約6割の上昇を記録しています。市場では、同社の総収入が今後3兆円規模に到達することへの期待感が高まっています。これは、AI半導体需要の急速な拡大が、同社の製造装置需要を強力に支えると考えられているためです。

同社の時価総額は現在、約14兆5,500億円に達しており、日本を代表する大型株として認識されています。配当利回りは1.73%であり、株価の上昇だけでなく、配当面でも投資家からの注目が集まっています。

半導体製造装置業界での地位を強化

東京エレクトロンは世界の半導体製造装置市場において第3位の事業規模を有しており、この地位を活かしながら、AI時代における新たな需要に対応しています。2025年11月4日に記録した年初来高値37,230円は、市場参加者のAI関連需要への強い期待を反映しているといえます。

2026年3月期の通期展望は上向き

会社側が通期業績予想を上方修正したことは、半導体製造装置市場の中長期的な成長への確信を示しています。AI技術の急速な進展に伴い、高度な半導体の製造需要が今後も継続すると考えられており、同社の装置への需要もそれに連動して増加することが予想されています。

2025年11月19日時点での前日比は-1.97%(620円下げ)となっており、短期的には調整局面にあります。しかし、年間を通じての業績予想の上方修正や、AI半導体需要の拡大という構造的な追い風を考えると、中長期的には堅調な値動きが期待されています。

信用倍率は3.39倍——投資家の関心の高さ

同社の信用倍率が3.39倍と高い水準にあることは、多くの投資家が同社の成長性に高い関心を寄せていることを示しています。信用買残が160万6,500株と多いことからも、市場参加者の強気の見方が伺えます。

東京エレクトロンの今後の動きは、グローバルなAI半導体市場の成長動向と、同社の新技術開発の成功いかんで大きく左右されることになるでしょう。2026年3月期の通期業績の達成状況が、次のターニングポイントとなることが予想されています。

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