東京BRTが東京駅へ延伸へ 臨海部〜都心を結ぶ新ルート、2026年秋ごろ運行開始予定
東京都は、都心と臨海部を結ぶバス高速輸送システム「東京BRT」について、臨海部と東京駅を直接結ぶ新ルートを2026年秋ごろに運行開始する方針を発表しました。
これまで東京BRTは、新橋・虎ノ門方面を起点に、晴海や豊洲などの臨海エリアを結ぶ形で段階的にプレ運行を進めてきましたが、今回新たに「東京駅ルート(仮称)」が加わることで、都心の交通結節点である東京駅と晴海エリアがダイレクトにつながることになります。
新ルート「東京駅ルート(仮称)」とは
東京都が示した新ルートは、臨海部から築地・銀座を経由して東京駅に至る路線で、主に晴海フラッグ(HARUMI FLAG)エリアと東京駅を結ぶ構成となります。
具体的には、次のような停留所構成が想定されています。
- 東京駅(仮称)(東京駅八重洲口側を想定)
- 銀座(仮称)
- 築地(仮称)(築地市場付近・新大橋通沿いを想定)
- はるみらい
- 晴海ふ頭公園
- HARUMI FLAG(晴海フラッグ)
これにより、東京駅 − 銀座 − 築地 − 晴海エリアが1本のBRTルートで結ばれ、都心部と臨海部をシームレスにつなぐ動線が形成されます。
運行開始は2026年秋ごろを予定
東京都は、新ルートの運行開始時期について、令和8年(2026年)秋ごろを目標としています。
今後は、次のような準備が段階的に進められる予定です。
- 新設停留所(東京駅・銀座・築地〈いずれも仮称〉)の設置工事
- 道路管理者や関係機関との協議・調整
- BRT運行に関する各種認可申請
- 運行ダイヤやルートの詳細検討・公表
運行開始日や本数などの具体的なダイヤについては、今後決定し次第、公表される見通しです。
なぜ東京駅方面への延伸が決まったのか
今回の延伸方針は、「臨海副都心地域における公共交通協議会」での検討結果を踏まえて決定されたものです。
背景には、次のような事情があります。
- 勝どき・晴海エリアは鉄道駅から距離があり、「鉄道空白地帯」とされてきたこと
- 晴海フラッグなど大規模開発の進展により、臨海部の居住人口・来訪者数が増えていること
- 従来ルート(新橋・虎ノ門方面)では、東京駅や銀座方面への移動に乗り換えが必要で、利便性に課題があったこと
こうした交通需要の増加や利便性向上の要請を受け、都心の中枢である東京駅方面への延伸が検討され、今回の発表に至りました。
臨海部〜東京駅が直結することで期待される効果
東京駅ルートの開設により、生活面・ビジネス面・観光面でさまざまな効果が期待されています。
- 通勤・通学の利便性向上
晴海や勝どきエリアから、東京駅周辺のオフィス街や都心部の学校へのアクセスが改善し、乗り換え回数や移動時間の削減が見込まれます。 - 東京駅を起点とした広域アクセスの強化
東京駅は新幹線・在来線・地下鉄が集まる全国有数の交通結節点です。
BRTで直接東京駅へ行けるようになることで、臨海部と全国各地・首都圏各方面との接続がスムーズになります。 - 銀座・築地エリアへのアクセス改善
新ルートは銀座(仮称)、築地(仮称)にも停車予定のため、商業・観光エリアへの移動がより便利になります。
買い物や観光、観劇など、余暇での利用も期待されます。 - 臨海部のまちづくりと回遊性の向上
HARUMI FLAGや晴海ふ頭公園、はるみらいといったエリアは、今後も住宅や商業機能の整備が進む地域です。
東京駅方面と結ばれることで、都心と臨海部を一体とした都市構造の形成が進み、まち全体の魅力や回遊性が高まると見込まれています。
現在の東京BRTと今回の新ルートの位置づけ
東京BRTは、2020年10月にプレ運行(一次)を開始し、2023年からはプレ運行(二次)へと移行しました。
現在は、次のようなルートが運行または計画されています。
- 幹線ルート
- 晴海・豊洲ルート
- 勝どきルート
- 選手村ルート
これらに加えて、新たに「東京駅ルート」が加わることで、東京BRTは「都心と臨海副都心をシームレスにつなぐ準基幹交通」として、よりその役割を強めることになります。
今後のスケジュールと利用者への影響
東京都は、2026年秋ごろの運行開始を目標に、今後次のようなステップを進めていく方針です。
- 停留所の詳細な位置の確定と設計
- 工事スケジュールの策定と着工
- 道路管理者・警察など関係機関との協議
- 運行事業者との調整、ダイヤ・運賃の検討
- 住民・利用者への情報提供
まだ具体的な時刻表や運賃体系は発表されていませんが、すでに東京BRTを日常的に利用している人にとっては、選べるルートが増えることになります。また、これまで東京駅方面へのアクセスの不便さから臨海部に住むことをためらっていた人にとっても、交通利便性が高まる材料となりそうです。
地域にとっての意味合い
今回の東京駅延伸は、単なる「新しいバス路線の開設」にとどまらず、臨海部と都心をより緊密に結び直す都市交通政策の一環と位置づけられています。
特に晴海フラッグ周辺は、東京オリンピック・パラリンピック選手村跡地の大規模住宅開発エリアとして注目されており、今後も人口増加が見込まれる地域です。そこに、東京駅や銀座といった都心中枢とダイレクトに結ばれる公共交通が整備されることで、居住環境の魅力向上に加え、都心と臨海部が相互に支え合う都市構造の実現が期待されています。
一方で、新ルートの導入に際しては、停留所周辺の交通環境や、安全性の確保、既存路線との調整など、きめ細かな対応も求められます。今後の詳細な計画の公表と、地域との対話の進め方にも注目が集まりそうです。


